ニーズウェル Research Memo(7):新たな施策を加えた中期経営計画の下、さらなる成長を目指す
2024年6月5日 15:47
*15:47JST ニーズウェル Research Memo(7):新たな施策を加えた中期経営計画の下、さらなる成長を目指す
■中期経営計画
2023年8月、ニーズウェル<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0399200?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><3992></a>は、2023年9月期から2025年9月期における中期経営計画を発表した。旧中期経営計画の基本方針はそのままに、新たな施策を加えることで、さらなる成長を目指す。
1. 経営理念・中期方針
同社の経営理念は、「広く経済社会に貢献し続ける」ことである。この理念の下、同社は常に進化するニーズに応じて、革新を試みながら社会への貢献を目指している。この姿勢は、「Try & Innovation」をスローガンに掲げる経営指針にも反映されており、企業活動を通じて持続可能な経済発展への寄与を志向している。中期的な視点では、「真のシステムインテグレータへ移行」を基本方針としている。これは技術的な専門性と経営戦略を融合させ、より高度なソリューションを顧客に提供することを意味している。中期経営指針においては、生産性の向上を通じて高収益を実現することと並行して、労働時間の削減を図る。これにより、従業員には高給与と高賞与が保障され、ワークライフバランスの実現を推進する。
さらに、企業価値の向上のために事業価値と社会価値の向上を目標として掲げており、具体的には、事業価値の向上に関しては、業績目標と事業目標を達成すること、社会価値の向上に関しては、サステナブルな経営を実現することで、環境への配慮と社会的責任を果たすことを目指している。これらの方針は、長期的に企業の持続可能性と競争力を高めるための戦略的なステップとして位置付けられている。全体として、同社は技術革新と社会貢献を経営の中核に置きながら、従業員の働きがいと企業の持続可能性の向上にも努めている。
2. 企業価値の向上
同社は、経営理念と戦略に基づき、具体的な施策を通じてその価値を高めることを目指している。売上高成長率を年20%、経常利益率を10%に保つという目標は、経済的な健全性と成長性を示している。また、2025年9月期の売上高目標を130億円、流通株式時価総額を160億円と設定しており、これは市場からの高い評価を目指している。
投資家向けのアプローチでは、株式分割やM&A、自己株式の取得といった資本政策を積極的に行い、投資魅力を高める。これにより、企業の流動性とアクセスの良さを保ちながら、株価の安定と成長を図ることを目指す。加えて、機関投資家や個人投資家への対応、メディアへの積極的なPR活動を通じて、企業の認知度と信頼性の向上を目指す。また同社は、サステナビリティへの取り組みも、企業価値の重要な要素と捉えている。ESG基準やSDGsに沿った活動を推進し、特に高齢者向けのフレイル予防ソリューションや地方の活性化に向けたニアショア開発拠点の拡大など、社会的な貢献と地域社会との連携を図ることで、持続可能な経営を実現しようとしている。
経済的、社会的、環境的側面を総合的に考慮した同社の経営戦略は、投資家だけでなく、顧客、地域社会、そして従業員からの信頼と評価を高めることに寄与し、結果的に企業価値の向上につながることを意図している。
3. 成長戦略
同社の成長戦略は、技術的革新と人材育成、さらには事業拡大を通じて持続的な成長を目指すものである。この戦略は、製品及びサービスの提供能力の強化、市場ニーズへの対応の迅速化、そして業務の効率化と効果的な人材管理に重点を置いている。
まず、ソリューションの拡充を図ることで、顧客に対する価値提供を強化している。これには、既存ソリューションの強化(Dgent、UI/UXナビ、SAP Concur連携ソリューションなど)や、ITアウトソーシング、ソフトウェアテストといったサービスの強化が含まれている。また、(株)富士薬品やキヤノンITソリューションズ(株)などとの協業を通じて、業界横断的なシナジーを追求している。システム開発の需要が増大するなか、事業拡大を図るためには、業務提携やパートナーシップの強化が不可欠である。ビジネスパートナーを「コアパートナー」に昇格させることで、相互にとって有益な関係を築き、共存共栄の体制を推進している。
また、社内外の教育研修を共有し、品質管理や営業力の向上を図っている。社内制度の充実にも力を入れており、業務改善提案制度の導入や、ダブルジョブ制度を通じたキャリアの多様性の支援など、従業員の満足度と生産性の向上に注力している。特に、従業員に対する無償の譲渡制限付株式の提供や、平均昇給率を3.6%、最高で25%に設定し、総合的な昇給率を7.5%とすることで、モチベーションの維持と優秀な人材の確保を図っている。このような多角的なアプローチは、市場での競争力を保ちながら持続的な成長を遂げるためのものであり、技術革新、人材育成、そして事業拡大の各面でバランスよく推進していくことを目指している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)《HN》