【QAあり】ストレージ王、売上高は予算を下回るも前年比増 4Qの物件売却を控え、通期業績予想は据え置き
2023年9月28日 08:56
はじめに_2024年1月期決算の進捗
荒川滋郎氏:本日はお忙しい中、株式会社ストレージ王のオンライン説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。代表取締役の荒川滋郎です。この説明会は、当社の事業、並びに2024年1月期第2四半期決算について、投資家のみなさまによりご理解いただくことを目的としています。どうぞよろしくお願いします。
まず、2024年1月期決算の進捗をご説明します。年間の業績予想は、売上高32億4,700万円、当期純損益1億1,400万円と変更ありません。上半期決算として売上高が予想値を下回りご心配をおかけしましたが、同日に発表した販売用不動産売却に関するお知らせのとおり、東京23区内の下目黒・西大井・東長崎の3案件は、本日、不動産投資家と売却契約を締結しています。
当社は不動産開発分譲事業が売上高の約8割を占めていますが、仕入である土地の購入が12月から3月に集中するため、物件の完成は年度末の12月から1月に集中しています。そのため、第3四半期までは赤字ですが、第4四半期に発生する物件売却の粗利益によって、年間で黒字になる傾向があります。
投資家のみなさまには、「通期で黒字になるだろうか?」とご心配をおかけしていますが、12月から1月に引き渡し予定の下目黒・西大井・東長崎の3案件の売買契約が締結したため、年度内に大型案件として売却できる見通しが立っています。
今後は工程管理を徹底し、年度内に無事物件を完成させ、引き渡しができるように努めていきます。
目次
本日は、会社概要として主要事業であるセルフストレージ型トランクルームビジネスをご紹介し、その後、先日開示した2024年1月期第2四半期決算の概要、事業の状況、2024年1月期の見通しをご説明します。
会社概要_経営理念とミッション
当社の経営理念は「顧客資産の持続的な価値の向上を通じて、人々の暮らしや社会の未来を共創する」、ミッションは「不動産所有者の資産価値の向上と、トランクルーム利用者の利便性の向上と満足感を通じて、人々の暮らしや社会の未来を豊かにする」と掲げています。
今期からはトランクルームに限らずセグメントを増やし、不動産事業全般に取り組んでいるため、そのような方への価値の提供も行っています。
会社概要_概要と沿革
会社概要です。当社は2008年に創業しました。創業時はトランクルームの開発ではなく、運営会社として設立しました。2015年には岡山の天満屋グループが設立したアイトラ
ンク山陽と合併しました。現在、本社は千葉県市川市にありますが、岡山市にも営業所を置いています。また、2022年4月に東京証券取引所グロース市場に上場しています。
会社概要_店舗の分布
現在のトランクルームの主な分布です。岡山県に42店舗、関東と九州に114店舗、合わせて全国で156店舗、8,968部屋で運営しています。
近年では、東京都内の大型物件に加え、栃木県、茨城県にコンテナ型トランクルームを積極的に出店しています。後ほどお伝えしますが、初出店となる沖縄県那覇市でも物件の開発を行っています。
会社概要_トランクルームについて
私どもが生業としているトランクルームには、主に2つのパターンがあります。1つはスライド左側の写真にあるように、ロードサイドに設置されたコンテナを使ったトランクルームです。
もう1つは右側の屋内型トランクルームで、普通の建物のかたちをしています。2019年から開発していますが、私どもの建物は鉄骨造が多く、建物の中には空調設備などが充実しています。カーペットを敷いたり、エレベーターを備えたりしているクローゼットのような建物です。
屋内型トランクルームは入口にセキュリティラインがあります。建物内に入れるのは利用者のみで、非常に安全に荷物整理ができる状態にあります。
コンテナ型トランクルームはロードサイドに設置し、駐車スペースを用意しています。トランクルームのすぐ近くまで車で乗り付けることができるため、大きな荷物や重たい荷物の出し入れにも非常に便利です。
また、コンテナ型トランクルーム・屋内型トランクルームともに防犯カメラを設置していますので、防犯面に関しても非常に安心してご利用いただけます。
会社概要_サービス展開例
私どものトランクルームは単純に物を置く場所だけではなく、さまざまなタイプのサービスを提供しています。
