苦戦するJ-REIT 新しい潮流も
2023年8月12日 15:36
J-REITは、そのマーケットの拡大を続けてきた。不動産証券化協会によれば、時価総額は10年前と比較して2倍を超えて成長しており、2023年3月時点で14.98兆円となっている。だがここにきて、苦戦の様相を呈している。
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そのパフォーマンスを日経平均と比較すると優劣は明らかで、2018年3月時点と比較すれば、2023年3月で日経平均は約40%の伸びを見せているのに対し、「Jリートファンド」は純資産で-20%を超える落ち込みを見せている。
その原因の1つは、J-REITに組み込まれる物件を見ると探ることができる。一般にREITは、都心のオフィス、マンション等の住宅、ホテルや商業施設等に投資を行う。コロナ下では巣ごもり需要が拡大したことで、倉庫等の物流関連施設への投資も増えた。
都心オフィスを投資先とするREITは、リモートによる働き方の変化によりオフィス需要そのものが減少していることに加え、東京や日本橋の再開発により大規模で設備の良いオフィスが大量供給されたことが原因で、停滞が鮮明だ。
現在のオフィス系REITに組み込まれている物件は一昔前のオフィスが多く、新しいオフィスにその需要を奪われていることから、賃料に下落圧力がかかり、結果REITのパフォーマンスが低下することにつながっている。
またそもそもの仕組上、運用利益が分配金となることで複利効果を得られないことが、中長期投資を志向する投資家から敬遠されている可能性もある。
一方で、REITの中でもデータセンタに投資するものは、今後の伸びが期待される。データセンタは、激増する通信の処理や、ホットトピックであるAIに必要なインフラ施設であり、今後も需要が拡大することは間違いない。
REIT本場のアメリカでもまだ本数は多くない状況だが、今後データセンタに特化したREITは本数が増えることが予想され、個別のハイテク銘柄の伸びと同調して拡大が見込まれる。(記事:Paji・記事一覧を見る)