1ドル=150円台は既定路線? 米国利上げと為替介入の行方は?

2023年9月22日 16:17

●FOMCで年内追加利上げを示唆

 9月19日、20日に開かれたFOMC(連邦公開市場委員会)では、FF金利を5.25%-5.5%とし2会合ぶりに据え置いたが、参加者による見通しでは半数以上が追加利上げを想定し、タカ派な姿勢を見せた。

【こちらも】BRICSの新国際通貨で、ドル時代の終焉か!?

 これを受けて米国市場は続落。22日の日経平均も260円程度下落してスタートし、終値は168円安となった。

 経済指標次第ではあるが、年内にあと1回の利上げの可能性が高まり、市場にはサプライズとなった。終わりが近いと見られていた利上げは振出しに戻り、150円に近付いているドル円も、さらに円安が進行するのだろうか?

●パウエル氏の発言と政府・日銀の動き

 パウエル氏はFOMC終了後、「適切であれば追加利上げに動く」「インフレが低下する確信が持てるまで」と発言する一方で、8月のジャクソンホールでの発言を強調し、「慎重に進める」とも発言している。

 これらを総合すると、現在インフレにピークアウトの兆候が見られるだけでは利上げ終了とはならず、足元の雇用統計が好調なことや原油などのエネルギー価格が上昇していることから、利上げの終了は先になると捉えられる。

 一方、ドル円は1ドル150円が見えてきたことから、政府・日銀は牽制を繰り返している。

 140円台を突破した5月には財務省・日銀・金融庁の3者会談を実施。8月から9月にかけて10円以上円安が進んだが、8月15日には鈴木財務相、9月6日には神田財務官が口先介入を実施。だが大きな効果は無かった。

 一方で、9月9日に読売新聞が報じた日銀・植田総裁のマイナス金利解除に関するインタビューでは、1円以上円高に動いている。

●さらなる円安と株価の行方は?

 利上げの気配が無い日本と、さらに利上げするかもしれない米国では金利差が開き、円安傾向が続くことは間違いないだろう。

 一方で、円安メリットを受ける企業が多い日本株が今後も買われる可能性は高い。

 ただ、政府・日銀も繰り返し牽制発言を繰り返しており、現状の円安の進行具合に危機感を抱いていることは間違いない。

 昨年9月にも為替介入があったが、現状も水面下で何らかの動きがあるだろう。

 しかし為替介入があったとしても、効果は一瞬で終わる可能性もあり、押し目買いが狙われる絶好の買い場になりかねない。

 株も為替も慎重な投資にならざるを得ないだろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る

関連記事

最新記事