【QAあり】note、株主ミーティングを実施 AI関連技術の積極活用やクリエイター支援を強みに、新たな市場創出とクリエイターサクセスの実現へ

2024年3月5日 09:32

目次

司会者:これより株主ミーティングを開始します。ご多用のところご参加いただき誠にありがとうございます。

本日は、スライドに記載の流れで進めていきます。前半で最近の取り組みや今後の成長戦略についてご説明し、後半でみなさまからのご質問を受け付ける時間を設けています。まず、登壇者をご紹介します。

代表取締役CEO 加藤 貞顕

加藤貞顕氏(以下、加藤):代表取締役CEOの加藤です。ここにいるメンバー全員が自己紹介するかたちになっていますので、私も少し自己紹介します。

この会社の創業者です。もともとは出版社で編集者をしていました。アスキーというコンピュータ系の出版社にいたこともあり、コンピュータとコンテンツの両方に携わりました。

noteは、クリエイターのみなさまがネット上で活躍する仕組みが必要だと考えて始めた事業です。「note」というサービスはもうすぐ10年目となり、引き続き伸ばしていきたいと思っています。引き続きよろしくお願いします。

取締役CTO 今 雄一

今雄一氏(以下、今):取締役CTOの今です。私は新卒でDeNAに入り、エンジニアとしてキャリアをスタートしました。2013年にnoteに入社しています。

当時は新規事業として「note」を立ち上げるタイミングでしたので、最初の実装から、その後のグロースにおいて必要に応じていろいろな技術的な要素を足したり、開発したり、エンジニア系の組織を作ったり、加藤と並走して進めてきました。

昨年からは、生成AIやマシンラーニングを専門に扱うnote AI creativeという会社の代表取締役も務めています。本日はよろしくお願いいたします。

取締役CFO 鹿島 幸裕

鹿島幸裕氏(以下、鹿島):取締役CFOの鹿島です。大学卒業後、外務省に入り、その後アメリカへの留学を挟み、コンサルティング会社に入社しました。その後、インターネット企業で上場会社であるカカクコムで、新規事業の責任者や経営企画部長を経験しました。さらに、投資ファンドの投資先の会社でCFOを務め、2018年にnoteにジョインしています。

noteでは主に戦略やコーポレート系全般を統括し、IRも監査等委員の竹川さんにご指導いただきながら管掌しています。

当社は1年と少し前に上場し、「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする。」という壮大なミッションに向け、まだ道半ばと考えています。

将来的には「note」をインフラのようなサービスにしたいと思っています。他社のサービスを例に挙げると、おそらくここにいらっしゃる方のほとんどが使用している「LINE」はコミュニケーションインフラです。あるいは、AmazonのようなEコマースのプラットフォームも、おそらくみなさまが使われていると思います。

それらのサービスのように「note」がプラットフォームとして、日々の生活に不可欠なインフラとなるようにしていきたいと思っています。

まだ上場して1年と少しの若い企業ですので、株主のみなさまと一緒に成長していきたいと思い、本日、通常の株主総会とは別に株主ミーティングの場を設けさせていただきました。本日はどうぞよろしくお願いします。

社外取締役(監査等委員) 田邉 美智子

田邉美智子氏:監査等委員の田邉です。2003年に公認会計士の二次試験に合格し、その後大手監査法人でベンチャー企業のIPOから、今のプライム市場に鞍替えし、大企業までの法定監査に携わりました。企業の成長していく過程を追うような監査を16年間実施しています。

noteには2020年より参加させていただき、常勤監査等委員として従事しています。本日はよろしくお願いします。

社外取締役(監査等委員) 水野 祐

水野祐氏(以下、水野):こんにちは、監査等委員の水野です。ふだんは弁護士をしており、主な領域はスタートアップやクリエイティブ企業の法的なサポートです。株主総会が終わった後も多くの方に残っていただき、この機会を楽しみにしています。どうぞよろしくお願いします。

社外取締役(監査等委員) 竹川 美奈子

竹川美奈子氏:監査等委員の竹川です。もともとメディアの出身で、日経新聞のグループ会社の出版社に勤めていました。一時期は新聞社へ出向し記事を書いていたこともあります。

2000年に独立し、個人の資産形成をサポートをするべく、企業の研修を行ったり、記事を書いたり、投資家交流会なども実施してきました。2016年からは金融庁の金融審議会のさまざまなワーキング・グループの委員なども務めています。

noteのミッションには、私も非常に共感しています。みなさまと一緒に長期的な企業価値の向上を図っていければと思いますので、サポートしていただけると大変ありがたいです。どうぞよろしくお願いします。

noteのミッション

加藤:私からは事業の概要や成長戦略についてご説明します。その後、今やほかのメンバーから会社の具体的な取り組みについてご説明し、最後に質疑応答ができればと思っていますので、ぜひお付き合いいただければと思います。

まず、noteのミッションは「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする。」です。先ほど鹿島が「インフラを目指しています」とお伝えしましたが、これを文字どおり実現しようとしています。

「だれもが」とあるように、あらゆる人に使ってもらうサービスを目指しているところです。しかし、月間のアクティブユーザー数を表すMAUは現在5,000万人ほどで、日本の人口には届いていません。さらに言えば、累計会員登録者は700万人ほどですので、まだ「だれもが」という状態ではないと思っています。

