Jトラストは24年12月期1Q大幅営業減益だが計画超で着地

2024年5月16日 10:42

(決算速報)  Jトラスト<8508>(東証スタンダード)は、5月14日の取引時間終了後に24年12月期第1四半期連結業績を発表した。前期計上した負ののれん発生益の剥落などにより大幅減益(営業赤字)だが、営業収益が第1四半期として過去最高と順調に推移し、営業利益も計画を上回る水準で着地した。そして通期予想(負ののれん発生益の剥落により減益予想)を据え置いた。ただし、第1四半期の営業利益が計画を上回ったことなどを勘案すれば保守的な印象が強く、通期予想にも上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は第1四半期業績を嫌気する形で反落したが、指標面の割安感も評価材料であり、目先的な売りが一巡して出直りを期待したい。

■24年12月期1Q大幅営業減益だが計画超で着地、通期上振れ余地

 5月14日に発表した24年12月期第1四半期の連結業績(IFRS)は、営業収益が前年同期比21.2%増の315億54百万円、営業利益が2億81百万円の損失(前年同期101億35百万円の利益)、そして親会社の所有者に帰属する当期利益が99.6%減の38百万円だった。

 ミライノベートを吸収合併したことに伴い前期計上した負ののれん発生益101億円の剥落や営業費用の増加などにより大幅減益(営業赤字)だが、負ののれん発生益を除くベースでは小幅減益(2億円減益)となる。また、日本金融事業および東南アジア金融事業が牽引して営業収益が第1四半期として過去最高と順調に推移し、これに伴って営業利益も計画を約9億円上回る水準で着地した。

 日本金融事業の営業利益は66.4%増の14億63百万円だった。証券業務やクレジット・信販業務における手数料収益の増加などで23.4%増収となり、貸倒引当金(損失評価引当金)繰入額の減少なども寄与した。

 韓国およびモンゴル金融事業の営業利益は12億86百万円の損失(前年同期5億78百万円の損失)だった。貸倒引当金(損失評価引当金)繰入額の増加や債権売却損の計上などで営業損失が拡大した。ただし概ね計画水準であり、下期以降は営業黒字を見込んでいる。

 東南アジア金融事業の営業利益は32.3%増の10億26百万円だった。銀行業における貸出金の増加や保有有価証券の増加に伴う利息収支増加などで36.2%増収となり、貸倒引当金(損失評価引当金)繰入額の減少なども寄与した。

 不動産事業の営業利益は43百万円の損失(前年同期100億56百万円の利益)だった。Jグランドの不動産取扱件数の増加、ライブレントの連結取込などにより不動産販売収益が増加したが、ミライノベートを吸収合併したことに伴い前期計上した負ののれん発生益が剥落した。

 投資事業の営業利益は9億16百万円の損失(前年同期2億04百万円の損失)だった。訴訟費用が増加した。その他事業の営業利益は2百万円の損失(前年同期3百万円の利益)だった。

 24年12月期通期の連結業績予想は営業収益が23年12月期比12.0%増の1280億円、営業利益が8.2%減の74億円、親会社の所有者に帰属する当期利益が60.8%減の64億円としている。配当予想は23年12月期と同額の14円(期末一括)としている。予想配当性向は30.0%となる。

 セグメント別営業利益計画は、日本金融事業が22.9%増の57億22百万円、韓国およびモンゴル金融事業が8億37百万円(23年12月期は33億34百万円の損失)、東南アジア金融事業が17億32百万円(同10億19百万円の損失)、不動産事業が89.5%減の11億33百万円、投資事業が1億53百万円(同20億72百万円の損失)、その他事業が50百万円(同55百万円の損失)としている。

 日本金融事業は信用保証業務、債権回収業務、証券業務が順調に伸長して大幅増益を見込む。韓国およびモンゴル金融事業は質の成長を目指し、貯蓄銀行業務と債権回収業務による安定的な利息収益計上を見込む。東南アジア金融事業は、インドネシアでは銀行業務の積極的な貸出残高の増強など、債権回収業務の買取債権増加による収益機会の拡大、カンボジアでは富裕者層顧客のニーズを汲み取った商品開発などを推進する。不動産事業では総合不動産会社として商品ブランド認知に注力する。投資事業では裁判費用等の回収コストを抑制しつつ、GL社に対する債権回収強化を図る。

 通期予想は据え置いて、負ののれん発生益の剥落により減益予想としている。ただし、第1四半期の営業利益が計画を上回ったことなどを勘案すれば保守的な印象が強く、通期予想にも上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。

■株価は目先的な売り一巡

 株価は第1四半期業績を嫌気する形で反落したが、指標面の割安感も評価材料であり、目先的な売りが一巡して出直りを期待したい。5月15日の終値は413円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS46円61銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の14円で算出)は約3.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結1株当たり親会社所有者帰属持分1104円10銭で算出)は約0.4倍、時価総額は約569億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

関連記事

最新記事