「宅配ロッカー」は、梶が谷トランクルームに備え付けられています。事業者はトランクルームを荷物の保管として使うだけでなく、在庫置き場や荷物の発送に使うこともありますので、利便性向上のため、トランクルームがある現地で荷物を受け取れる、あるいはそこから荷物を発送できるように、奥行きがあるロッカーを備えています。
「マンションのトランクルーム活用」は、マンションデベロッパーのタスキとの共同事業です。マンション1階のトランクルームを居住者だけでなく、マンションにお住まいになっていない方にもご利用いただけるように、セキュリティラインを設け、マンションの一部をトランクルームとして利用いただいています。
「メゾネットガレージ&オフィス」は「EERF新小岩」の写真を掲載していますが、栃木県の佐野藤岡でもこのタイプを作っています。1階はガレージのようなかたちで、趣味のスペースとしてお使いいただけます。2階はオフィスとして利用でき、そこで会社を運営されている方もいらっしゃれば、個人で趣味の場として使っている方もいらっしゃいます。
「ワインセラー」はまだ1ヶ所しかありませんが、南船橋トランクルームに併設しています。ワインの保管温度は14度前後で、安定した温度管理が非常に重要です。例えば、6本から10本のワインをまとめて買い、1年に1本ずつ開けて熟成度合いを楽しむお客さまがいらっしゃいますが、そのような方向けに安心・安全にお預かりできる、熟成に適した場所としてご利用いただいています。
「サーフボードトランクルーム」は、高さがあるコンテナを用意し、サーフボードを縦に収納できるようにしています。
「トランクルーム&バイクガレージ」は、ときわ台の施設です。通常のトランクルームのほかにバイク専用室を設けています。バイクをずらっと並べて置けるようになっており、バイク1台ずつに電源を用意しているため、電動バイクを充電しながらお預かりできます。
このように時代のニーズに合わせて、さまざまなタイプのサービスを展開しています。今後も研究を進めていきたいと思っています。
会社概要_業務提携・協力先
先ほどマンションのトランクルーム活用で、タスキとの連携のお話をしましたが、宅配ロッカー併設トランクルームではフルタイムシステムと業務提携しています。トランクルームの運営管理、リーシング力の強化については、パルマと連携して行っています。売却先の確保、新規開発のスピードアップとしては、不動産小口化商品を提供しているクリアルと業務提携しています。
このように、さまざまな会社と提携することにより、私ども単独ではなかなかできないサービスをお客さまに提供しています。
会社概要_トランクルーム市場の動向
トランクルーム市場の動向です。今年2月に発表されたJLL(ジョーンズラングラサール)の調査では、アジア太平洋地域全体におけるトランクルームの稼働率は年3.6パーセントに上昇しています。需要の要因として、セルフストレージを使うことに対する抵抗感がなくなっていることが挙げられます。
また、都市化が進む東京やアジアの主要都市でも住宅価格が高騰し、マンション価格も非常に高く、居住スペースも狭くなっています。そのため、マンションに入居したものの収納場所が足りないという問題が発生しますが、私どものトランクルームを季節の家電や衣服の保管場所として利用していただくことで需要が伸びていると感じています。
今年8月の『日本経済新聞』の記事には、トランクルームの平均利用料は約7パーセントと、依然として高い需要があるとの記載がありました。
さらに、『LifeTimeTechLabo』によるレポートでは、コロナ禍での巣ごもりはあったものの、新型コロナウイルスが第5類に分類された後もテレワークやWeb会議等が増え、コロナ禍前よりも在宅でお仕事をされる方が増えているということで、快適な住環境を求めることがトランクルームの新規利用につながっています。また、そのような方々に向けて、これまでより多くのトランクルームを供給できればと考えています。
会社概要_トランクルームの不動産特性
トランクルームの不動産特性をご説明します。スライドにはアパート・マンションとトランクルームの比較を記載しています。
まず、トランクルームは、収益不動産としての商品の劣化が少ないという点が一番大きなポイントだと思っています。アパート・マンションは新築物件の家賃が高い傾向にありますが、トランクルームは築年数を気にして借りる方は比較的少なく、年が経っても商品として価値が下がりにくい点が大きな特徴です。
また、トランクルームには基本的にお風呂や台所といった水回りがありません。修繕費などの追加投資が少なく、初期投資もアパート・マンションに比べると少なく済みます。
