【どう見るこの相場】藤井聡太八冠の大逆転劇が示す「逆転のゲーム」の魅力とは?株式投資にも通じる将棋の教訓

2023年10月17日 08:36

■藤井八冠が見せた「逆転のゲーム」の究極形と株式投資の関係

 将棋は、「逆転のゲーム」の究極形といわれている。株式投資も、逆転に次ぐ逆転でひっくり返るのは日常茶飯事であり、シンパシーを感じるのか兜町の証券マンには将棋ファン、将棋マニアが少なくない。その将棋の「逆転のゲーム」を如実に示したのが過日、10月11日対局の将棋界の8大タイトル戦の一つ、王座戦第4局の大一番であった。挑戦者の藤井聡太七冠が、将棋AI(人工知能)の評価値が、勝率1%対99%を示す終局間近のピンチからタイトル保持者の永瀬拓矢前王座のたった一手の悪手を咎めて大逆転し、将棋界の全8大タイトルを制覇するする初の「八冠」となったのである。

 一部テレビ放映された終局間近の対局場面では、自らの落手に気付きながら敗勢を挽回しようと頭をかきむしる永瀬前王座の諦め切れない様子や、逆転勝利を上げても奢らず誇らず、終局後のインタビューで自らの劣勢を淡々と認めた藤井聡太八冠の潔さなど勝者、敗者のいずれの映像もが視聴者の共感を呼んだ。ケタ外れ、大天才と誰もが認めるのは、この藤井八冠と米国のメジャーリーグで日本人として初のホームラン王のタイトルを獲得した二刀流の大谷翔平選手を置いてない。二人に共通するのは、将棋と野球が大好きで探求を怠らず、さらに日本人らしく謙虚であることで、それがいっそう将棋ファン層、野球フアン層を広げ藤井フィーバー、大谷フィーバーとなっている。

 将棋界の全タイトル制覇は、羽生善治九段が、1996年に当時の全7大タイトルを制覇して以来27年ぶりの快挙である。ただし羽生九段の7大タイトル制覇は、その後の棋聖戦で三浦弘行五段(当時)に敗れて約半年で終わり、羽生九段自身も現在、日本将棋連盟会長の要職にあるものの、棋士としては無冠である。これに対して藤井八冠は、2020年7月に初タイトルの棋聖位を獲得して以来、タイトル戦は負け知らずで18連勝したことになる。全棋士が「打倒藤井」に血眼になるなか八冠制覇が、どこまで伸びるのか、藤井フィーバーが長期化するのか、ほどなく下火になるのか注目されている。

 「たかが将棋、されど将棋」である。株式投資のカタリスト(株価材料)としては、限定的にとどまるかもしれない。しかし株式投資は、将棋と同様の「逆転のゲーム」である。この藤井フィーバーは、もしかしたらもしかするかもしれない可能性は捨て切れない。当コラムでは、この藤井関連株を今年4月10日付けで取り上げたが、今回再び注目することにした。前回の当コラム当時は、藤井八冠は、まだ六冠であった。それからたった半年、3つのタイトル戦を防衛したうえに新タイトル獲得をさらに二冠も伸ばしスケールアップしたことになる。関連株が、一段とヒートアップする確率を高めてくれそうだ。

 関連株には、8大タイトル棋戦の主催会社や協賛会社などのスポンサー会社、将棋ソフト・ゲーム会社、将棋AI(人工知能)会社、テレビCMのキャラクターに使用している会社などが幅広く浮上することになる。また岸田文雄首相は、藤井八冠に内閣総理大臣顕彰を授与することを決定し、今年11月に授与式を行う予定と伝えられているが、観測が乱れ飛ぶ衆院解散・総選挙も絡み政治的なキナ臭さを帯びる展開も想定される。

 前週末13日の米国市場で、四半期決算を発表したJPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、インフレ高止まりリスクや米金融引き締めによる影響に、ロシアのウクライナ侵攻の長期化、イスラム組織ハマスのイスラエル攻撃による地政学リスクが重なり「世界は過去数十年、最も危険な時期にあるかもしれない」との見解を示したと報道されており、藤井フィーバー関連株がこの圏外で「逆転のゲーム」を演じてくれることを期待したい。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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