養命酒製造、養命酒関連事業の収益力強化・ダイレクトチャネル事業の構築など、中計目標達成に向け注力
2024年6月1日 19:15
目次
田中英雄氏(以下、田中):みなさま、おはようございます。養命酒製造株式会社取締役副社長執行役員の田中です。本日はお忙しい中ご視聴いただき、誠にありがとうございます。本日はスライドの内容に沿ってご説明します。
損益計算書
2024年3月期の決算概要についてご説明します。まずは、損益計算書です。2024年3月期の業績は、前期比で減収減益となりました。売上高はくらすわ関連事業が伸長したものの、国内養命酒が前年を下回ったことにより、前期比3.8パーセント減の102億4,200万円です。
営業利益は原材料価格の高騰、くらすわ関連事業に係る先行投資、本店ビル更新工事等もあり、前期比56.0パーセント減の4億7,300万円です。経常利益は前期比35.9パーセント減の9億4,900万円です。当期純利益は関係会社株式売却益4億5,000万円を計上し、前期比6.6パーセント減の9億5,200万円となりました。
営業利益増減分析
営業利益の増減分析についてご説明します。2023年3月期の営業利益は10億7,700万円でした。2024年3月期は4億7,300万円となります。
減少要因としては、減収に伴う売上総利益の減少が2億5,500万円、原材料価格の高騰をはじめとした売上原価率の上昇が2億円、くらすわ関連事業への先行投資が2億6,000万円、本店ビル更新工事が9,000万円です。増加要因は、その他経費の節減による2億円があります。
セグメント別の売上高
セグメント別の売上高です。養命酒関連事業は、主に国内養命酒について、物価上昇による消費行動への影響等の要因により、事業全体で前期比5.9パーセント減の91億2,100万円となりました。
くらすわ関連事業は、店舗については来客数の回復に加え、「くらすわ駒ヶ根店」のリニューアルも寄与しました。また、通販・外販においても前年を上回ったことにより、事業全体で前期比17.4パーセント増の11億2,000万円となりました。
貸借対照表
貸借対照表です。資産合計は、2023年3月末比で48億5,500万円増加し、544億1,700万円となりました。これは、主に保有株式時価評価額の増加によるものです。
負債合計は10億200万円増加し、77億7,400万円となりました。これは主に繰延税金負債の増加によるものです。
純資産は38億5,200万円増加し、466億4,200万円となりました。
キャッシュ・フロー計算書
キャッシュ・フロー計算書です。営業活動により増加した資金は、6億6,700万円となりました。前期に比べて減少した主な要因は、経常利益の減少と、法人税等の支払額の増加によるものです。
投資活動により増加した資金は、23億1,300万円となりました。これは主に、定期預金の純減による収入、関係会社株式の売却による収入、「くらすわの森」の建設費の一部支払いを含む有形固定資産の取得のための支出によるものです。
財務活動により減少した資金は、7億6,000万円となりました。これは主に配当金の支払いによるものです。なお、創立100周年記念配当を実施したことにより、前期に比べ、減少した資金は増加しています。
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は22億2,100万円増加し、43億9,400万円となりました。残高が増加していますが、これは「くらすわの森」建設費の支払いに備えた一時的な増加です。
養命酒関連事業(国内養命酒)
各事業の取り組みについてご説明します。国内養命酒については、テレビCM、新聞広告、Web広告の効果向上に向けての改善、広告と店頭施策の連動、流通各社との協働による店頭陳列の強化のほか、新規飲用者拡大のため、700mLサイズの配荷促進等を行いました。
売上高は、物価上昇による消費行動への影響等の要因により、前期比6.6パーセント減の74億5,800万円となりました。
養命酒関連事業(酒類・食品)
酒類については「クラフトジン」に注力し、量販店等への導入提案のほか、免税店でのインバウンド需要の取り込みに向けて取り組みました。
食品については、「養命酒製造クロモジのど飴」に注力し、ドラッグストア、調剤薬局の配荷拡大に取り組みました。また、一部商品を除き値上げを実施しました。
売上高は「クラフトジン」「グミ×サプリ」が前年を上回り増加したものの、「フルーツとハーブのお酒」が前年を下回った等により、前期比4.5パーセント減の8億5,300万円となりました。