さらに、「駅から遠い」「周りに騒音のある施設がある」といった、マンションとしては使いにくい立地でも、トランクルームは利用できます。
スライドには「ボラティリティの小さい投資商品」と記載していますが、マンション・アパートに比べると、トランクルームは一区画が小割になっています。例えば、同じ大きさの建物で、マンション・アパートでは20室しかないところ、トランクルームでは80室も作ることができます。小割にしている分だけ、安定的な需要が見込めます。
一方、欠点は不動産の初期段階でのキャッシュ・フローの弱さです。私どもは85パーセントから90パーセントの稼働率を目指しているものの、ここまで上げるためには時間がかかります。
会社概要_事業の内容・当社の強み
スライドには当社を支える3つの力を掲げています。これらを身に付け、強化していこうとしています。
1つ目は「運営力」です。トランクルームを適切に運営し、稼働率を上げ、収益を高めていきます。実際にトランクルームをご利用する方のためにさまざまなサービスを提供し、トランクルーム自体の清潔さを維持しています。最近では中野沼袋の案件で、トランクルームに荷物を運搬するサービスを始めています。また、トランクルームの中に棚を付けて利用者の利便性の向上を図っています。
2つ目は「仕入開発力」です。私どもはトランクルームを開発し、不動産投資家に売却して収益を上げています。土地を仕入れる力、あるいは「事務所ビル等の空きスペースを埋めたい」といったニーズに対応するため、物件の開発力を強めていきます。
3つ目は「物件売却力」です。「安定資産がほしい」「老後に備えて手間のかからない資産がほしい」という投資家に向けて、コンテナ型トランクルームであれば、2,000万円から3,000万円くらいの大きさから、大型の屋内型では5億円から7億円のサイズをご紹介できます。
このように、さまざまな目的を持った投資家に対し、多くの不動産商品をご提供している点が私どもの競争力の1つの源泉だと考えています。
会社概要_事業の内容_運営管理
収益についてご説明します。スライドの中央の図をご覧ください。利用者から利用料を頂戴し、そこから建物所有者や土地所有者に賃料や地代をお支払いしています。利用料と賃料・地代の差額が私どものストック利益となっています。
会社概要_事業の内容_開発分譲・その他不動産
収益の循環についてご説明します。私どもは不動産の情報ネットワークを利用し、土地を購入して新しい物件を建てる、あるいは既存のビルを借りることで物件を確保します。
実際の流れをスライドに表していますが、土地を購入して建てた物件を不動産投資家に売却することにより利益を得ていますし、仕入れをして物件を売却することで、差益を得ています。
会社概要_事業の内容_収益の循環
私どもは、運営上の利益と物件開発によるフロー収益をうまく循環させながら、安定した利益を得ていきたいと考えています。
現在は物件の売却益により、会社全体の利益を支えている状態です。ただし、今後は物件の開発を積み重ね運営する物件数を増やすことで、運営部分のみで販管費を賄えるような、安定収益の拡大へとつながるモデルを構築します。引き続き、物件運営・開発にも注力します。
会社概要_事業の内容_売上構成比
2023年1月期の売上構成比です。開発分譲事業が約8割、運営管理事業が約2割となっています。物件開発を積み重ねるにつれて、運営管理事業の売上高あるいは利益の比率が徐々に増え、会社が安定した状態になるよう目指しています。
2024年1月期第2四半期決算の概要_PL
2024年1月期第2四半期の決算概要についてご説明します。第2四半期の売上高は4億4,100万円と、残念ながら予算比で7,700万円のマイナスとなりました。要因は、物件の売却が一部遅れたことにありますが、前年比では約1億3,000万円増加しています。
営業損益は、売上がやや減少し粗利が減ったため予算比で600万円のマイナスとなりました。ただし、前年比で約900万円改善しています。
四半期純損益はマイナス1億200万円と予算比で300万円のマイナスとなりましたが、前年比で1,500万円改善しています。
第3四半期までは赤字の状態が続く計画としていますが、第4四半期に物件の売却が集中しているため、すでに売買契約を締結している第4四半期の物件売却で利益を上げることにより、年度全体で利益を上げる想定で運営しています。
2024年1月期第2四半期決算の概要_PL
売上が下降した理由についてご説明します。第2四半期に売却予定だった投資用マンション5室は現在交渉中で、第3四半期に売却予定となっています。一方で、第4四半期売却予定の岡山営業所管轄の津山院庄、倉敷亀島などのコンテナ型トランクルームを前倒しで売却したため、売上高は差し引きマイナス7,700万円となりました。
