「shirty」とは「シャツ」のこと? イギリス英語のスラング特集 (21)

2023年12月18日 10:04

 イギリス英語のスラングには、由来の不確かなものも少なくない。今回紹介するスラングについても、その由来は確実なものとは言えないのだが、なるほどと思わせる説がありイメージしやすいのではないかと思う。今回は、「shirty」と「skew-whiff」という2つのスラングを知ってもらいたい。

【こちらも】イギリス人のライフスタイルが表れたスラング2選 - イギリス英語のスラング特集 (20)

■Shirty

 「shirty」とは、気が短くてイライラしやすく怒りっぽい人を形容するスラングである。「Don't get shirty with me.」(イライラしないでよ)のように使う。

 文字通り、「shirt」(シャツ)に由来するスラングなのだが、なぜシャツが怒りっぽい意味になったのかには諸説ある。一説には、今はもう使われていない「to get one's shirt out」というイディオムから派生したと考えられている。

 「to get one's shirt out」を直訳すれば「シャツを脱ぐ」だが、これは「イライラする」や「怒る」を意味していた。喧嘩の前に血がつかないようにシャツを脱ぐ習慣から、この意味になったと推測される。

 なお、「to get one's shirt out」はすでに使われていないが、その逆の「to keep one's shirt on」は今も現役のイディオムだ。「シャツを着る」がその直訳だが、これで「イライラしない」や「冷静で怒らない」といった意味になる。怒ってシャツを脱ぐのと反対の行動だからイメージしやすいだろう。「Keep your shirt on!」(イライラしないで!)のように使う。

 語源はともかく、イギリスでは「shirty with someone」(~に苛立つ、イライラする)という形でよく使われている表現だ。

 ・He was feeling shirty with his colleagues after the heated argument at the meeting.
 (会議での激しい口論の後、彼は同僚たちに対してイラついていた)

■Skew-whiff

 「skew-whiff」は「askew」のスラングで、「まっすぐでない」、「一方に傾いた」、「斜めになった」などを意味する。

 「whiff」という単語には、「風の一吹き」や「ほのかに漂ってくる香り」、また、「気配」や「兆候」という意味がある。それを踏まえると、「skew」は、「askew」が縮まった形として、「ちょっと斜めに傾いているっぽい」という意味なのかと思ってしまいがちだ。ところが、「skew-whiff」の「whiff」は、それとは関係ないという説が有力である。

 「skew-whiff」はもともと「skew weft」という形で、18世紀の北部イングランドの機織りたちによって使われていた。「weft」とは織物の横糸のことだから、横糸がずれて織物がまっすぐ織れていない状態を指して、「skew weft」と言っていたわけである。この「skew weft」が時代を経るうちに、音韻化して「skew-whiff」になったという説だ。

 ・The painting on the wall is a bit skew-whiff.
 (壁の絵が少し歪んでいる)(記事:ムロタニハヤト・記事一覧を見る

関連記事

最新記事