EV車は未完の技術
2023年8月3日 06:34
EV車やハイブリッド車には、車両の電装品部分を担う「鉛蓄電池」の他に、電動モーターを駆動する為の、結構容量が大きな電池が搭載されている。現時点では、その駆動用バッテリーの主力を担うのは「リチウムイオン電池」である。
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普通のガソリン車やディーゼル車の場合の蓄電池は、一般に電装品部分を担当する12Vの「鉛蓄電池」が搭載されているだけだ。
電装品とは、ヘッドランプやストップランプ等の灯火類、ドアミラーの折り畳み、鏡面調整機構、パワーウインドー、音響機器類、セルモーターや電動パワステの駆動、熱線プリントやエアコン、シートヒーター等々の電気で動く部品を指す。
●鉛蓄電池の分担分野
ここで「鉛蓄電池」だけに関して、検討を加えて見たい。
重い上に、効率面ではリチウムイオンバッテリー等とは比べものにならないが、鉛蓄電池は発火・爆発の危険性は皆無と言って良い。
バッテリー液の管理さえ正しく行なわれていれば(=蒸留水の補給を怠らず、グリッドが液面から露出する様な状況にならなければ)、気温が低いと効率が落ちるものの、信頼性は高い。
鉛電池で大きなトラブルと言えば、バッテリーが弱って始動不良を起こす事くらいだ。コスト面でも、寿命面でも、信頼できるバッテリーである。
昔の「電気自動車」やゴルフカートの主電源は「鉛蓄電池」で、効率性の問題から大きく進歩しなかったが、電装品部分を担当するだけなら、最適な蓄電池だと言えよう。
●蓄電池の進歩
鉛電池以降、1963年に三洋電機からニッケル・カドミウム電池がカドニカ電池の商品名で市販化された。
1990年には、三洋と松下電池工業から相次いでニッケル水素電池が市販化され、1991年にはソニー・エナジー・テックからリチウムイオン電池が市販化された。
さらにリチウムイオン電池後も2002年に日本ガイシからナトリウム硫黄電池(NAS電池)が事業化されている。そして、EV車の将来に光明を照らすのは、全固体電池になるだろう。
しかし現時点でも鉛蓄電池の役割は大きく、「リチウムイオン電池」がEV車の駆動用電源の主流である。
●リチウムイオン電池の欠点
リチウムイオン電池が衝撃や熱に弱いのは周知の事実で、モバイルバッテリーを炎天下のダッシュボードに放置して熱膨張から発火する画像を見た事があるだろう。
かって、韓国の某メーカー製携帯電話が発火事故頻度が高く、一時期は航空機への手荷物預けは勿論、手持ちでの機内持ち込みも禁止された事があった。
EV車のモーターを駆動する車載バッテリーは、携帯電話とは比べものにならない位大きな物である。従って発火事故を起こせば、モバイルバッテリーとは比較にならない、大規模な火災となる。
●EV車火災事故の現実
2023年1月28日に、テスラ・モデルSが米カリフォルニア州サクラメント郊外の高速道路を走行中に炎上する事故を起こした。
テスラ社が緊急マニュアルで“完全消火”を推奨している為、1時間以上かけて消火活動を行ない、消防車3台と給水車が約22トンもの水を使用して鎮火にあたった。
サクラメント消防局によると、従来のガソリン式エンジンを搭載した車から出火した場合、消火に必要な水量は約3.2トンで、消防車1台でまかなえる水量とされる。
この事実だけを見ても、万一の場合のリチウムイオン電池の危険性は認識できるだろう。
●メーカーの技術レベル
初期のテスラは、パナソニックのバッテリーを搭載していたので、発火事故とは無縁であった。だが他社のバッテリーを採用したり、中国で生産したりされたテスラは、ネットで多数報告されている様に、良く発火事故を起こしている。
おまけに、まともな車造りの技術蓄積が無い為、突然フロントボンネットフードが開いて前が見えなくなったり、お得意の筈の自動運転が誤作動したり、いろいろやらかしている。
最近もネットでは、テスラが突然充電不能となり、保証期間が過ぎていたのでバッテリー交換費用が230万円と言われた、という話が出ていた。
諦めて処分する事を考えたら、バッテリーがそのままの状態では買取り不能で、230万円かけてバッテリー交換したら、買取り価格は90万円との提示だったという、算数が苦手なら理解不能な話が出ていてビックリだ!
まともな自動車メーカーの発想とは到底思えない。
韓国製のEV車も、京都でタクシー車として納入されているが、この車も本国では良くネットを騒がせている。
組合が強くて、組み立てラインでスマホをいじったりする人たちが作業する工場製だから、仕方無いのかも知れないが~。
今後、EV車メーカー自体の技術レベルと、バッテリーメーカーの技術進歩とレベルがEV車の評価の大きな鍵を握る事になるだろう。
いずれにしても、世界各国の電源事情も勘案すると、現時点ではEV車は未完の技術である事は明白である。(記事:沢ハジメ・記事一覧を見る)