セグメント損益
セグメント損益です。トランクルーム運営管理事業の売上高は3億6,000万円、セグメント損益はマイナス4,400万円となりました。前期に新規オープンした初期稼働店舗全般に対する広告宣伝費とオーナーへの賃料や減価償却費が負担となり、セグメントとしてはマイナスとなりましたが、賃料以外は一時的なコストですので、今後、損益は改善する見通しです。
※前期開示した運営管理事業の数値は売上総利益であり、今期から開示しているセグメント損益は営業利益のため、セグメント売上総利益が前期比で悪化したわけではなく、期初想定した実績となっています。
トランクルーム開発分譲事業は、コンテナ型トランクルーム売却を主因に売上高は6,800万円、セグメント利益は1,300万円となっています。
その他不動産取引とは、投資用マンションのことを指します。先ほど、売却が遅延しているとお伝えしましたが、現在もそのマンションでは家賃が発生していますので、賃料収入と合わせて売上高は1,300万円、セグメント利益は400万円となっています。
2024年1月期第2四半期決算の概要_BS
貸借対照表です。流動資産と負債の内訳についてご説明します。流動資産については不動産開発が順調に進んでいますので、棚卸資産が17億3,000万円増加しました。
主な案件としては那覇泉崎・下目黒・西大井・東長崎トランクルーム、あるいは来期用資産の横浜市トランクルームの用地などを仕入れた関係で、仕入れが増加しています。
負債については棚卸資産の増加を支えるために、短期借入金を12億1,400万円、長期借入金を2億5,200万円増やしています。
不動産開発に伴う棚卸資産については、従前は短期借入金で賄い、完成と同時に売却していました。ただし上場後は、那覇泉崎・南行徳第2トランクルーム開発において長期借入金で借入することができています。
2023年1月期第2四半期決算の概要_CF
キャッシュ・フローの状況です。営業キャッシュ・フローは、開発分譲案件の棚卸資産が増えているため、19億5,600万円のマイナスです。投資キャッシュ・フローは、敷金差入等によるもので、ほとんど動きはありません。財務キャッシュ・フローは、借入を行っているため14億6,700万円増えています。
結果として、現金同等物は期初の8億3,100万円から期末は3億3,900万円となりましたが、2024年1月期には物件を売却し、回復する見通しを立てています。
事業の状況_運営管理_部屋数と稼働数
各事業の進捗状況についてご説明します。トランクルーム運営管理事業については、新規オープンがあまりなかったことや、オーナー都合による徳丸第二トランクルームの閉鎖により、部屋数は84室ほど減っています。
ただし、2024年1月には1万室を超える規模にまで部屋数を増加する予定で開発を行っています。現在、全体で約9,000室ありますが、そのうち2年以上の物件の稼働率は7月時点で86.3パーセントとなっています。
事業の状況_運営管理_新サービスの試験運用
お客さまへのサービス状況についてです。お客さまから「トランクルーム内に荷物を置くためのラックが欲しい」というお声をいただき、試験的に大型物件である梶が谷・東浅草・ときわ台トランクルームにラックを設置した部屋を設けています。
こちらが好評であれば、さまざまなラックを設置したり、ラックを販売して据え付けたりするサービスを検討していきたいと考えています。
また、これまでトランクルームの中に置いてある荷物は、すべてお客さま自身で出し入れするようお願いしていましたが、中野沼袋トランクルームでは、試験的に荷物の運搬に不便を感じているお客さまのために個別運搬サービスを開始しています。
車の運転をやめてしまったお客さまの中には、こたつや扇風機など、大型荷物の運搬に不便を感じている方がいます。「この荷物を取ってきてほしい」というお客さまのご要望に対し、トランクルームからご自宅まで、あるいはご自宅からトランクルームに運搬するサービスを提携している運送会社と協力して行っています。
こちらも、需要があるようであれば他の店舗にも広げていこうと考えています。これまでトランクルームは単に場所をお貸しするだけだったのですが、今後はお客さまのニーズに合わせて、さまざまなサービスを強化していきたいと思います。
事業の状況_運営管理_他社から運営管理を受託
他社からの運営管理の受託についてです。スライドは、KACHIALが運営していた行徳のトランクルームの管理を私どもが引き受けた事例です。