「続けられるようにする」も非常に大きなテーマです。「note」はとかく課金が注目されがちです。クリエイターのみなさまがいろいろな活動を通じて生計を立てており、それはもちろんすばらしいことです。

しかし、それ以外にも、例えば出版につながったり、あるいは友だちができたり、「note」を使っていただくことでさまざまな機会を得られ、生活の一部として過ごしていただくような場所にしたいと思っています。

クリエイティブの街 noteの成⻑

現在、累計会員登録者は733万人、公開コンテンツは約4,000万件、クリエイターの数が127万人となっています。733万人のうち127万人の方がコンテンツを投稿しているということです。これらの数字をさらに伸ばし、「みんなが使っている」という状態まで持っていきたいと思っています。

個人クリエイターのコンテンツ購入が当たり前に

現在、流通総額は年間137億円まできており、上位1,000人のクリエイターの平均年間売上は1,000万円を超えています。「note」だけで生計を立てられるクリエイターもすでに登場しており、新しい経済圏が生まれつつある状況です。

ARPPUは現在2,547円です。これをさらに大きくしていきたいと思っています。

noteが取り組む課題と具体的な施策

このスライドはよく出てきますので、みなさまに覚えて帰っていただきたいと思います。noteが何を目指す会社なのか、クリエイターのみなさまに何を提供できるのかについて示しています。「CREATION」「DISTRIBUTION」「FINANCE」の3つがうまく噛み合って成長することで、「note」をより使っていただけるようになると考えています。

「CREATION」とは、創作に関する部分です。良い作品が生まれやすい仕組みを作り、クリエイターを増やしていきます。

「DISTRIBUTION」とは、作品をより届けやすくすることです。例えばアプリの機能や、ほかにもリコメンデーションのエンジンなど、いろいろな方法でコンテンツをみなさまに見てもらえるようにしていきます。

「FINANCE」とは、収益化をしやすくすることで、クリエイターがサクセスして新しい活動が続けられるという流れができれば、さらにサービスを伸ばしていけると思っています。

我々はすべての施策をこれらに紐づけて考えています。

AI関連技術の積極的な活用

ここからは、具体的な施策をご紹介します。後ほど詳細をご説明しますが、AIへの投資は2017年頃から始めており、実はかなり前からAIに取り組んでいます。コンテンツを扱う上での分類やリコメンデーションなど、裏側の仕組みを作るところでAIを活用しています。

一昨年末くらいから盛り上がっているLLM(大規模言語モデル)とともに、我々も新しい段階に入りました。例えば、クリエイター向け機能「AIアシスタント(β)」を導入し、好評を博しています。このようなユーザーに使ってもらえるサービスを作っており、今後このような動きをさらに拡大させ伸ばしていくため、AI子会社のnote AI creativeを設立しました。

メディア露出の強化

ご覧になった方もいらっしゃるかと思いますが、『がっちりマンデー!!』『THE TIME,』『ひるおび』など、いろいろなところで「『note』を使うとおもしろいよ」「こんなふうに稼いでいる人がいるよ」といったメディア露出が増えています。これは自然に増えたわけではなく、我々のPR活動が成し遂げた成果です。

さまざまなメディアに「『note』ってこのような側面があるよ」とアプローチし、サービスの認知拡大に取り組んでいます。

「note」は広く使われ、知名度もある程度はあるとは思いますが、すべての人が知っているわけではありません。また、知っていても機能のことはよくわからないという人も多いと思います。より広く知られ、使ってもらえるようにしたいと思っています。

最近ではテレビで芸人が「それ『note』に書いとこうか」と言ってくれるなど、話題にのぼりはじめており、成果が出てきていると感じます。

note proの提供価値を高める機能開発の推進

「note pro」のさらなる成長のためには、機能が重要だと思っており、機能開発に取り組んでいます。「note pro」を利用する企業は発信だけがしたいのではなく、究極的には発信で認知を得ることで、売上の向上や採用につながる具体的な成果を必要としています。

そのような成果につながる機能があるほどチャーンレートは下がり、「note pro」のサービスもさらに売れていきます。そのような機能開発をいろいろ進めているところです。

具体的には「AIアシスタント(β)」の法人向け特別機能の提供や、リードを獲得するメールアドレス取得機能の導入があります。「note pro」の提供価値を高めるにあたり、いろいろな機能を導入・強化していく予定です。

アプリの機能強化‧ポイント制の導入計画

アプリの機能強化とポイント制の導入についてです。ポイント制を導入するねらいはプロモーションのためだけでなく、やはりアプリから販売できるようになることが非常に重要だと思っています。これは主要KPIであるGMVの大きな伸びしろにもなると思っているところです。

スマートフォンのWebブラウザでコンテンツを見る人と、アプリで見る人を比較すると、後者のほうが継続して読む記事の本数や再訪率が高いです。したがって、アプリで読んで購入もできるようになれば、記事が読まれたり買われたりする機会が増えます。

スライド右上の図で、「DISTRIBUTION」と「FINANCE」が緑色に塗られているように、アプリの機能強化とポイント制の導入はその部分に利く施策として考えています。

ポイントで課金できるようになるためには行政の審査があるため、導入時期はお約束できませんが、準備を進めています。

noteの街を盛り上げるコンテストの取り組み

コンテストの取り組みは、「CREATION」に利く試みと位置づけています。さまざまなコンテストを開催し、クリエイターの活躍機会を提供しています。実際にコンテストによってクリエイターが増えて、作品の投稿も増える流れができています。

