原油市場、OPEC減産でも2024年は供給過剰か?

2023年11月25日 08:18

●2024年は供給過剰?

 ロイター通信のインタビューで、IEA(国際エネルギー機関)のトリル・ボソニ氏が、「OPECプラスが来年も減産を続けたとしても、2024年の石油市場は若干の供給過剰になる」との見通しを示した。

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 11月16日の米国原油市場では、国際的な原油先物価格が4カ月ぶりとなる1バレル=72ドル台まで大幅下落した。

 OPECプラスが26日の会合(30日に延期)で追加減産を検討とのニュースにより、2%超上昇したが、2024年は世界経済が減速し、原油の需要が落ち込むのだろうか?

●2024年の原油市場

 IMF(国際通貨基金)が10月に出した2024年の世界経済見通しでは、中国やユーロ圏の減速を見越し、実質経済成長率は2.9%と予想している。

 7月の予想から0.1ポイント下方修正し、3%割れは2000年以降5回しか起きておらず、停滞を印象付ける予想となった。

 もちろん利上げの停止による軟着陸(ソフトランディング)や、インフレの収束により、景気が回復する期待もあるが、ロシアとウクライナの紛争の長期化によるエネルギー価格の上昇は終わりが見えない。

 原油消費大国であるインド・中国の景気も大きなカギを握るが、米国のシェールオイルの増産やロシアのウクライナ侵攻によって導入が進んだ脱炭素の技術も、大きな影響を与えると見られる。

●気になる原油価格は?

 イスラム組織ハマスとイスラエルの衝突については、産油国に影響が広がる懸念は無く、原油の高騰を招くような事態には今のところ発展しないと思われる。

 一方で、11月のEIA(米エネルギー情報局)による発表では、米国石油在庫が市場予想を大きく上回って増加している。9月には大幅に減少していた。

 2023年も需要と供給の増減が目まぐるしく変わったが、2024年もその傾向は変わらないだろう。金融引き締め終了のタイミングと中国不動産危機の懸念は燻り続けると見られる。

 もちろん2023年12月も何が起こるか油断はできない。

 WTI原油先物で見ると、2022年はロシアのウクライナ侵攻で1バレル=120ドルまで上昇し、その後半値まで下落する場面もあった。

 2023年は100ドルを超えることは無く、60ドル台に落ち込んだことはあっても、70ドル~90ドル台で収まることが多かった。

 2024年はコロナ禍以降のような乱高下は無いかもしれないが、先物価格には一喜一憂させられるかもしれない。(記事:森泰隆・記事一覧を見る

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