「コロナ雇調金」不正受給、発覚ペース加速 東京商工リサーチ
2023年11月29日 08:13
東京商工リサーチは22日、第3回「雇用調整助成金」不正受給企業調査の結果を発表した。雇用調整助成金(以下、「雇調金」)のコロナ特例が2020年4月に始まってから3年半が経過し、不正受給の発覚ペースが加速している。コロナ禍の影響を受けた業種のうち業歴の短い事業者での不正が多い傾向が見られるが、背景にかかわらず、決して許されるものではない。
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全国求人情報協会は24日、10月の求人広告件数が前年同月比0.9%減の131万件だったと発表した。求人件数はこれまで増加傾向が続いていたが、2年半ぶりに前年同月を下回った。
大幅に減ったのは事務職で、ワクチン接種などに対応するため昨年大幅に増やした反動が出たもの。一方、人手不足感の続く小売店や外食は引き続き求人広告を増やしており、インバウンドの盛り上がりもあり、今後さらに増えるとの見方が強い。
かかる状況下、東京商工リサーチは22日、第3回「雇用調整助成金」不正受給企業調査の結果を発表した。時間の経過に合わせ不正の発覚件数が増えているところ、10月は月次で最多の97件が公表され、累計で803件(243億円)に達した。
不正受給が公表された企業は、業種別では「飲食業」が最多の79社で、「建設業」75社、「他のサービス業」50社と続く。5位には、美容業や旅行業などの「生活関連サービス業、娯楽業」が入り、コロナの影響を強く受けた業種が上位に並んだ。
業歴別では、10年未満が全体の41.9%(246社)を占めた。このうち32社は、雇調金のコロナ特例措置が開始して以降に創業ないし設立されており、悪質な不正と言わざるを得ない。なお少数(16社)ではあるが、業歴100年以上の老舗企業においても不正が発覚している。
雇調金は、景気変動等で事業活動の縮小を余儀なくされた事業者が一時的な雇用調整(休業など)を実施することで、従業員の雇用を維持した場合に助成されるもの。コロナ感染拡大時には緊急対応として特例措置が適用され、飲食や観光関連を中心に幅広い事業者が活用した。一方、迅速な手続きを優先し申請書類を簡素化等した結果、不正受給が多発した。
不正が発覚した企業のうち、金額が一定額以上ないし悪質な場合には社名等が公表される。東京商工リサーチの今回の調査は、社名等が公表されたものが対象で、公表されていないものも含めた不正受給は9月末時点で2,263件(427億円)に達する。(記事:dailyst・記事一覧を見る)