『少年ジャンプ+』『週刊少年マガジン』の原作とあるように、現在、コンテンツ全体で原作が足りていない状況です。大きなところでは「Netflix」「Amazon Prime Video」などのコンテンツのチャネルは増えていますが、原作が生まれる場所の数はあまり変わっていないため、原作が足りなくなっています。

各社が原作者の才能発掘に取り組んでいる状況であり、コンテストの開催はその答えの1つとなると思っています。実際に成果が出ており、今後もより力を入れていきたいと思っている取り組みです。

noteが生み出すコンテンツの新たな市場

成長性や市場性についてご説明します。スライドの図は、コンテンツ市場の全体イメージに、noteが生み出す市場を表したものです。

コンテンツ市場としては書籍やセミナーのほかに、例えば、マッキンゼー・アンド・カンパニーに会社の調査を依頼すると、何億円というようなレポートが提供され、それもコンテンツと捉えれば、大学やコンサルティングもコンテンツ産業として捉えられると思います。専門性が高いコンテンツほど価格は高くなり、そして図のように従来のコンテンツ市場はそれぞれ分断された状態でした。

書籍はおよそ500円から3,000円で、出版社で出した本は書店に流通する仕組みがあります。セミナーは数千円から数万円で提供される市場があり、大学は大学、書店は書店の市場というように、リアルにバラバラにある状態でした。

一方「note」は本のように記事を販売する人もいれば、セミナーやコンサルティングのようなことを行っている人もいます。

例えば、元日経新聞記者の後藤達也氏は投資家向けのコンテンツを提供しています。これは本や雑誌に近い面もあるかと思いますが、同時にコミュニティでもあり、定期的にオフ会などを開いて、人々を集めて語らうセミナーのようなことも行っています。今まであったいろいろなコンテンツを統合したようなことを行っているかと思います。

かたちにとらわれず、量の制約もなく、さまざまなコンテンツをクリエイターがファンに直接提供できるサービスであることから、今後もいろいろなことができる場所になっていくと思っています。

noteがアプローチするコンテンツ市場

最大の市場規模を表すTAMについて投資家とよく議論がなされます。結論から言いますと、まだ伸び代があることから天井を打つ感じではないと考えています。

「note」のGMVは前期で137億円です。コンテンツ市場は、オンライン上のテキストコンテンツ市場だけで1.6兆円あり、デジタルコンテンツ市場で9.2兆円あります。これをまとめると約12.5兆円です。「note」は137億円でまだまだ小さく、伸び代がある状態です。天井を気にすることなく、ひたすら伸ばしていける時期はまだ続くと考えています。

あらゆるコンテンツのデジタル化が進展している最中ですので、もちろんグローバルでさらに大きくなるところもきちんと捉えて、プラットフォームとしての価値を提供していくことが大事だと思います。

noteのエコシステムを拡張させ、新たなクリエイターサクセスを創出

今後、noteが推進する方向性についてです。「noteのエコシステム」という言葉をスライドに記載しています。

これまでは、主に「note.com」というサービスに取り組んできました。実際に、事業の大半がこちらになります。それに加えて、ビジネス機能強化として、法人向けサービス「note pro」の提供やその他事業を行ってきました。もちろん「note.com」は引き続き重要であり、「note pro」も伸ばしていきます。

スライド左側に示している「noteのツール」のひとつが「note pro」ですが、今後外部に提供するツールとして、ここにさらにプラスされるのがAIです。note AI creativeがまさにそこに当たり、外部向けにAIのさまざまなソリューションを提供していきます。

スライド右側をご覧ください。この部分は新しいお話になりますが、2024年11月期に予定している戦略投資に大きく関わってくる部分です。詳細はまだお伝えできませんが、「note」の資産を活用して、特定カテゴリに特化したサービスを「note.com」外の新サービスとして立ち上げる予定です。

「note」はかなりいろいろなコンテンツが載っています。例えば大きな書店に行くと、いろいろなコーナーにさまざまな本が売っています。

現在は「note.com」の中だけでそれと同じようなことを行っていますが、少し外側に広げ、専門分野のカテゴリーで新サービスを分けて立ち上げることで、クリエイターのみなさまと読者が出会うきっかけが増えて、読者もコンテンツがより見やすくなると考えています。

そして、AIでバリューチェーン全体をうまく制御していくことで、価値を提供できるのではないかと思っています。

noteエコシステム拡大による成⻑イメージ

みなさまの関心が高いところだと思いますが、成長イメージについてお話しします。2023年はかなりコスト規律を意識してやってきました。引き続き、2024年もコスト規律の強化を重視します。それに加え、成長投資も実施し、noteのエコシステム構築を開始します。2025年以降はnoteエコシステムをうまく活かして拡大し、売上高成長率もより伸ばしていきたいと考えています。

noteが目指すのはインターネット上の「街」

「note」が目指しているのはインターネット上の「街」です。先ほど鹿島がインフラと言いましたが、インフラでもあります。東京がまさにわかりやすい例だと思いますが、この街にはいろいろな人が集まってきます。なぜかというと、ここに人々がいて、機会があるからだと思います。

そのような場所をインターネット上で作りたいと思っており、個人・法人にかかわらず、あらゆる人が集まり、新しい創作ビジネスを行う活動の本拠地になることを目指しています。