トランクルームの運営は、部屋が小割になっている分、通常の不動産に比べてかなり手間がかかりますが、行徳は私どもの本社のある市川市にありますので、地の利があるということも含め、運営管理を私どもが受託しています。
私どもの運営管理力により店舗数を獲得し、稼働率の向上を目指して、この8月に受託しました。9月1日にリニューアルし、ストレージ王ブランドで運営する物件です。
事業の状況_トランクルームの開発分譲
今年度開発している案件についてです。すでに4月にオープンしていますが、南行徳第2トランクルームでは倉庫に住宅を併設している既存のビルを譲り受け、住宅はそのまま、倉庫部分をトランクルームに改修して133室を作りました。
スライドの右上の写真は那覇旭橋トランクルームです。現在、建設工事の真っ最中で、10月オープン予定です。
また、今回売買契約を締結した下目黒・西大井・東長崎トランクルームの3件は現在工事中です。右下の写真は、下目黒トランクルームを上棟した時の写真で、今年12月もしくは来年1月にオープンする予定です。
目黒区と品川区は初めての出店エリアとなります。城南地区にも新しく私どものトランクルームを作らせていただいています。
西横浜トランクルームは、土地を購入し、これから設計に入る段階です。こちらは2025年1月期にオープンする予定です。
事業の状況_トランクルームの開発分譲
上期に売却した案件のご紹介です。昨年7月にオープンした岡山の津山院庄トランクルームと、昨年11月にオープンした倉敷亀島トランクルームの2件を投資家へ売却しました。
私どもは、トランクルームが完成してすぐに投資家に売却することもありますが、こちらの案件はオープンしてから1年あるいは1年弱経ってからの売却となっています。
投資家からすると、「実際にトランクルームとして稼働するのだろうか?」というご心配もあると思いますので、私どもが1年あるいは1年弱実際に運営して、「ここまで埋まっています」という実績をお示しした上で売却したという事例です。
今後も資金のゆとりがあれば、なるべく物件を持ち、初期稼働を保証して付加価値を高めてから投資家に売却したいと考えています。これにより、投資家も安心感を持って購入いただけるのではないかと思います。
事業の状況_その他不動産取引
その他の不動産取引です。すでにリノベーションが完了していますが、市川市に投資用のマンションを購入しています。
また、兵庫県加西市にあるロードサイド型ホテルを購入しました。このホテルは、デベロップが運営している「R9」というブランドのホテルですが、私どもはホテル運営はしていませんので、こちらをお貸しして家賃を頂戴しているビジネスモデルになります。
マンション・ホテルについても、運営そのものは私どもではなく、賃料収入を得るかたちで運営していますが、今後は売却していく予定で交渉中です。
2024年1月期の見通し
2024年1月期の見通しです。9月12日に開示したとおり、物件の売却については、大型物件の売買契約をすでに結んでいますので、現時点で売上高・利益の予想に変動はありません。実際に締結した売買契約をもとに、物件の引渡しまで順調に進めるべく工事を進めていくということで、現在作業中です。
質疑応答:開発分譲事業と運営管理事業の構成について
「営業利益は開発分譲事業と運営管理事業でどのような構成になっているのでしょうか? 開発分譲事業は不動産市況に大きく影響すると思います。この業態だと景気・市況にかかわらず、同じ増益率を続けるのは難しいのではないでしょうか?」というご質問です。
ご指摘のとおり、トランクルームは比較的解約の少ない商品ですので、運営管理事業は非常に安定していますが、開発分譲事業は不動産市況に影響されます。
現在の不動産市況をお伝えすると、マンション価格や建設費が高騰しているということもあり、不動産の仕込み原価という意味では高止まりしていると認識しています。
一方で、私どもは西横浜の案件の土地を購入して準備しているところですが、今後、トランクルームの需要自体は伸びていきます。今回、売買契約を結んだ案件もそうですが、トランクルームの資産としての知名度は低いものの、レジデンスやオフィスに比べて新しいカテゴリーの投資商品となっています。
先ほど不動産の特徴でもお伝えしたとおり、トランクルームはボラティリティの少ない安定した資産です。私どもはすでに10棟ほどの大型案件を開発し売却していますが、投資家のニーズは非常に底堅く、トランクルームのニーズも手堅く伸びていますので、当面の間は開発した案件を売却していけると想定しています。
