富士紡HD Research Memo(9):半導体不況で中計の前提条件が狂うも実現性の高いローリングプランを検討(2)

2024年6月10日 13:29

*13:29JST 富士紡HD Research Memo(9):半導体不況で中計の前提条件が狂うも実現性の高いローリングプランを検討(2)
■中期経営計画

3. 事業ポートフォリオ ~中期経営計画「増強21-25」の振り返りと今後~
富士紡ホールディングス<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0310400?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><3104></a>の主力事業は研磨材事業と化学工業品事業であり、準主力事業として生活衣料事業がある。この3事業を中核事業と位置付け、さらなる事業拡大と高収益化を目指している。そのための戦略事業として、化成品(樹脂金型)事業を“第4の柱”に育成する考えである。

一方、生活衣料事業では選択と集中を進め、特化素材などは高採算品に絞り込み、汎用素材は撤退も視野に入れながら、粛々と整理・縮小を進める方針である。

(1) 事業ポートフォリオと事業セグメント別主要施策の取り組み状況
各事業セグメントの主要戦略・施策は、順調に進捗し、おおむね成果を上げた。

(2) 投資実績と計画
オーガニックグロース(自律的成長)を前提に、能力増強・研究開発強化を進めている。特に、研磨材事業における最先端領域強化のための研究開発投資を最重要視し、中期経営計画「増強21-25」の成長投資枠(250〜300億円)の範囲内で投資を実施する。また、化学工業品事業の主要製品の一部は需要が堅調に推移し、中長期での需要拡大も見込まれていることから、需要見通しに合わせた受託生産能力拡大を目的に柳井本社工場の敷地内に新たに1ライン増設する。

4. ROIC重視の経営
同社ではこれまでROIC指向の業務オペレーションに取り組み、一定の成果も上げてきた。現場部門では定常業務のなかで、原材料費の圧縮、キャッシュマネジメントによる現預金残高の圧縮、機動的な生産調整による在庫圧縮、設備生産性の向上などROIC向上のための主要施策を実施してきた。

ROIC重視のマネジメントを全社で共有化すべく、ROIC指標をブレイクダウン(貸借対照表B/Sと損益計算書P/Lを因数分解)し、現場の個々の施策と関連付け、全社のROIC向上への貢献度が一目で分かるようにした。ROIC経営では、中期経営計画の進捗と成果フォロー(年2回)のなかで、個々の施策の進捗と成果を測定し、部門の業績評価につなげている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)《SO》

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