養命酒関連事業(海外)
海外についてです。「養命酒」は各市場に合わせたテレビCMとWeb広告を実施し、需要を喚起しました。
酒類は「クラフトジン」を中心に販売促進し、オーストラリア、台湾、香港等へ輸出を行いました。
台北支店では新商品の健康飲料をコンビニエンスストアで販売するため、出荷を開始しました。
売上高は「養命酒」輸出が前期比で微増となったものの、台北支店の「フルーツとハーブのお酒 スパークリング」が前年を下回ったこと等により前期比3.3パーセント減の4億3,100万円となりました。
くらすわ関連事業
くらすわ関連事業については、店舗は、各店の人流増加状況に合わせた店舗運営を実施しています。通販は「くらすわ」商品の販売強化、新商品の発売、通販専用ブランド、および新ECサービスの開始に取り組みました。
他社チャネルを利用した外販は、季節に合わせたギフト等の提案による郵便局等の既存取引の拡大と、新規取引先の開拓に取り組みました。
売上高は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け減少していた国内外の来客数が回復し、前期比17.4パーセント増の11億2,000万円となりました。
通期業績(予想)
2025年3月期の見通しです。まずは、業績予想についてご説明します。売上高は国内養命酒の売上回復と、「くらすわ」の森グランドオープンを含む、くらすわ関連事業の伸長に取り組み、前期比10.5パーセント増の113億2,000万円となる見込みです。
利益面については、「くらすわの森」グランドオープンに伴う初期コストをはじめとした、くらすわ関連事業に係る先行投資等により、営業利益は前期比26.1パーセント減の3億5,000万円、経常利益は前期比18.9パーセント減の7億7,000万円、当期純利益は前期比30.7パーセント減の6億6,000万円を見込んでいます。
営業利益増減分析
営業利益の増減分析についてご説明します。2024年3月期の営業利益は4億7,300万円でした。2025年3月期の営業利益予想は3億5,000万円としています。
増加要因は、増収による売上総利益の増加が6億4,500万円です。減少要因は、くらすわ関連事業の売上原価率の上昇による影響が2億800万円、「くらすわの森」オープンに伴う初期コストを含む、くらすわ関連事業経費3億8,600万円などがあります。
セグメント別売上高(予想)
セグメント別売上高予想です。養命酒関連事業全体では前期比7.1パーセント増の97億7,000万円を見込んでいます。
内訳として、国内養命酒は前期比5.1パーセント増の78億4,000万円、酒類・食品は前期比24.3パーセント増の10億6,000万円、海外は前期比11.2パーセント増の4億8,000万円、不動産賃貸・太陽光発電は前期比0.4パーセント増の3億8,000万円を見込んでいます。
くらすわ関連事業全体では前期比37.4パーセント増の15億4,000万円の見込みです。
2025年3月期の重点施策
2025年3月期においては、各事業について、スライドに記載の施策に取り組んでいきます。
プロモーション(養命酒)
5月17日より、俳優の草刈正雄さんご出演の新CMを全国で放映しています。また、今回は新キャストとして、元NHKアナウンサーであり現在はフリーでご活躍されている武田真一さんを起用しました。
武田さんは元気で若々しい草刈さんの姿を見て、自分も健康のために「養命酒」を始める新たな飲用者の役を演じられています。
「くらすわの森」新施設建設の進捗状況
長野県駒ヶ根市にある、当社工場敷地内の体験型施設「くらすわの森」は、2024年秋のグランドオープンに向けて順調に建設を進めています。
コンテンツとしては、旬の野菜や食材など素材を活かす調理法で表現するレストランのほか、ハム・ソーセージ工房や、野菜など地域の産直品を販売する「くらすわマルシェ」があります。
その他にも、お好きな空間で気軽にランチプレート等を楽しめる「カフェくらすわ」や、「森のプレイパーク」「森のライブラリー」「みんなの広場」等を予定しています。オープン日程等については、決定次第発表します。
中期経営計画(2022年4月~2027年3月)主要方針
中期経営計画の進捗をご報告します。当中期経営計画では、基本戦略を「次の100年に向けた成長投資と持続的成長基盤の確立」とし、「養命酒」および酒類・食品の卸売販売を中心とする既存事業の深化と、新規事業の探索を同時に行う「両利きの経営」を推進し、収益性を確保しつつ成長投資を行うことで、新たな企業価値の創造を目指しています。
