昔の車の車種グレード価格と添付品

2023年6月22日 08:53

 1970年(昭和45年)頃、ファミリアやパブリカが、最廉価モデルの車両価格を「1,000ドルカー」(当時のドル交換レートは1$=360円)、つまり35万9,000円を謳っていた頃の話。

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●ファミリーカーのグレード・装備区分

 当時の一般的なモデルの装備ランク区分は、「スタンダード」、「デラックス」、「スーパーデラックス」程度が準備されていた。

 そして中間装備車種として「セミデラックス」とか「パーソナルデラックス」といった、車種も存在していた。デラックス未満だが、ちょっぴり豪華な装備を施した、スタンダードの上級版だった。

 最廉価モデルが40万円を切り、40万~50万円が、大体そのクラスの価格帯であった。

 そして上級スポーティモデルとして、タコメーターや木目調ステアリング、フロントブレーキをドラムからディスクに変更して、価格も数万円高いグレードが設定されていた。

●車両店頭価格

 そんな頃、車両本体価格は「東京・大阪店頭渡し」の本体価格であり、販売価格はディーラー所在地区(一般的には道・府・県単位)で、例えば「千葉県店頭現金価格」として、ディーラーが独自にセットした「愛車セット」なる添付品を、車両本体に加えた価格設定がされていた。

 例えば、「ファミリア1200クーペ」の「車両本体東京価格」は55万円だったが、千葉県店頭価格は「愛車セット」が必須の添付品とされて、57万円だった。

●販売店が独自に設定する店頭価格

 55万円の車両本体に、「販売店が独自に設定する添付品キット」代金の2万円が加算される。

 車両本体の3.64%にあたり、昨今の250万円程度の車に換算すれば、9万1,000円に相当する。

 だが愛車セットの中身は、フロアマット、洗車ブラシ、毛バタキ、ワックス缶、合成皮革クロスといった程度。そんなお粗末な内容で、江戸川を渡っただけの千葉県では2万円も跳ね上がった。

 東京の価格と何故そんなに違うのかと問い質すと、「輸送費用」も必要だと言う。

 ふざけるな!広島から輸送船で海上輸送し、千葉に陸揚げされた車が、隣の東京まで持って行くと、陸揚げ地の千葉県内よりも安くなるのか?まあ、こんな不条理な「道府県別店頭価格」がまかり通っていた。

●添付品の中身

 最近は車に積んでいるケースも稀で、「毛バタキって何?」と思われるが、ハタキよりもしっかりした、殆どは竹か木の柄に鶏の羽根が付けられた、車のボディの埃落としの掃除道具だ。

 上級品には鶏の羽根でも尾長鶏等の物を使った物や、ダチョウの羽根とかが使われている高額商品も存在した。

 こんな品は、運転手付きの役員送迎車等で、訪問先の時間潰しに運転手が車の手入れをする場面とかで使われていた。高額な上に、埃落としにはコツがあって、2本を1セットとして使用するのが静電気対策にもなるから、金額も倍かかった。

 勿論、ファミリーカーの愛車セットは、安価な鶏の羽根の品が1本だけであった。

 フロアマットと言っても、4枚のビニールマットで、昨今のカーペットの様な立派な物では無かった。車両本体自体が、床のマットはビニール系が普通で、布製のカーペットを装備しているのは高級車にしか無かった。

 洗車ブラシは、今も変わらない。昨今の本体は樹脂製となっているが、昔は木製だった。

●上級車種の添付品の中身

 先に例示した車種は、当時は「大衆車」と呼ばれたファミリーカーで、もっと上級車種になると、「愛車セット」は内容品も充実し、価格もより高額になった。

 「レース製ハーフカバー」とか、「ナンバープレート枠」、左前方の車の先端が見極めやすくなる様にバンパーに装着した旗竿「フェンダーコントローラー」、各ドアの窓の上部に差し込む「サイドバイザー」、ドアの端に噛み込ませて、開いたドアが壁や隣の車に触れても傷つかない様にする「ドアエッジ」等が加わった。

 また合成皮革クロスでは無くて、高価なセーム皮(鹿革の大判のボディ拭き上げ用のクロス)だったり、「高価な車を買った」と、満足させる内容だった。

 はっきり言えば、新車と代替する都度、豪華な添付品が抱き合わせで付いて来るが、マットやレースのシートカバーはそのまま下取り車に装着したままで引き渡すものの、毛バタキやセーム皮は、使い慣れた物の方が良いので、重複して無駄な出費となった。

 最近は無理な抱き合わせ販売は規制されているので、不要な添付品は除外して貰えるから、合理的になったと思う。(記事:沢ハジメ・記事一覧を見る

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