2024年の展望 流通大手2社

2024年1月18日 20:55

■イオンは生活防衛意識で「トップバリュ」なお好調か

 イオンの2024年2月期の通期業績は、営業収益4.2%増、営業利益14.4%増、経常利益12.9%増、最終利益54.3%増で2ケタ増益の見込み。構造改革、コスト管理の徹底により小売事業を中心に収益性が大幅に改善したことを受け、売上、利益の各項目で業績予想を上方修正している。

 2023年3~11月期はGMSのイオンリテールも含めて全事業部門が増収。ヘルス&ウエスネスと金融以外は増益だった。とりわけプライベートブランド(PB)の「トップバリュ」が、コロナ禍以来の消費者の低価格志向もあって非常に好調。2024年は税・社会保険料の負担増が予想されるため、消費者の生活防衛意識が強まってPBの好調はなおも続きそうだ。

 2021~2025年度の中期経営計画では「デジタルシフトの加速と進化」「サプライチェーン発想での独自価値の創造」「新たな時代に対応したヘルス&ウエルネスの進化」「イオン生活圏の創造」「アジアシフトの更なる加速」の5つの成長戦略を掲げているが、「デジタルシフトの加速と進化」はオンライン販売のグリーンビーンズ、「サプライチェーン発想での独自価値の創造」はトップバリュという利益を生み出す主役がいるので、2024年もこの2つは期待できるだろう。

 小売業の利益を圧迫する店舗従業員の賃金上昇は、2023年度は四半期ごとに上昇を続け、2024年もその傾向が続くと予想される。もう一つ、利益の圧迫要因に挙げられる店舗の光熱費の上昇は、グリーン戦略推進のための「イオン脱炭素ビジョン」に基づく省エネの推進や再生可能エネルギーなど新電力への契約切り替え、グループ電力調達などで2023年度は四半期ごとに低下しており、2024年はそれが人件費コストのアップを相殺できそうだ。

 イオンの2024年は、天気で言えば「快晴」が予想される。

■セブン&アイはコンビニへの選択と集中が明確化

 セブン&アイ・ホールディングスの2024年2月期の通期業績は、営業収益2.8%減、営業利益3.6%増、経常利益3.0%増、最終利益18.1%減を見込んでいる。営業収益とグループ売上の予想を上方修正した。セグメント別では国内、海外のコンビニとGMOなどスーパーストアが営業増益、金融関連が営業減益と予想している。

 2023年3~11月期は「セブン-イレブン」のCVS(コンビニ)事業が国内でも海外でも好調だったため、全体の営業利益が過去最高になった。主要事業会社の営業損益は、セブン-イレブン・ジャパンは増益、アメリカのセブン-イレブンはドルベースで減益だが円安効果により円ベースでは増益、イトーヨーカ堂は減益、ヨークベニマルは増益で、GMSのイトーヨーカ堂の業績立て直しは道半ば。「GMSの不振をコンビニでカバーする」という構造は変わらない。

 セブン-イレブン・ジャパンは2023年上期に全店平均日販が創業以来初の70万円を超えた。2024年は、2025年度からの出店再加速に備えた助走期間と位置づけられている。一方、2023年9月に百貨店のそごう・西武は全株式譲渡が完了してグループを離れ、GMSのイトーヨーカ堂は2022年度の126店舗から2025年度の目標93店舗へ、33店舗をスクラップしていく途上となっている。

 セブン&アイの2030年に目指すグループ像は、国内外のセブン-イレブン事業を核とするグローバル成長戦略により、「食」を中心とした世界トップクラスのリテールグループになること。2024年は戦略投資の「食」とCVS(コンビニ)への選択と集中が、より明確になる年になりそうだ。(編集担当:寺尾淳)

 

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