「人手不足」倒産が過去最多 運輸業など急増 東京商工リサーチ
2023年10月8日 07:50
東京商工リサーチは5日、2023年度上半期(4-9月)「人手不足」関連倒産の分析結果を発表した。倒産件数は82件と前年同期の2.6倍に達し、過去最多を記録。「人件費高騰」または「求人難」による倒産が多く、賃上げが広がる中で資金繰りの悪化した企業が増えている。産業別では、運輸業が前年同期比で6.3倍となり、いわゆる「2024年問題」を前に人手不足が深刻化している状況が浮き彫りとなった。
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政府は6日、第3回「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議」を開始し、「物流改革新緊急パッケージ」を決定した。2024年4月からトラック運転手の時間外労働を年960時間までとする規制が導入されることで、物流の停滞が懸念される「2024年問題」に対応するもの。政府の試算によれば、何も対策を講じない場合、2024年度には14%、2030年度には34%もの輸送力が不足する可能性がある。
パッケージの主な内容は、「物流の効率化」、「荷主・消費者の行動変容」、「商慣行の見直し」の3点。またドライバーの賃上げに向け、法に基づく標準運賃について、年内に値上げ幅を公表する予定とのこと。
かかる状況下、東京商工リサーチは5日、2023年度上半期(4-9月)「人手不足」関連倒産の分析結果を発表した。同期間における負債1,000万円以上の全国企業倒産のうち、求人難、人件費高騰、従業員退職による倒産を抽出、分析したもの。
「人手不足」倒産は82件と前年同期の2.6倍に達し、調査を開始した2013年以降で過去最多となった。要因別では、求人難が34件、人件費高騰が30件、従業員退職が18件。このうち人件費高騰は前年同期の5件から急増した。経済活動がコロナ前に戻りつつある中、幅広い企業で人手不足が強まっており、人材確保のために賃上げが欠かせない状況となっている。
産業別では、飲食業を含む「サービス業他」25件、「運輸業」19件、「建設業」19件とこれら3業種で大半を占めた。特に運輸業は、前年同期の3件から顕著に増えており、また前述の通り、2024年より一層の人手不足が予想される。政府による対策で問題が緩和されることを期待したい。(記事:dailyst・記事一覧を見る)