我々はネット上で過ごす時間がどんどん増えていると思います。ここにいるメンバーは、おそらく1日の半分を超えています。仕事もオンラインが多く、ネット上に引っ越しを終えつつあるくらいの人もいます。しかし、全世界・全人類がそのようになっているわけでもなく、まだ移行している最中です。

ただし、引っ越しを終える人がだんだん増えていくことは間違いありません。現在は10パーセントほどの人も、来年は15パーセントほどになるかもしれません。もちろん人によりますが、おそらく10年後くらいには大半の人が過半数の時間をネット上で過ごすようになると思います。

その時、オンライン上に発信や交流、ビジネスの本拠地が必要になると考えており、「note」はそのインフラになることを目指しています。

IRの取り組みについて

最後に、当社はIRを大変重視しています。みなさま、本日もお集まりいただき誠にありがとうございます。投資家や株主のみなさまは我々のサポーターだと考えていますので、このような機会をさらに増やしていきたいと思っています。オンラインでも参加できるものを3月と4月にも開催しますので、ぜひまたご参加ください。

上場企業のIR記事を配信する「IR note マガジン」

「IR note マガジン」についてです。どちらかと言いますと企業向けですが、みなさまに使っていただいても便利かと思います。

法人利用が意外に多い「note」では、企業がIR情報の発信を始める事例がはやりつつあります。「IR note マガジン」は、企業のIR情報をまとめたコーナーで、現在72社が集まって発信しています。みなさまのお役にも立てるかと思いますので、ぜひご覧ください。

当社のIR情報発信について

当社のIR発信は、スライドに記載のサイトで行っています。まだフォローしていない方がいらっしゃいましたら、この機会にぜひご覧ください。

クリエイター向け機能「AIアシスタント(β)」

司会者:ここからは、当社が現在進めている具体的な取り組みのうち、AIとクリエイター支援の2つのテーマについてより詳しくご紹介します。AIに関しては、AI子会社note AI creativeのCEOを務める今と、取締役を務める加藤に、CFOの鹿島がインタビューする形式で現在の取り組みについてご紹介します。

鹿島:AIとクリエイター支援の2つの個別のセッションのうち、まずAIについてお話しします。AIを個別に扱う理由は、マーケット的にも非常に注目度が高い領域だと考えているためです。

「note」のAIは、メディアからも非常に注目されています。先ほど加藤のお話にあったように、昨年12月や今年1月のテレビ放送も「note」のAI機能についてフォーカスが当たるような内容になっていました。そのため、みなさまの関心が高いのではないかと考え、このトピックを扱っていきます。

AIに関する取り組みについて簡単にご説明します。先ほどから何度か話に出ている「AIアシスタント(β)」を昨年2月に先行リリースし、4月に一般公開しました。

「ChatGPT」が世間で盛り上がったのが昨年の1月と2月の端境くらいで、そこから2週間ほどでプロダクトとしてリリースしたところ、非常に大きな反響があり、メディアや投資家からいろいろな問い合わせを受けました。

簡単に言いますと、「note」で投稿する時にAIがアシスタントとして創作を支援してくれる機能です。無料でも使えますので、ぜひお試しください。

「AIアシスタント(β)」機能一覧

機能は33個用意しています。みなさまにも経験があるかと思いますが、文章を書く時は最初の書き出しが一番ハードルが高いと思います。なかなか筆が進まず、書き出しが書けない時に、どのようなことを書けばいいのかなど、構成、書き出し、切り口、アイデアを編集者のように提案してくれます。

また、「もう少しフォーマルにしたい」「柔らかくしたい」「エモくしたい」という時に書きかえも提案してくれます。さらに、SNS用に文章を140字でまとめるような機能もあります。

AI子会社「note AI creative」の立ち上げ

先ほどお伝えしたとおり、昨年、子会社note AI creativeを設立しました。ここからは、「AIアシスタント(β)」やnote AI creativeをどのような目的で作ったのか、どのような強みがあるのかを、主にCEOの加藤とCTOの今に聞いていきたいと思います。

まず、「AIアシスタント(β)」についてです。昨年2月という非常に早い段階で導入しましたが、CEOの加藤さんに、導入の背景や目的をうかがいたいと思います。

加藤:昨年2月に先行リリースし、4月に正式リリースしました。「ChatGPT」が世間で話題になり始めた頃にリリースしています。早い段階で導入できたのは、だいぶ前からAIに取り組んでおり、社内的にかなり活用していたためです。

裏側の機能になるコンテンツの分類など、いろいろな仕組みとしてのAIにまつわる開発をCTOの今をはじめとする社内の技術メンバーで行っていたので、そもそもそのあたりに肌感がありました。

実は、技術者界隈では一昨年末頃にLLMがかなり話題になり始めました。我々もすぐに内部で試した結果、機能などを作れるという議論が始まり、実験的に作り始めていたことから早く対応できたのだと思います。もちろん、開発陣が非常にがんばってくれたことも大きいです。

鹿島:その中で「AIアシスタント(β)」の機能開発も進めて、昨年末にはnote AI creativeという子会社を設立しました。その子会社の代表である今さんに、子会社を作ってAI開発を進めることになった経緯をうかがいたいと思います。

