テンポイノベーションは25年3月期小幅減益予想だが保守的

2024年5月16日 09:05

(決算速報)  テンポイノベーション<3484>(東証プライム)は5月13日の取引時間終了後に24年3月期連結業績を発表した。利益面は人件費、採用費、管理費などの増加により減益だったが、売上面は転貸借物件数の増加により増収と順調だった。25年3月期は小幅減益予想としている。売上面は引き続き転貸借物件数が順調に増加して大幅増収だが、持株会社への移行(24年10月1日付、商号をイノベーションホールディングスに変更予定)や先行投資に係る費用の増加を考慮している。ただし保守的な印象が強く、会社予想に上振れ余地がありそうだ。なお持株会社への移行を踏まえた中期経営計画(ローリング方式、25年3月期~28年3月期)を策定した。株価は決算発表を機に急落して年初来安値を更新したが、売られ過ぎ感を強めている。目先的な売りが一巡して出直りを期待したい。

■24年3月期減益、25年3月期小幅減益予想だが保守的

 24年3月期の連結業績は、売上高が23年3月期比9.1%増の142億63百万円、営業利益が19.6%減の9億74百万円、経常利益が20.1%減の10億11百万円、親会社株主帰属当期純利益が24.8%減の6億66百万円だった。配当23年3月期比4円増配の20円(期末一括)とした。配当性向は50.5%となる。

 利益面は人件費、採用費、管理費などの増加により計画を下回り減益だったが、売上面は転貸借物件数の増加により増収と順調だった。セグメント別に見ると、店舗転貸借事業(店舗セーフティーの店舗家賃保証事業を含む)は売上高が11.2%増の135億53百万円で営業利益が15.8%減の8億09百万円、不動産売買事業は売上高が19.0%減の7億10百万円で営業利益が34.3%減の1億64百万円だった。

 店舗転貸借事業の転貸借契約件数(新規契約件数+後継付け件数)は23年3月期比3.3%減の466件、期末時点の転貸借物件数は23年3月期末比229件増加の2445件となった。個人・小規模飲食事業者の旺盛な出店需要に対応して店舗物件の積極的な仕入を推進した。不動産売買事業では10物件を売却、8物件を取得して期末時点の保有物件数は4件となった。

 なお全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が34億10百万円で営業利益が2億44百万円、第2四半期は売上高が36億88百万円で営業利益が2億81百万円、第3四半期は売上高が34億23百万円で営業利益が1億95百万円、第4四半期は売上高が37億42百万円で営業利益が2億54百万円だった。

 25年3月期の連結業績予想は、売上高が24年3月期比18.1%増の168億40百万円、営業利益が6.9%減の9億07百万円、経常利益が6.9%減の9億42百万円、親会社株主帰属当期純利益が5.3%減の6億30百万円としている。配当予想は24年3月期比1円増配の21円(期末一括)としている。連続増配で予想配当性向は55.9%となる。

 売上面は引き続き転貸借物件数が順調に増加して大幅増収だが、持株会社への移行(24年10月1日付、商号をイノベーションホールディングスに変更予定)や先行投資に係る費用の増加を考慮している。ただし保守的な印象が強く、会社予想に上振れ余地がありそうだ。なお持株会社への移行を踏まえた中期経営計画(ローリング方式、25年3月期~28年3月期)を策定し、従来計画に対して25年3月期と26年3月期の年間配当予想額を引き下げた。

■株価は売られ過ぎ感

 株価は決算発表を機に急落して年初来安値を更新したが、売られ過ぎ感を強めている。目先的な売りが一巡して出直りを期待したい。5月14日の終値は850円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS37円58銭で算出)は約23倍、今期予想配当利回り(会社予想の21円で算出)は約2.5%、前期実績PBR(前期実績の連結BPS197円73銭で算出)は約4.3倍、そして時価総額は約150億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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