土地についても、マンション用地が高騰しているとお伝えしましたが、特徴としてトランクルームは駅から遠くても問題なく、マンションに比べて小さめの土地でも対応できるということで、土地自体はかなり多くあると考えています。
利用者・不動産投資家のニーズもまだしっかりとあるため、しばらくは開発ができるという見通しを立てています。
ただし、ご指摘のとおり、運営管理事業の収益のほうが安定していますので、こちらの開発を進めて、収益の比率を上げていくことを目指しています。
質疑応答:集客方法について
「トランクルームについて、どのように集客をしているのでしょうか? 他社サイト経由が大半でしょうか? 事業規模がまだ小さい中で、自社集客を高める効率的な方法はあるのか教えてください」というご質問です。
トランクルームにお申し込みいただく方の比率は、他社サイトを含めたネットからのお申し込みが約半分、自分の家に近いところにあって「こんなところにトランクルームができた」と気付き、お電話等でお問い合わせいただくケースが半分近くあります。そのような意味では、結果的には自社集客ということになるかと思います。
また、物件周辺から入ってくる情報からお申し込みいただくケースもあります。商圏自体があまり広くないため、ネットの集客もしますが、駅や物件の周りにポスターを貼っています。
あるいは見学会やチラシ・折込広告といったものに効果がある業界でもあります。効率的な方法がなかなか見つからないのですが、地域の方に対し、地道に物件をお知らせしていくことで集客しています。
質疑応答:競合他社との差別化について
「業界最大手はエリアリンクだと認識しており、規模が大きくなるとブランド化、自社集客でも有利かと思います。貴社はどのように他社と差別化し、消費者にそれを認識してもらうのでしょうか?」というご質問です。
知名度を上げることも含めて、昨年度に上場させていただきましたが、これがブランドを浸透させる1つの手段だと思っています。
他社との差別化については、親会社であるデベロップはもともと建設会社としてスタートしていることもあり、大型の屋内型トランクルーム・コンテナ型トランクルームについても、建築物のハードとして第一線級を誇っていると考えています。
また、トランクルームはカビが怖いため、屋内型トランクルームは特に空調・断熱が非常に重要です。私どもはハードがしっかりしているため、他の国内のトランク業者に比べても遜色のないレベルだと思っています。
ブランドについては、まだ規模が小さいためエリアリンクよりも認知度が低いと思っています。運搬などのサービスやバイク専用室など、さまざまな保管のかたちをご提供することで、ブランド力を上げ、利益を積み重ねていきたいと思っています。
質疑応答:決算期変更の可能性について
「第4四半期に利益が大きく出るとのことでしたが、決算期の変更を検討する可能性はありますか?」というご質問です。
実は社内でもさまざまな議論を行っています。期末に売上が上がっている一方、私どもは12月から2月にかけて土地を仕入れています。都内の大型用地といっても個人や中小企業が所有している2億円・50坪程度の案件が多く、年末あるいは年度末に動くため、このような仕入れのタイミングにより第4四半期に売上が集中してしまっている状態です。土地の仕入れのタイミングは、世の中のタイミングとも重なり、なかなか動かしにくいところです。
1月が決算期で、第4四半期まで売上が上がらないためにご心配をおかけしていますが、来期はすでに西横浜を購入していることも含め、今後はできる限り早めに仕入れ、売上が早期に上がるよう努力していきたいと思っています。
直ちに決算期の変更を検討するまでには至っていない状況です。
質疑応答:土地価格高騰の影響について
「近年の土地価格の高騰は事業にどのような影響を与えていますか? 新しい物件は賃料が高いのでしょうか?」というご質問です。
トランクルーム自体は競合の施設もあり、賃料水準は比較的周りに合わせるため、場所によって決まりやすい特性があります。
例えば、商業が発達している表参道エリアでは、狭くても住宅として個人で借りる人もいれば、商店が在庫を置く場所として借りることもありますが、坪単価は約5万円と非常に高いエリアです。
「新しいトランクルームだから賃料が高い」というよりは、場所によって賃料が違うのがトランクルーム事業の実態です。先ほど、品川区と目黒区で初めてトランクルームを開発しましたとお伝えしましたが、こちらは東京都23区の中でも比較的賃料の高いエリアです。また、出店していませんが、港区はさらに賃料が高いエリアです。