:一言で言いますと、AIに注力するためと、AIに注力していることを内外に示すためです。昨年、非常に盛り上がった生成AIは、開発のスピードも非常に速く、兼任で注力できるほど甘くありません。

プロンプトのテクニックに関しても、かなりシンプルに見えて奥深いところがあります。一定の時間、それだけに集中してナレッジをためたり、ツールを作ったり、社内にどのように適用していくかという業務知識を整理する必要があります。

どうしてもけっこうなリソースが必要になってくることは昨年の段階ですでにわかっていたため、今回、正式に組織化し、担当者が生成AIやマシンラーニングに注力できる体制にしました。

結果として、その肌感はけっこう当たっていたと思います。具体的に業務の効率化や社内でのAI展開、ツールの作成やその事業化を目指して推進しているところです。

鹿島:補足しますと、組織を分けるもう1つのメリットとして、採用にもプラスの効果があると思います。特に、AIという領域が非常に注目されている中では、この分野でキャリアを築きたいというエンジニアも多くいます。

noteというよりAIに投資している会社に応募したいという方もたくさんいますので、noteとしてこの分野での採用にも一定の投資を行い、促進していくという覚悟で、このような会社を作りました。

続けて今さんにお聞きします。昨年、AIがバズワードのようになり、いろいろな会社がAIに関する開発を手がけているという話をよく聞きました。その中で当社のAIにおける強みを教えてください。

:おっしゃるとおり、昨年から国内外で生成AIを使ったいろいろなツール群のスタートアップがたくさんできてきています。私たちも、コンテンツ産業やメディアに関わるようなサービスを一通り触り、いろいろ研究してきました。ですので、汎用型のソリューションに関しては、おおむね私たちも想像がつく範囲にはなりました。

一方で、「note」では前提にある独自のデータや行動履歴などにより、さらに精度の高いサポートができると思っています。

例えば、たくさん記事を書いているクリエイターなのか、お金を出していろいろな記事を買うのが好きな人なのかなど、コンテキストがたくさんあればあるほど精度の高い提案や創作のサポートができます。「AIアシスタント(β)」の強化を含め、このように「note」のデータを使った「note」自体の強化も、今後、生成AIで行っていきたいと思っています。

加藤:私からも説明を加えさせていただきますと、いろいろな会社のいろいろな強み・弱みがある中で、生成AIの分野ではデータの量が勝負を分けるところがあると思っています。特にメタデータといわれる類の普通のネット上にはないデータをいかに活用できるかが非常に重要で、そこはnoteにかなり強みがあると思っています。

なぜなら、非常に多くの方が利用しているプラットフォームを運営しており、その上でさまざまな行動が行われており、それにまつわるデータを持っているからです。ですので、他社と差別化できるシステムが作れるのではないかと思っています。

もう1つは、やはりノウハウの部分です。メディアのプラットフォームサービスをずっと運営してきているため、メディアの運営について、どうすればグロースできるのか、どうするとうまくいかないのかなど、ノウハウをたくさん持っています。

我々自身がユーザーでもあるという視点で、メディアをグロースするためのツールのようなものも作っていきます。これを当社だけでなく、より洗練されたツールを外向けにも提供していくことで、事業として強いものにできるのではないかと考えています。

鹿島:私の立場からもお話ししますと、社内にはいろいろな業務があり、プラットフォーム運営やメディア運営の業務に携わっている社員や、私のようにコーポレート業務に携わっている社員もいます。今までは人の手で業務を行い、少しシステムで効率化することを行ってきました。

今起きていることとしては、設立したAI子会社note AI creative代表の今やエンジニアに向けて、そうしたさまざまな部門の社員が「このようなことはできないか」「このようなところに非常に工数がかかっているため、効率化できないか」とフランクに社内のチャット上で相談しています。

できるかどうかや開発にかかる工数などの問題はありますが、「AIを活用したらすごく簡単になりますよ」などの業務効率化を支援していただいています。

そしてこれ自体が「note」の競争力の強さにつながると思っています。あるいは、より抽象化してプラットフォーム運営やメディア運営という領域で汎用的に活用できるものが開発できれば、それを外販していく可能性もあるため、そのような事業の広がりも期待しています。

具体的にどのような機能を今後開発していく予定でしょうか? 方向性でもよいのですが、お伝えできる範囲でおうかがいできますか?

:私たちの会社は設立から約3ヶ月になります。この間に業務効率化やツールの開発など、さまざまなことを調査し始めました。実際に社内にサポートを提供しながら、知見や実績、経験値をためていっているところです。

その中で、ほかの会社や組織に提供できそうな事業の種がいくつかあります。どのようなかたちでパッケージ化されるかはまだ未定ですが、これから社内の経験知をさらにためて提供していきたいと思っています。

もちろん、「note」の「AIアシスタント(β)」のような「note」に対する新機能を、クリエイター向けや法人向けの「note pro」に展開するなども考えています。

加藤:具体的に言いづらく玉虫色な言い方になりますが、スライドにある範囲でお伝えします。コンテンツの分類、モデレーション、リコメンドあたりが非常に重要な領域だと思っており、これは「note」でも「note」外でも使いたいものだと思います。

Web関連の多くの人たちはこのような分野で困っており、イチから作ったりしていますが、当社は以前からこれらを作ってきました。これからも作り続けて提供していこうと考えています。また、今がお伝えしたような創作サポートツールや業務効率化サポートツールなども提供していきます。

