揺れ動く中東情勢で原油価格の行方は!?
2023年10月31日 16:35
●値動きが活発な原油先物
10月30日のロイター通信の報道によると、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が和らぐとの期待から、原油先物価格は、北海ブレント先物が3.35%安、米WTI先物が3.78%安となった。
前週の27日にはカタール・ドーハに本社を置く衛星テレビ局アルジャジーラが、カタールの仲介でイスラエルとハマスが停戦交渉に入ったという報道があり、一旦手仕舞いの動きがあった。
だが停戦交渉は、決裂という報道が無くとも、進展したという報道も無いまま、28日にはイスラエル軍から「戦争の新たな段階に」という声明があり、週明けに再び上昇する場面があった。
予断を許さない状況が続くが、中東情勢と原油価格はどうなるのか?
●驚きの世銀の試算も!気になるガザの状況
世界銀行は30日、イスラエルとハマスの戦闘が拡大すれば、原油価格が最大で75%上昇すると試算した。23年の10月期-12月期でも1バレル=90ドルを予想している。
10月7日のハマスの攻撃以降、イスラエルはガザ地区への空爆を開始した。病院で爆発があるなど、大きな被害が出ており、ガザ地区の被害者は8000人を超えると見られている。
レバノンを拠点とするイスラム教シーア派の組織ヒズボラもイスラエルを攻撃したと見られており、イスラエルによるレバノンへの反撃もあった。
戦闘はイスラエルとハマスだけに留まらない泥沼化の様相を呈している。
●金も高騰!?セルザファクトにも要注意!
原油は1バレル80ドル~90ドルの間での値動きではあるが、金の需要が高まっている。戦闘が始まってから上昇基調が続き、1オンス2000ドルを超える場面もあった。
イスラエルは地上戦を開始したと見られているが、慎重な動きという見方もある。今後、地上戦の状況や、ハマスなどの武装組織がガザ地区で拘束している200人以上の人質がどうなるかが焦点になる。
原油価格に関しては、まだまだ様子見の部分があり、今週はFOMCと雇用統計の方に注目が集まる。
上昇傾向が続いた時には戦闘激化のニュースで下落、下落傾向が続いた時には停戦交渉の進展のニュースで上昇など、“セルザファクト”による逆の動きにも注意が必要である。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)