現在、建設費が高騰していますが、例えば港区の一等地に建物を建てても、郊外の方に建物を建てても、建築費の単価は変わりません。そのため、土地価格が多少高くても、貸し出し信用の高いエリアに出店する戦略をとるということで、今期、私どもは城南地区への出店を行っています。
さらに都心に出ていくことで利益を上げやすくなる可能性もありますので、土地価格は高騰していますが、逆に都心を攻めていこうと考えています。
質疑応答:エリアリンクとの棲み分け、クリアルとの提携について
「エリアリンクとの運営面での競合、棲み分けについて教えてください。また、クリアルとの提携について、他の投資家に売る場合との違いがあれば教えてください」というご質問です。
エリアリンクとの関係ですが、運営面での大きな棲み分けはしていません。都心型の案件については、物件から半径2キロくらいが商圏のため、そのような意味では競合ではありますが、バッティングするような関係性ではありません。
例えば隣同士に物件があったとしても、そのエリアでの需要があれば両者とも埋まる、共存できる業態です。運営面での違いがあり、ブランドとしても棲み分けているのではなく、場所で稼働率がかなり左右される業態だと思っています。
クリアルは、不動産小口化商品を提供している企業です。クリアルの商品は短期的な投資商品もあれば、5年、7年といった長期間にわたる投資商品もあるため、一般の不動産投資家に売却するのと大差ないと思っています。
また、詳細な取引では、クリアルは不動産特定共同事業法に基づき物件を扱っているため、不動産は現物のまま取り扱います。他の大口投資家の中には信託受益権にしている方もおり、技術的な違いはありますが、投資家として大きな違いはないと思っています。
質疑応答:金利上昇リスクについて
「金利上昇リスクについて、対応策も含めてどうお考えですか?」というご質問です。
私どもとしても非常に頭の痛い問題で、今後金利が上昇してくれば、当然のことながら不動産開発のコストが上がってきます。
開発のための借り入れは比較的短期のものが多いため、金利については今のところ危機的な状況にはなっていませんが、今後上がってくる可能性はあると思っています。銀行ともさまざまなお話を重ねる中で、短期あるいは長期で固定で借りるなどの工夫を行っていく可能性もあります。
今のところ特に大きな影響は出ていませんが、場合によってはリース契約にするなど考えています。先は計り知れない世界ですが、金融機関に相談しながら対応策を考えていきたいと思っています。
質疑応答:運営管理事業の赤字の理由について
「トランクルームの運営管理事業が今期赤字の理由を教えてください」というご質問です。
赤字の理由について、運営管理事業は一部マスターリース条件があり、当初稼働が上がらない時期に私どもの運営収入が逆ザヤになったり、さまざまな宣伝費を使ったりしたことが挙げられます。
※前期開示した運営管理事業の数値は売上総利益であり、今期から開示しているセグメント損益は営業利益のため、セグメント売上総利益が前期比で悪化したわけではなく、期初想定した実績となっています。
質疑応答:上場による事業環境の変化について
「上場したことで事業環境に変化がありましたか? デメリットも含めて教えてください」というご質問です。
上場のメリットとして、物件の不動産開発情報を含め、さまざまな情報が多く入ってくるようになりました。資金面では、物件の開発資金の一部を長期借入金で調達することができました。
デメリットについては開示などを含めて対応が増えたため、スタッフが増えたことにより固定費が増加しています。また、上場費用が一部計上されています。
メリット・デメリットはそれぞれありますが、今後、事業規模拡大していく中で吸収していきますし、資金調達等で大きく貢献しています。
物件の情報等が増えたこと、また、上場企業ということで、トランクルーム利用のお客さまに安心感を与えられるのは、大きな底支えになっていると感じています。
質疑応答:物件の販売先について
「物件の販売先はどのようにお考えでしょうか? 必ず運用を委託するなど、ルールがありますか? 一定期間で他社に変えられてしまうリスクはあるのでしょうか?」というご質問です。
当社が物件を開発し、売却した先との賃貸借契約により、リスクがある場合とない場合があります。賃貸借契約で15年間の定期賃貸借契約を結んでいる会社については、解約リスクはありません。ただし、マスターリースでは賃料を私どもが保証していますので、万一稼働率が上がらなければ、赤字になるリスクがあります。