鹿島:最後の質問として、noteのAIの取り組みやAI子会社note AI Creativeの取り組みに関して、懸念事項や課題があれば教えてください。

:懸念事項はたくさんあります。生成AIというドメインは、極めて不確実性の高い領域です。

昨年もOpenAIが「GPTs」という破壊的なソリューションを提供しはじめ、OpenAIを使っている多くのスタートアップに影響を与えました。このように、OpenAIはプラットフォーマーでもありプレーヤーでもあるという変わった立ち位置のソリューションの上に乗っています。

今後どのような事業が伸びていくかや、「このドメインは安定している」「アメリカから事業を持ってくれば成功する」といったところがほとんどない業界です。各社で手探りな状態が続いており、この状況は今年も続くだろうと思います。

その中で、当社もできるところから始めて、具体的な工数削減や新機能作成などで貢献しようと取り組んでいます。しかし、この業界はある日突然、ゲームのルールが変わったり、前提が崩れたりすることがよくあります。そのような外部状況を注視しながら、合理的に進めていきたいと考えています。

加藤:今の話に関連して、生成AIの業界は本当にスピードが速い世界です。今さんがお伝えしたとおり、一番怖いのは、一生懸命に便利なツールを開発しても、Googleや日本マイクロソフトが同じ機能やそれ以上のものを無料で提供し始めることです。すでに、今までできたベンチャーがいくつも影響を受けていると思います。

そのため、シンプルに便利な機能を作るだけではなく、既存のリアルな何かと紐づいていたり、プラスアルファの価値を加えて提供することが必要です。Googleや日本マイクロソフトが突然参入した結果ご破算にならず、かつ事業になる領域で展開することが大事かと思います。

鹿島:AIに関するセッションはここまでとなります。

クリエイター支援の取り組みについて

司会者:引き続き、当社のクリエイター支援の取り組みについて、クリエイター支援を行うグループでマネージャーを務める三原よりご説明します。

三原琴実氏:三原です。私からはクリエイター支援に関する取り組みについて、大きく4つご紹介します。

「note」は、多くのクリエイターにご利用いただいています。例えばプロの漫画家や作家、研究者、スポーツ指導者をはじめ、昨年度紅白に出場して話題になった音楽ユニットの「YOASOBI」にも公式でご利用いただいています。

⼤⼿企業、法⼈、公共機関のnoteも多数!

最近は個人のクリエイター以外にも、大手企業や法人、公共機関、スポーツチームにご利用いただくケースも増えています。こちらに関しては、導入や使い方の提案をサポートする専任の社内メンバーも在籍しています。

書籍化や書籍販促のサポート

このような方々を具体的にどのようにサポートしているのかについてご紹介します。1つ目に、書籍化や書籍販促のサポートがあります。

「note」に投稿された作品は、累計で268冊以上が書籍化されています。これは当社が把握している数ですので、実際にはもっと多くの作品が書籍として羽ばたいているのではないかと思っています。

出版社やメディア、エージェンシーなど86パートナー

「note」に投稿されている作品に対して、出版社からクリエイターに直接連絡が来るケースもあります。noteとしては、出版社やメディア、エージェンシーなど、86のパートナーと一緒にクリエイター支援プログラムを作っています。定期的に「note」に投稿されている作品を、それらのパートナーに紹介しています。

出版社から書籍化したいという連絡があった作品については、出版社の担当者とクリエイターを引き合わせ、実際に書籍化された場合は、良いタイミングで発売の告知などのサポートを行っています。

書籍化・執筆展開の事例

書籍化された作品の事例です。「note」にはさまざまな作品が投稿されています。その結果、書籍化と言っても小説やエッセイ、漫画、レシピ、ビジネス書などさまざまなジャンルの本が「note」から生まれています。

出版社と連携しているケース

最初から書籍化を見据えて、出版社とあらかじめ連携しているケースもあります。例えば、作家のよしもとばなな氏は「note」でサブスクリプション形式でエッセイを連載し、それがある程度まとまったら編集して、シリーズで書籍化しています。

「note」をたくさん活用していただいているニューヨーク在住のミュージシャン大江千里氏は、「note」を「知的な遊び場」「即興の実験場」と表現していました。まさにそのようなかたちで、まだ世に出す前の作品を実験的に「note」で発表するケースも増えています。

noteがきっかけ! その他のサクセス例

書籍化以外にも、いろいろな展開があります。落合陽一氏は、「note」で発表していた写真をベースに展覧会を開催しました。芸人のバイク川崎バイク(BKB)氏は、「note」で発表したショートショートが小説として書籍化され、さらにドラマ化されました。映像作品以外にも、舞台化されているケースもあります。

コンテスト

2つ目のクリエイター支援の取り組みとして、コンテスト実施によるクリエイターの才能発掘についてご紹介します。

先ほどご紹介した『少年ジャンプ+』や『週刊少年マガジン』のように、漫画原作の発掘コンテストを開催しました。また、テレビ東京と一緒にドラマのシナリオ原作を募集するコンテストや、ソニーミュージックと「TikTok」と共にショートショートをドラマ化するコンテストを開催したこともあります。

メディアでは原作不足が問題になっていますが、当社は「note」で発表している作家がどのような作品を発表していきたいかを日々リサーチしています。その情報とメディアの課題を掛け合わせて、さまざまなコンテストを企画運営しています。

書籍化・連載・ドラマ化 続々決定!

