「リンシュウ」2024春夏コレクション“Bitter Sweet Romantic”をテーマに
2023年9月28日 08:50
デザイナー山地正倫周と山地りえこがデザインする「リンシュウ(RYNSHU)」が2023年9月5日、東京・六本木の国立新美術館で2024春夏コレクションを発表した。テーマは“Bitter Sweet Romantic”。 プレスリリースに「ロマンティックに始まる恋は、時に危うく、どこまでも美しく。 嵐の前の静けさは、ドラマティックな夏の前ぶれ…」と書いた今回。会場となったのは国立新美術館。休館日の1階・ロビーは、青いライトに照らされ、雷や水のような音が流れていた。
コレクションは、透け感のあるオーガンジーを重ねたミニ丈やミモレ丈、床まで届くロング丈のドレスからスタート。「突然の出逢いに、戸惑う心」を表現したという、黒、青、緑、ピンク、白、イエローなど、光沢感のあるパステルカラーを十二単(ひとえ)のように重ねたドレスは、重なり合うことで新しい色を生み出し、女性や体を自然の光や照明のように輝かせる。続くのは、光沢のあるシャツとオーガンジーのコーディネート。マニッシュなアイテムと透けるアイテムの組み合わせは、これまでのコレクションでも登場しているが、シャツの両サイドのスリットからも見え隠れするオーガンジーは、風に揺れながら、青の照明に照らされ、1枚の布が幾つもの色を持っているように見えた。 そして、体の線を強調するシャープなテーラードジャケットとシルクサテンにオーガンジーを羽根のように重ねて紡いだスカートのコーディネート、スカートと同素材を使用したドレス。遠くから見ると大小様々な白い円のように見えるアート柄を使った「リンシュウ」らしいロングジャケットと細身のパンツ、アシメトリーなジャケットなどのメンズと、黄色や赤のアート柄を上下左右自由に柄取りしたドレスやブーツ。揺れ動く布が光と影を生み出すスカートや、オプアートのような効果を生み、体のラインを更に強調するシャンパンの泡や夜の光を彷彿(ほうふつ)とさせるアート柄は、揺らめく炎や静かに燃える炎をイメージしたもの。透ける布の重なりと柄に使われた鮮やかな色がドラマを生み出し、情熱を暗示しているよう。
また、光沢のある黒とネット生地の上に緑や紫、黒の小さなスパンコールを縫い付け、花を描いた素材とをドッキングしたドレス。1年前のコレクションで登場した、美しいピンクのジャケットにはネット生地にスパンコールを縫い付けたアイテムをコーディネート。「リンシュウ」のアイコンのひとつとも言えそうな袖にスリットを入れた白いジャケットは、スリットから白いオーガンジーの袖が見え、腕を光とモアレが包み込む。フィナーレを飾った燕尾服のようなドレスも、両サイドや袖の内側を別色の素材にし、透ける素材やオーガンジーを羽根のように重ねたスカートを組み合わせた。 “Love Me Softly,Hug You Lovingly”をテーマにした2023秋冬に続き、恋や揺れ動く心、恋の物語のワンシーンや風景を、デザインや素材で表現しながら、前回の白、黒、赤に変わって、美しい色を使い、透ける素材の重なり、異素材のドッキングや色の切り替えをプラス。新たな演出や出演者を加え、物語の第2話や新しい恋のドラマを描いたようなコレクション。今回発表されたコレクションは東京先行で公開され、コレクション映像はパリファッションウィーク初日の9月25日に現地プレスより配信した。 取材・文:樋口真一 Courtesy of RYNSHU >>>このコレクションの画像を見る