日本の道路が変わる!? 日本初の走行中給電、実証実験が開始

2024年2月11日 17:34

 株式会社グローバルインフォメーションが2023年9月27日に発表した最新の電気自動車市場調査レポートによると、環境問題や温室効果ガス排出量削減の必要性に対する意識の高まりとともに電動モビリティの需要が世界的に加速しており、電気自動車(EV)の市場規模は、2023年の3881億米ドルからCAGR13.7%で成長を続け、2030年には9519億米ドルに達すると予測している。

 しかし、日本国内を見てみると、まだまだガソリン車の需要が高く、EV化のスピードは他の先進国よりも遅れていると言わざるを得ない。日本政府は「2035年までに新車販売で電動車を100%にする」という目標を掲げてはいるものの、一般消費者の心情としては、EVに興味はあっても、価格や充電設備の少なさなど、購入を躊躇してしまう課題も多いようだ。

 マンションなどの集合住宅に住み、自宅に充電設備を持たない家庭などでは特にハードルが高い。さらに近隣に公共の充電設備すらないような地域では、選択肢にも上がりにくい。車体価格はともかく、まずはガソリン車並みかそれ以上の充電インフラが整わないことには普及は見込めない。そこで、そんな現状を一気に打開するべく、電気自動車向けの画期的な充電インフラの開発が進められている。

 東京大学大学院新領域創成科学研究科の藤本・清水研究室、株式会社ブリヂストン、日本精工株式会社、ローム株式会社、東洋電機製造株式会社、株式会社小野測器、株式会社デンソー、三井不動産株式会社、SWCC株式会社、株式会社カーメイト、千葉大学宮城研究室の共同研究グループらは、2018年より走行中給電システムの研究を行ってきたが、2023年、千葉県柏市の「柏の葉スマートシティ」にて、日本初となる電気自動車への走行中給電の公道実証実験を開始した。

 同実証実験で使用される送電コイルは東大グループが設計を行ったもので、10秒充電することで一般的な電気自動車が1km走行することが可能となる仕様となっており、送電コイル一体型の路面から、車体の受電コイルに直接無線給電される仕組みとなっている。

 同研究のポイントは大きく3つある。

 まず、電力を適切にコントロールすることで電気自動車にもプラグインハイブリッド車にも使用できる走行中給電システムを実現していること。

 次に、待機電力を極力小さくしながら車両検知を短時間で行う、新しい車両検知システムを開発したことで、送電コイルの上に車両がないときには無駄なエネルギーを使う心配もなく、標準化につながる走行中給電システムであること。

 そして3つめは、安全に使用するために不可欠な耐久性の問題。コイルと路面を一体化したプレキャストコイルを採用することで路面として十分な耐久性を持ちながら、送電が可能なコイルの開発だ。

 今回の実証実験では、2023年10月から2025年3月までの約1年半にわたって、これらのポイントが重点的に検証される予定で、その結果を反映し、さらに発展させた走行中給電システムの開発を推進し、走行中給電社会実装の早期実現を目指すという。本実験が成功すれば、日本でも電気自動車の普及が一気に進むだろう。研究グループの今後の動向に注目していきたい。(編集担当:今井慎太郎)

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