逆にマスターリースをせず、運営のみを受託するケースもあります。初期の頃は、私どものブランドで建物を建て、すべて運営していましたが、運営を受託している契約には定期借款のような縛りがなく、運営を他社に変えられてしまうリスクは実際に存在します。そこについては稼働率を上げることにより、不動産所有者からの評価を得て、運営を変えられないよう、少しでもリスクを下げたいと思っています。
質疑応答:トランクルームの開設目標について
「トランクルーム開設の目標は年に何件くらいでしょうか?」というご質問です。
東京都23区を中心とした大型案件は、年間4、5件を目指して開発しています。用地の仕入れについては好立地を選択しているため多くの物件情報が入りますが、トランクルームに適しているところは年間4、5件程度です。今後、そのような都心エリアを攻めていくにあたり、物件数は確保しなければいけないと考えています。
一方で、今年度から開発要員を増員し、開発体制を強化しています。コンテナ型トランクルームの開発は昨年度まで年間5件程度でしたが、今年度あるいは来年度から、10件超を目指して強化しています。
また、大型の案件に比べて、ロードサイドに設置しているコンテナ型トランクルームは、コンテナの本数で10本から20本程度、部屋数で30室、40室となっており、非常に底堅い需要があります。
コンテナ型トランクルームは部屋数が少ない分埋まるのが早く、大型案件に比べて投資回収が早いメリットがあります。運営管理事業の利益を増やしていく中で、自社開発のコンテナ型トランクルームについては10件超を目標に開発を進めているところです。
質疑応答:時価総額について
「時価総額が10億円程度ですが、何か打開策は考えていますか?」というご質問です。
ご指摘のとおり、本日の終値ベースで見ても時価総額が10億円程度です。また、流通時価総額については、グロース市場では5億円以上という基準がありますが、2023年1月には5億円を割り込んでしまっていました。
株式比率については、親会社のデベロップが34パーセントまで株式を売り出し、株式の流動比率を高めたところで2023年4月にいったん5億円をクリアし、上場維持基準を満たしているところまで回復してきています。
また、昨今の株価で流通株式数を想定すると5億円を超えており、上場維持基金を満たしています。私どもとしては、収益力を高め、投資家のみなさまに私どものよいところを理解していただき、株価が上がっていくことを目指しています。事業を淡々と着実に進めていくことで、時価総額を少しでも大きくしていきたいと考えています。
株価が上昇した際には、エクイティファイナンスや配当政策等も考え、投資家のみなさまのご期待に添えるようにしていきたいと思っています。
質疑応答:震災が起こった場合のサービスについて
「実際に震災があった場合、御社のサービスを使うことはできますか?」というご質問です。
災害には地震や水害などがあると思います。コンテナ型トランクルームはかなり地震に強い構造です。私どものトランクルームはすべて建築確認を取り、基礎が十分に備えられていますので、地震および水害にもある程度強い構造だと思っています。
他社には建築確認を取らずに基礎工事をせずに、コンテナだけをロードサイドに置いたトランクルームが実在していることは承知していますが、当社は基礎工事を行っているため、地震でもまず倒壊することはないと思います。
屋内型のトランクルームについても、きちんとした耐震基準を満たしているため、基本的には利用できると思います。ただし、入口のセキュリティに電気を使用しており、停電時には使えなくなる可能性があります。
質疑応答:笹塚のトランクルームについて
「笹塚にトランクルームをオープンしたリリースが出ていましたが、特に何か大きな特徴がありますか?」というご質問です。
既存の建物の中を間仕切りやパーテーションなどでトランクルームに用途変更することは、過去にもいろいろなケースで行っています。
昨今、建築費が非常に高騰している中で、地価あるいは建築費の上昇に対する1つの手段として、既存の建物のトランクルームを私どもがお借りする、または既存の建物を購入し、トランクルームに改修することも必要なことだと思っています。お客さまのニーズに応えるトランクルームとして、既存のビルの活用は非常に重要だと考えており、あえてリリースしました。
質疑応答:強みと弱みについて
「御社の強みと弱みを教えてください」というご質問です。
私どもの強みは建築面です。弱みはブランド力が足りないところです。少しでも多くのみなさまにご利用いただけるように、事業開発により、品質の向上と規模拡大を実現していきます。