NYの視点:【今週の注目イベント】台湾選挙、ダボス会議、ECB議事録、日本CPI、米ベージュブック、小売

2024年1月15日 07:34

*07:34JST NYの視点:【今週の注目イベント】台湾選挙、ダボス会議、ECB議事録、日本CPI、米ベージュブック、小売
今週は中国による介入が警戒される中で台湾大統領選挙に注目が集まる。対米重視の与党、民進党が過去最長の3期連続で政権を獲得すれば、世界投資家には安心感につながると見られる。万が一、中国との交流拡大などを訴えて政権交代をめざす2つの野党の候補者が勝利した場合には、リスク要因となると考えられる。

中国人民銀行は景気底入れのため利下げに踏み切ると予想されている。また、中国の国内総生産(GDP)では前年比では改善も前期比では成長の停滞が示され利下げを支持すると見られている。そのほか、欧州中央銀行(ECB)は12月理事会議事要旨を公表予定。ラガルド総裁はインフレ率が2%に向かうと確信できたら利下げ開始できると述べ、早期利下げ観測が強まりユーロ売り圧力となった。総裁はスイス、ダボスで開催される世界経済フォーラムで講演や討論会参加が予定しており、発言に注目される。

また、日本では消費者物価指数(CPI)が発表予定だが、インフレ鈍化を示す見込みで、日銀が当面緩和策を維持する証拠となる可能性は円売り圧力となる。

米国では、連邦準備制度理事会(FRB)の利上げサイクル初期段階で大幅利上げを支持した超タカ派のウォラーFRB理事の講演での発言に注目。同理事はインフレの改善を歓迎、金融政策が十分に引き締め域に達したとの見解を示し利上げの終了や金融状況が十分に引き締まっており利下げの可能性を示唆し、市場の利下げ観測に拍車をかけた。さらに、12月小売売上高や地区連銀経済報告(ベージュブック)に注目。ベージュブックは次回1月末に予定されている連邦公開市場委員会(FOMC)での金融政策決定において、参考材料となるため、注目される。

12月消費者物価指数(CPI)は予想を上回る伸びとなったが、12月生産者物価指数(PPI)は前月比で予想外のマイナスと原料コストが下落していることが明らかになり、市場の利下げ観測を強めドル売り材料となった。市場は3月の利下げ開始を9割弱織り込んだ。12月小売売上高は前月比で+0.4%と11月から伸びが拡大する見込み。ただ、国内総生産(GDP)の算出に用いられる自動車/建材/給油/食品を除いたコア指数は伸びが鈍化すると見られている。予想通り、消費の抑制が確認されると、3月の利下げ観測を強め、さらなるドル売り圧力になると予想される。

大統領選挙を11月に控え、15日に大統領選の共和党候補指名争い初戦となる党員集会がアイオワ州で開催される。依然トランプ氏が優勢と見られているが、前国連大使のヘイリー氏がバイデン大統領を支持しない民主党の支持を得ているほか、保守派の重鎮などの支持を得てその差を縮めており、動向も注目材料となる。

■今週の主な注目イベント
●15日―19日:世界経済フォーラム(ダボス、スイス)

●米国
16日:1月ニューヨーク連銀製造業景気指数、ウォラーFRB理事講演
17日:12月小売売上高、輸入物価指数、鉱工業生産・設備稼働率、11月企業在庫、1月NAHB住宅市場指数、ベージュブック、ウィリアムズNY連銀総裁が講演
18日:12月住宅着工・建設許可件数、新規失業保険申請件数、共和党大統領候補討論会(ニューハンプシャー)、ボスティック米アトランタ連銀総裁講演
19日:1月ミシガン大消費者信頼感指数、12月中古住宅販売、対米証券投資米議会、つなぎ予算期限、デイリー米サンフランシスコ連銀総裁が経済に関する「fireside chat」に参加

●欧州
15日:ユーロ圏鉱工業生産
16日:独CPI、ZEW世論調査、仏連銀総裁
17日:ユーロ圏CPI、ECBラガルド総裁、クノット理事がダボスで講演
18日:ラガルドECB総裁がダボスで討論会に参加、ECB、12月理事会議事要旨を公表、ラガルドECB総裁とIMF理事がダボスで講演

●英国
16日:失業率、失業保険申請件数
17日:CPI

●日本
18日:コア機械受注、鉱工業生産
19日:CPI

●中国
15日:中国人民銀行金融政策決定
17日:GDP、小売売上高、鉱工業生産《CS》

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