横浜市立大学大、医療の「へき地」尺度を開発 日本初
2023年6月26日 17:00
横浜市立大学大学院は22日、医療の「へき地」度合いを示す尺度「Rurality Index for Japan(RIJ)」を開発したと発表した。都市部との医療資源の格差を見える化する。また反対に、地域との協働など「へき地」医療ならではの魅力発信にもつなげる方針だ。
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RIJは、日本で初めての医療に関するへき地の尺度になる。郵便番号ごとの人口密度、直近の2次・3次救急病院までの距離、離島かどうか、特別豪雪地帯かどうかの4項目から1~100の尺度(100が最もへき地)で算出する。
へき地度と平均寿命の相関関係を調べたところ、負の相関関係があることが改めて確認された。市区町村ごとの平均寿命は男性で-0.35、女性で-0.12となった。
この尺度を用いることで、都市部とへき地の医療格差、健康格差を示し、改善につなげる。へき地は医師や看護師など医療人材が不足している他、病院や診療所の数が少ないため、医療サービスの提供が限定されることが多い。また最新の診察機器や医療技術が導入されづらいことや、災害などが起きた場合に緊急医療への対応が困難などの課題がある。
だが一方で、市域のコミュニティと医療施設の関係性が近く、住民が気軽に医療を利用できるというメリットもある。また例えば農村地域なら、農作業による怪我など地域特有の需要に対応する医療を提供しやすいこともある。RIJによって、こうした魅力も伝える。
RIJを開発したのは、横浜市立大学大学院のデータサイエンス研究科・金子惇淳教授らの研究グループ。研究室のサイトから申請すれば、無償で利用できるようにしている。
都市部とへき地の医療・健康格差は世界的に注視されており、各国で研究が進んでいる。日本では過疎地域に約1100万人が居住しており、国土の58%を過疎地域が占めている。だがこれまで、医療のへき地尺度が無かった。(記事:土佐洋甘・記事一覧を見る)