昨年度、16のメディアと一緒に「創作大賞」を開催しました。その中で12作品が入賞し、そのうち5作品が書籍化されたり連載やドラマ化が決定しました。

創作⼤賞受賞者のサクセス(⼀部)

先週発売された別冊文芸春秋で、秋谷りんこ氏という受賞者の小説の連載が始まりました。スライド右側のせやま南天氏は、初めて書いた小説作品の書籍化準備が進んでおり、書影も上がってきている状態です。

このようにプロの作家だけでなく、できるだけ多くのクリエイターの活躍の場所を増やせるように、小さなものから大きなものまでいろいろなコンテストを運営しています。

note placeでのイベント実施とクリエイターへのスペース貸出

3つ目のクリエイター支援の取り組みとして、「note place」のイベントをご紹介します。当社のオフィスには「note place」というイベント会場があり、そこでさまざまなイベントの企画運営をおこなっています。昨年度だけで、年間250回ものイベントを開催しました。

note placeでのイベント実施とクリエイターへのスペース貸出

開催されたイベントとして、note主催では、「note」の使い方がわかるような勉強会や、確定申告の仕方を学べる勉強会、プロのクリエイターを招いて良い小説や作品の作り方を学べる勉強会などがあります。

また、noteが企画運営に入らずに、単純に場所だけを貸したり、収録・配信のサポートだけを行うケースもあります。最近では芸人の活用が増えており、「note」を使っている芸人のお笑いライブを開催したり、後藤達也氏が「YouTube」で配信している番組の収録場所として提供することもあります。

クリエイターとファンがオフラインでもつながれる場所として、今後もスペースの運営を積極的に行いたいと思っています。

個別セミナー・出前授業の実施

最後に、4つ目のクリエイター支援の取り組みとして、個別セミナー・出前授業の実施についてご紹介します。クリエイターをたくさん抱えている企業やインフルエンサーのグループ、市町村などの要望に応じ、出張で出前授業やセミナーを開催しています。

「note」はさまざまな使い方ができますので、「収益化したい」「安心・安全に情報発信したい」などのクリエイターのニーズを汲み取り、カスタマイズした勉強会を行うことで、最初からそれぞれの目的に沿った使い方で始めることができます。こちらもご要望をいただき次第、できる限り対応していきたいと考えています。

鹿島:少し補足します。先ほどのAIのセッションで「AIは『note』の強みの1つです」とお伝えしましたが、「note」はAIだけではなく、このような人的支援も行っています。クリエイターのニーズに合わせてカスタマイズしたサポートを行い、AIと組み合わせながら多くのクリエイターを支援しています。

AIのテクノロジーと、人によるさまざまなクリエイターサクセスを支援するためのサポートを掛け合わせたハイブリッドなサービスが当社の1つの強みです。AIに強い会社や人的サポートに特化している会社もありますが、この2つを組み合わせてハイブリッドで行えることが「note」の特徴であり、強みだと考えています。

質疑応答:IPの創出とオンラインテキストコンテンツ市場のシェアについて

質問者:2点質問します。1点目は、「原作が足りないためコンテストを大規模に開催している」というお話がありました。「note」の収益モデルについて、出来上がった創作に対するIP(知的財産)にアクセスすることは考えていますか?

2点目は、加藤さんから「オンラインテキストコンテンツ市場の規模は1.6兆円」というお話がありました。一番大きなシェアを持っているのはどのようなジャンルかを教えてください。

加藤:1点目のIPについて、私からお答えします。「note」はコンテンツのプラットフォームを運営していて、この上でコンテンツが流通して課金され、そこから手数料をいただいていますが、我々がIPを作り、それを売って収益化することは現在行っていません。

私はもともと編集者ですので、そのようなことを過去には行ってきてはいますが、現在事業としては行っていません。なぜかと言いますと、現在はプラットフォームに専念しており、いろいろなIP産業のみなさまと一緒に仕事をしているためです。

興味はありますが、今のところはプラットフォームとして広げることに専念することが大事だと思っています。

質問者:例えば『鬼滅の刃』のようなヒットコンテンツが「note」から生まれた時に収益化の機会を逃してしまうのはもったいないように感じますが、いかがでしょうか?

加藤:おっしゃるとおりだと思っていまして、将来的にはまさに検討していくべきところかと思います。

鹿島:2点目の市場規模については、先ほど加藤がお伝えしたように、一番小さなオンラインテキストコンテンツ市場に絞っても1.6兆円あります。このスライドのメッセージとしては、シェアがまだ1パーセントにも達していないため、非常に伸びしろがあるということです。

今、どのようなプレーヤーがいるのかと言いますと、イメージしやすいところでは、Amazonの「Kindle」のような電子書籍があると思います。現在、紙の本は1兆円以上の市場規模がありますが、どんどんシュリンクしています。徐々にオンライン化されていき、紙の本を電子に置き換えた形態が主流になっています。

現在は基本的に紙の本と電子書籍を出すパターンが多いですが、おそらく紙が一次的なものではなくなり、デジタルファーストでオンラインだけで出して、話題になったら書籍になるパターンがどんどん増えていくと思っています。

先ほど加藤が「note」の価値のところで、今まで書籍というパッケージに収まらなかった、いろいろなクリエイターのコンテンツや専門的なコンテンツを販売できることを挙げていました。

