日銀が大規模緩和を解除 株価の下支えを続けた結果、30兆円超の含み益?

2024年3月22日 08:53

 19日、日本銀行は金融政策決定会合でマイナス金利政策を始めとする大規模緩和の解除を決めた。17年間に渡って行われた大規模緩和と、10年後にスタートした7年間のマイナス金利政策は終了した。

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 賃上げとインフレ目標という大義名分に見通しがつけられていたとはいえ、金融市場に及ぼす影響を極力軽減しようという思惑が見え見えの、政策変更を暗示するアナウンスが各方面から漏れ出していたから、重大な決定にも拘らず呆気なく受け入れられた。マイナス金利政策は終了したものの、「追加の利上げは急がない」と植田和男総裁が念を入れるように発言していたことも、冷静な受け止めの理由だろう。根回しが目論み通り奏功した結果だ。

 しかし、日銀が(1)唯一の発券銀行として、通貨の発行量の調整による金利の増減で経済の安定的な発展を促し、(2)政府の銀行として、政府資金の収支窓口としての機能を発揮。(3)銀行の銀行として、円滑な経済運営を担うという3つの役割を適切に果たすためには、将来の施策に関して予断が許されないことは言うまでもない。

 マイナス金利政策の解除を決定した日銀は同時に、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)の撤廃と、上場投資信託(ETF)等リスク資産の新規買入の終了も決めた。

 日銀は物価や金融システムの安定を目指して市場に機動的な通貨供給を行うため、2010年からETFの買入を行ってきた。元々は、日経平均株価が1万円前後に低迷する状況を活性化するための「呼び水」として、買入限度額が4500億円に設定された時限的な措置だった。

 ところが2013年に当時の黒田東彦総裁による異次元緩和がスタートして、年間1兆円へと限度額が引き上げられた後は歯止めが効かなくなったように、年間3兆円から同6兆円へと拡大を続け、2020年には買入額が7兆円まで膨らんだ。

 このため、現在までに購入に充てられた資金(簿価)は37兆円に上る。株価はご承知の通り過去最高値を付けるほどに上昇し、日銀の保有するETFの時価額はざっと70兆円になった。13年ほどの期間で33兆円の含み益を抱えるに至った訳だから、投資家目線で評価すると見事な運用実績という他はない。皮肉なことは、日銀は投資家ではないということだ。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

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