筋トレが筋肉の老化を抑制するメカニズム解明 運動模倣薬の開発に期待 名大

2023年12月22日 09:08

 名古屋大学は15日、糖鎖生命コア研究所やハーバード大学との共同研究により、筋トレによって筋肉の老化が抑制されるメカニズムを遺伝子レベルで解明したと発表した。

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 今回の研究成果を応用すれば、筋トレをしなくても、筋トレしたのと同様の健康増進効果が期待できる運動模倣薬の開発につながる可能性があるという。

■骨格筋の老化と脂肪の蓄積

 加齢によって骨格筋に脂肪が蓄積すると、筋力が低下。生活の質が低下することが知られている。

 例えば、筋力の低下などにより運動器に障害が発生し移動能力が低下した状態を、ロコモティブシンドロームというが、このロコモティブシンドロームが進行すると、要介護状態や寝たきりになるリスクが高まる。

 筋トレをおこなえば、このような骨格筋における脂肪の蓄積を抑制することができることは疫学的に明らかにされているが、そのメカニズムについてはよく解っていなかった。

 研究グループは、ネットワーク医学解析と呼ばれるアプローチを使いその解明に挑んだ。

■骨格筋における遺伝子の発現を解析

 まず研究グループは、骨格筋における間葉系前駆細胞に着目した。骨格筋における脂肪細胞は、この間葉系前駆細胞が分化することでつくられる。

 そして継続的に筋トレをおこなっている高齢者と、寝たきりになっている高齢者の間葉系前駆細胞の遺伝子活動について、ネットワーク医学解析を実施し比較した。

 ネットワーク医学解析とは、遺伝子、たんぱく質、代謝生産物などを、個別的に捉えるのではなく、一つのネットワークを形成するものとして、全体として捉え、総合的に分析していく手法だ。

 その結果、研究グループは、キーとなる遺伝子Pgc-1αの特定に成功。筋トレよってPgc-1αが活性化し、脂肪の燃焼が促進される結果、骨格筋における脂肪の蓄積が抑制されることを突き止めた。

 研究グループでは、今回の研究成果によって、骨格筋の老化メカニズムの解明が進むだけではなく、筋トレをしなくても行ったとの同様の健康増進効果が期待できる、運動模倣薬の開発につながる可能性があるとしている。(記事:飯銅重幸・記事一覧を見る

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