今まで書籍を出せる方は一部の有名な方や非常に専門性の高い方でしたが、ここにいらっしゃる方も実はいろいろな知見をお持ちだと思っており、それを「note」で出して販売することができます。

このような価値を創出していると思っていますので、どちらかと言いますと、競合がいて、パイを奪い合っていくというよりも、オンラインテキストコンテンツ市場全体がどんどん電子化され、市場が増えていくと考えています。その中でも「note」は、これまでにない新しい市場を創出しており、非常に伸びしろがあると考えています。

質疑応答:PRについて

質問者:昨年11月に御社の株が急激に上がりました。証券会社に確認したところ、「正式な発表ではないが、社内でAIの子会社を作るという話があったという情報が漏れたのではないか」とのことでした。株価は700円台近くまで上がりましたが、また急激に下がり、一番下がった時は500円台まで下がりました。

御社からは、子会社を作り、その後どうするのかという正式な追加の発表がなかったのではないかと思います。御社の運営を見ていると、例えば「『note』は優れたプラットフォームだから放っておいても株価は上がる」「みなさまがわかってくれる」などの気持ちが経営者のみなさまに蔓延しているように感じます。

やることは徹底的にやるという覚悟でないと、会社は成長しません。良いものを持っているのであれば、さらに具体的かつ徹底的にPRしたらいいと思います。例えば、AIの話が出ましたが、そのようなことを一般に対してさらに具体的にPRするなどの努力をするべきだと思います。そのあたりについてどのように考えているのか教えていただけますでしょうか。

私が現役の頃は、真面目に徹底的に仕事に取り組みました。私はメーカーにいましたので、御社とは業容や文化が違うかもしれませんが、やるべきことを徹底的にやるというのは会社として大事なことだと思います。

加藤:厳しいご指摘をありがとうございます。PRが足りていないというご意見は、おっしゃるとおりかと思います。もちろんがんばっていますが、まだ取り組めることはあると思います。PR・IRも含めて取り組んでいくべきことだと思っていますので、ご意見を受け止めていきます。

鹿島:1点だけ補足ですが、情報が漏れたということはありません。しっかりと時系列を追っていただくと、我々が発表した後、株価が変動していることがおわかりいただけると思います。PRについてはおっしゃるとおりで、我々の価値をしっかりと伝えていかなければいけないと思っていますので、今期以降、さらに力を入れていきたいと考えています。

質疑応答:シェアの拡大について

質問者:「市場の伸びしろがあと100倍ほどある」というお話についてです。これだけ伸ばしていくためには、表に見えるユーザーニーズだけではなく、隠れたユーザーインサイトの分析も必要です。

おそらくこのようなソーシャルメディアの場合は、直接的なユーザーインサイトだけでなく、社会全体の変化も見なくてはいけないため、さらに広いビジネスインサイトをどのように分析できるかが非常に重要なポイントになるのではないかと思います。そのあたりに関して取り組んでいることが何かありましたら教えてください。

また、実際にそれを運用しようとした時に、組織能力が非常に重要になると思います。みなさまにもそれなりの経験や組織能力は十分にあると思いますが、足りないものがおそらくあるはずです。

それを補うために、noteのサポーターはけっこう多いと思いますので、社外役員やアドバイザリーボードのようなかたちでうまく吸収しながら、みなさまの組織能力を高めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

鹿島:まず、非常に貴重なご意見をありがとうございます。このスライドで表しているのは、先ほどお伝えしたように、シェアがまだ1パーセントに達していないということです。

ほかの一般的な市場では、トッププレーヤーのシェアが1パーセントではなく、2パーセント、3パーセント、あるいは10パーセントなどでもぜんぜんおかしくない数字だと思っています。

そのため、今は1パーセント以下ですが、我々の気持ちとしては今の10倍ほどの規模を狙えると思っています。少なくとも2パーセントで今の倍の規模ですし、3パーセントも狙うべき市場としておかしいものではなく、事業の拡張可能性が非常に多いと考えています。

「note」のポテンシャルが2倍、3倍、あるいは5倍などになるのかというところは、もう少し違う視点で見ると、「note」はデジタルコンテンツのEコマースであり、売買できるプラットフォームだと考えています。

デジタルコンテンツは、歴史的に広告でマネタイズしてきたビジネスモデルという経緯があるため、みなさまも「インターネットのコンテンツは無料で見るもの」という考え方があると思います。幸か不幸か、インターネット広告は非常に便利な仕組みですぐにマネタイズできるため、それが今でも主流となっているわけです。

本当は、インターネットのコンテンツでも、良いコンテンツにはお金を払ってしかるべきだと思っています。なぜなら、みなさまは今でも本にはお金を払っていますし、新聞もお金を払って読んでいたわけで、しっかり対価を払って得たものを読んでいます。

今は例えば、電車の中などでスマートフォンで無料のコンテンツを消費している方も多いですが、それは、例えるとみんなフリーペーパーを読んでいるようなものです。フリーペーパーは時間つぶしになり、無料だから読んでいますが、広告のビジネスモデルで消費者がお金を払って読むものではありません。

インターネットはフリーペーパーのような状態になっていると思います。無料で見るものだから、質が低くても誰も文句を言わない状況です。

我々はその文化を変えていきたいと思っています。昔は誰もがお金を払って良質なコンテンツを買い、

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