相場展望6月6日号 米国株: 労働市場の過熱感薄れ金利低下、エヌビディア効果で株高 日本株: 円高と金利高で「逆風が増す」展開を予想
2024年6月6日 10:27
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)6/3、NYダウ▲115ドル安、38,571ドル
2)6/4、NYダウ+140ドル高、38,711ドル
3)6/5、NYダウ+96ドル高、38,807ドル
【前回は】相場展望6月3日号 米国株: BRB目標のインフレ率+2%には、再利上げが必要 日本株: 自律反発の局面、米国株高が追い風
●2.米国株 : 労働市場の過熱感が薄れ金利低下、エヌビディア時価総額2位で高揚感⇒株高
1)労働市場の過熱感が薄れる
・米求人件数が過去の約1,000万件⇒4月805.9万件に低下。
・米雇用者数は過去の約+30万人増⇒5月+15.2万人増に減少。
・労働市場の逼迫感が薄れ、賃金上昇によるインフレ圧力の鈍化が期待される。
2)再びFRBによる利下げ期待が高まり、米長期金利は低下⇒株高期待
・米長期金利10年債利回りの推移
5/1 5/29 6/5
4.618% 4.612 4.277
・FRBは景気減速を支えるため、金利低下期待が株式市場では高まる。
・長期金利低下により、株価は相対的に割高感が薄れ、株高を支える環境に。
3)エヌビディア、時価総額で3兆ドルを超え、アップルを抜き世界2位
・6/5終値で前日比+5.2%高の1,224ドルとなり、時価総額で3兆ドル(約468兆円)を超えた。マイクロソフトに次ぐ2位となった。
・エヌビディア株価推移
2023年01月03日 143.15ドル
2024年01月02日 481.68
06月05日 1,224.40 : 2023年1月3日比で8.55倍上昇
2024年1月2日比で2.54倍上昇
・一部アナリストの予想では、株価は1,400ドルとの声がある。
4)米株式相場高を牽引する主役は「GAFAM」⇒「エヌビディア」に交替
●3.米ISM非製造業総合指数の5月は53.8、予想を上回り昨年8月以来の高水準(ロイター)
●4.米ADP民間雇用、5月は+15.2万人増、1月以来の低い伸び(ロイター)
●5.米求人件数、4月は805.9万件に減少、3年超ぶり低水準(フィスコ)
1)求人件数は2022年3月には1,200万件でピークを付けた。
●6.米運輸株指数の低迷、景気減速のシグナルか?(ロイターより抜粋)
1)鉄道・航空・貨物輸送などで構成されるダウ運輸株指数は年初から▲5%低下。S&P500は+9%、NYダウは+1%上昇したのとは好対照だ。
2)運輸セクターは景気循環に敏感なセクターであるだけに、景気減速の前触れと受け止める投資家もいる。
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)6/3、上海総合▲8安、3,078
2)6/4、上海総合+12高、3,091
3)6/5、上海総合▲25安、3,065
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)6/3、日経平均+435円高、38,923円
2)6/4、日経平均▲85円安、38,837円
3)6/5、日経平均▲347円安、38,490円
●2.日本株 : 円高・日本の金利高で「逆風が増す」展開を予想
1)日経平均は500~800円の範囲でのボックス相場を形成
・5/27 38,900円
5/30 38,111 5/27比▲789円安
6/03 38,923 5/30比+ 812円高
6/05 38,490 6/03日+433円安
2)半導体関連株は3月高値から下落始まっている
・半導体関連株の推移 史上最高値 6/5現在 下落率
東京エレクトロン 3/06高値 39,600円 33,540 ▲15.3%
アドバンテスト 3/04終値 7,380 5,247 ▲28.9
3)商社株も勢いが鈍ってきている
・商社株の推移 史上最高値 6/5現在 下落率
伊藤忠 6/03高値 7,530円 7,291 ▲ 3.1%
豊田通商 3/22高値 10,525 9,098 ▲13.55
三井物産 5/21高値 8,358 7,689 ▲ 8.00
住友商事 5/02高値 4,300 3,991 ▲ 7.18
三菱商事 4/15高値 3,634 3,243 ▲10.75
4)金利低下で、円が急伸
・6/4に円相場は一時154円台半ばまで円高となり、約3週間ぶり。
・日米10年債利回りの金利差と、円相場の推移
5/1 5/29 6/5
日本10年債利回り 0.889% 1.070 0.986
米国10年債利回り 4.618 4.612 4.277
日米の金利差 3.739 3.542 3.291
円相場 157.88円 157.09 155.74
・日米金利差は、米国金利低下で幅は縮小し、円高方向に推移している。
5)日経平均は高値水準で推移するが、間もなくボックス圏を下放たれるリスク
・日本株を取り巻く環境
・円高に転換
・金利高(日本の場合)
・半導体関連株の低迷
・円安を「追い風」にした業績向上期待も、「円高」で逆風となる。日本の金利は、基本的に上昇を指向。負債の大きい不動産業などの負担増、日米金利差の縮小で円高基調。半導体関連株も急速な株価上昇で「高値恐怖感」が増している模様。
・米国のエヌビディア効果の恩恵を直接的に享受できる環境ではない。
・したがって、日経平均はチャートからみると、次第に下落圧力が増す雰囲気を醸し出しているとみえる。
●3.東京の出生率が0.99、生活コストが高く、少子化と人口減が加速(読売新聞)
●4.国内企業の経常利益1~3月期27兆円余、この期としては過去最高(NHK)
1)要因は、(1)円安による製造業利益の押し上げと、値上げによる価格転嫁の進展。
(2)外国人旅行者が増えてサービス業が好調。
2)金融・保険除いた国内企業の利益は、去年同期比+15.1%増。
●5.帝人、インフォコム株を米ファンドに売却報道、売却総額2,700億円規模(日経新聞)
●6.シャープ、堺にKDDIとAI向けデータセンター構築で協議(日経新聞)
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・9432 日本電信電話 業績回復期待
・9603 エイチ・アイ・エス 業績回復期待
・9706 日本空港ビルヂング 業績期待
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