【どう見るこの相場】「需給とファンダメンタルズの交錯」ゴールデンウィーク明けの市場動向
2024年5月7日 14:31
【日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部】
■自分流の業績相場にダークホース?!上方修正実績のある舶用機器関連株の決算発表からマーク
「ゴールデンウィーク(GW)」明けである。きょう7日から連休で鋭気を養った投資家が、市場参加者としてカムバックし、3月期決算会社の業績発表もピークを迎える。株価形成は、「短期は需給、中期はファンダメルズ(経済の基礎的条件)」といわれ、その基礎的条件の最たる企業業績の先行きが明らかになるから、二つながらのファクターが揃うことになる。
■任天堂決算発表が示す市場の先行指標
GW明け後のマーケットが、なお需給相場なのか、業績相場への移行を鮮明化するのか、きょう7日に決算発表を予定している銘柄のうち、引け後発表の任天堂<7974>(東証プライム)などが先行性を発揮しそうだ。連休最終日の前日6日の米国市場では、生成AI関連の半導体トップのエヌビディアが、3営業日続伸してほぼ1カ月ぶりに900ドル台を回復しており、米国の相場格言の「Sell in May,and go away(セル イン メイ,アンド ゴー アウェイ、5月に売り逃げろ)」の懸念は大きく後退し、連休明けの東京市場でも、半導体関連株をリード役に業績相場の全面高が期待されるところである。ただ東京市場で業績相場がスタートする場合は、2つの関門が想定される。一つは、もちろん上場会社の業績ガイダンスが増益予想で、ここに増配、自己株式取得、株式分割などのオマケが付くなら最高である。もう一つの関門が、市場コンセンサスでこれが曲者となる。
市場コンセンサスとは、証券アナリストが個々の上場会社の業績を予想し、それを集計した平均値とされている。この市場コンセンサスを上場会社の業績ガイダンスが上回るか、下回るかで株価が急騰も急落もし、日米両市場の共通の相場エレメントとなっている。大型連休前、連休中も上場会社の業績ガイダンスと市場コンセンサスとの綱引きで株価が変動したケースは相次いだが、これからピークを迎える決算発表では、さらに相次ぐことになる。
しかしである。本来、市場コンセンサスと上場会社の業績ガイダンスとが異なる場合は、その相違は、証券アナリストの分析ミス、読み間違いとしなければならないはずである。上場会社サイドでも、業績ガイダンスを積極的、保守的に見積もるなどのるクセがあるが、それを差し引いてもである。そのギャップの責任は、かつてなら「理論家は理路整然と曲がる」などと嘲笑されて一件落着となったものだが、現在は、奇妙なことにその責は専ら業績ガイダンスの方に転嫁され株価が急騰、下落するカタリスト(株価材料)にされている。
これから本格化する決算発表で、この市場コンセンサスとどう折り合いをつけるかも銘柄選びのポイントとなる。まずは市場コンセンサスをまったく無視することへのトライである。業績ガイダンスに素直に反応して投資行動することである。しかしケインズも看破したように株式投資は「美人投票」で、ビートたけし流の「赤信号、みんなで渡ればこわくない」の側面も強い。市場が売っているときに買い、市場が買っているときに売るのは大変な勇気とリスクがつきまとう。
折り合いの付け方のもう一つは、証券アナリストのカバーしていない銘柄にアプローチすることである。証券アナリストが日々ウオッチしている銘柄は、主力銘柄を中心に1000銘柄を超える程度だろう。このうち複数のアナリストがカバーするのは、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)への寄与度が高く、市場全体のトレンドを左右しており、ここから外れる銘柄の指数インパクトは大きくない。しかし個人投資家が、インデックス運用する必要もなく、個々の銘柄でリターンをゲットできれば競馬のレーン大外を疾駆するダークホースを引き当てることになる。
今週のコラムは、全面業績相場の中でディフェンシブな動きを見せつつ、東証プライム市場の小型株やスタンダード市場銘柄を業績相場のダークホースとして取り上げた。これらの銘柄は、3月期業績に上方修正実績があり、今後アップトレンドが予想される業界に属している。特に舶用機器関連株に注目したい。
古野電気<6814>(東証プライム)とダイハツディーゼル<6023>(東証スタンダード)は既に決算を発表しており、古野電気は減益転換予想と減配を予想している一方で、ダイハツディーゼルは逆行高を見せている。しかし、日本の造船業はコスト競争力で5年後には世界トップを目指しており、関連銘柄の決算発表後の動きに注目が集まっている。
GW明けの決算発表を前に、これらの銘柄が業績相場の準備作業において重要な役割を果たす可能性がある。投資家は、関連情報を注視し、自分なりの戦略を練るべきだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)