為替週間見通し:ドル上昇は一服か、米利上げ期待も日本の為替介入に警戒
2023年8月12日 14:40
*14:40JST 為替週間見通し:ドル上昇は一服か、米利上げ期待も日本の為替介入に警戒
【今週の概況】
■米国の年内追加利上げを想定してドル買い強まる
今週のドル・円は強含み。米国の7月消費者物価指数などインフレ指標の発表や国債入札を控えて、金利先高観が再浮上し、リスク選好的なドル買い・円売りが優勢となった。8月8日発表の中国の7月輸出入額は大幅な減少を記録し、同国の成長停滞が懸念されたほか、信用格付け大手ムーディーズが米国の中小銀の格下げや格付け見通しの引き下げを発表して金融不安も再燃し、安全逃避的なドル買いも観測された。ドル・円は週初に141円台半ばまで下げたものの、米金利見通しを巡る思惑でじり高となった。
11日のニューヨーク外為市場でドル・円は、144円42銭まで下落後、145円00銭まで上昇した。この日発表された7月米生産者物価指数(PPI)は市場予想を上回り、年内追加利上げ観測が広がったことから、長期金利は上昇。日米金利差の拡大を想定したドル買い・円売りに拍車がかかった。ドル・円は144円96銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:141円52銭-145円00銭。
【来週の見通し】
■ドル上昇は一服か、米利上げ期待も日本の為替介入に警戒
来週のドル・円は上昇一服となる可能性がある。米国のインフレ率は昨年6月頃をピークに鈍化傾向が続いているが、来週発表の7月小売売上高が市場予想と一致、または上回った場合、景気減速懸念を和らげるとともに追加利上げ観測を後押しする材料となりそうだ。インフレ、個人消費関連の指標が堅調なら米連邦準備制度理事会(FRB)の政策方針を正当化しよう。FRBは年内にあと1回の利上げを検討しているもようだ。
ただし、市場参加者の間では7月が最後の利上げとなる可能性が高いとの見方も存在している。また、日本政府は円安進行を引き続き懸念しており、1ドル=145円超を目指す展開なら日本政府の円安けん制が想定される。大規模な円買い介入が実施されるとの見方は少ないものの、昨年行った円買い為替介入が想起され、145円を超える水準でリスク選好的なドル買い・円売りがさらに強まるとの見方は少ないようだ。
【米・7月小売売上高】(15日発表予定)
15日発表の米7月小売売上高は前月比で改善できるか注目される。景気減速懸念は根強いが、消費の改善が示された場合、国内総生産(GDP)の押し上げ効果が期待されドル買い要因に。
【米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨】(16日公表予定)
FRBは7月25-26日開催のFOMCでインフレ抑止の姿勢を堅持しながらも、次回9月の会合については「データ次第」と強調。議事要旨の内容も慎重なら金利安・ドル安が見込まれる。
予想レンジ:142円50銭-146円50銭《FA》