中計戦略と課題
中期経営計画2年目の成果と、課題・強化点についてです。中期経営計画の戦略課題として4点をスライドにまとめています。1点目の課題が「効率を重視した既存事業の収益力強化」、2点目が「『くらすわ』ブランドを軸としたダイレクトチャネル事業の構築」です。
中計戦略と課題
3点目の課題として、「サステナビリティ経営の推進」、4点目は「事業領域の拡大に向けた多様な人材活用と人的資本・知的財産等の無形資産への投資」です。これらの戦略課題に、継続的に取り組んでいきます。
業績の推移
次に業績の推移です。中期経営計画2年目の2024年3月期は、売上・利益ともに前年を下回り、2025年3月期は増収減益となる見込みです。なお、売上について、2025年3月期は中期経営計画1年目と比較しても増収を見込んでいます。
中期経営計画の最終年度となる2027年3月期において、売上高200億円以上、営業利益率10パーセント、ROE4パーセントを目指していきます。
資本収益性と市場評価に関する現状分析・課題認識
資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応についてご説明します。まず、当社の資本収益性と市場評価に関する現状分析および課題認識です。過去10年間を見ると、PBRが1倍を下回る水準が続いています。これは、当社のROEが株主資本コストを下回っていることが主な要因であると認識しています。
またROEが低迷している理由としては、「養命酒」の売上低迷による収益性の低下と、自己資本の増加との不均衡にあると考えられるため、収益力の強化と資本効率の向上を取り組むべき課題として認識しています。
ROEの目標設定
ROEの目標設定です。スライドのグラフは、当社の売上高、営業利益(率)およびROEの推移と目標を示しています。
ROEについては、早期に株主資本コストを上回る水準への回復を目指し、第1ステップとして、中期経営計画最終年度にはROE4パーセントを達成することを目標とします。
第1ステップは収益力強化と資本効率向上の基盤作りの期間と位置づけ、第2ステップでさらなる改善を目指します。
また、ROE4パーセント達成のために目指すべき業績水準は、売上高200億円、営業利益率10パーセントと想定しており、早期達成を目指します。
課題 ① 収益力の強化
ROE向上に向けた課題である「収益力の強化」についてです。中期経営計画の基本戦略である、深化と探索を同時に行う「両利きの経営」の推進によって、収益力の強化を図ります。
「両利きの経営」の深化にあたる養命酒関連事業では、効率的な事業運営を徹底しつつ、既存事業の深掘りを進めていきます。
一方、探索にあたるくらすわ関連事業では「くらすわ」ブランドの強化を主題とし、そのための基盤作りを並行して行います。具体的な取り組み内容はスライドに記載のとおりです。
課題 ② 資本効率の向上
2つ目の課題である「資本効率の向上」のため、政策保有株式の縮減による資本効率の改善と、株主還元の拡充に引き続き取り組んでいきます。
政策保有株式については基本方針として縮減する方針で、保有意義の定期的モニタリング、売却執行による資本効率の改善を進めています。売却によって得た資金は、成長投資に活用します。
株主還元については、2022年5月に配当政策の基本方針を変更しています。2023年3月期より、配当性向60パーセント程度を目安とし、原則として1株当たり年間配当金の下限を45円としています。
資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応(まとめ)
「収益力の強化」「資本効率の向上」という課題に対応するため、サステナビリティ経営や多様な人材活用、株主・投資家との対話などの非財務戦略にも取り組むことで、企業価値の向上を目指していきます。
代表取締役の異動(予定)
最後にお知らせです。2024年5月10日開催の取締役会において、持続的成長と企業価値向上の一層推進のため、ならびに代表取締役社長塩澤太朗の健康上の理由による任期満了時での退任を受け、経営体制を刷新するため代表取締役の異動等を決議しました。
なお本異動については、2024年6月27日開催予定の定時株主総会、およびその後の取締役会において正式決定される予定です。
田中氏からのご挨拶
2025年3月期は、中期経営計画3年目として計画達成への道筋をつけるべく、国内養命酒の売上回復と、くらすわ関連事業の基盤構築等に取り組んでいきます。
厳しい業績見通しとなりますが、ご支援のほどよろしくお願いいたします。