NYの視点:パウエル議長議会証言、BOE、FRB理事承認、ブリンケン米国務長官訪中
2023年6月19日 07:40
*07:40JST NYの視点:パウエル議長議会証言、BOE、FRB理事承認、ブリンケン米国務長官訪中
今週はFRBが年2回公表する金融政策報告書に関し、パウエル議長は2日間の議会公聴会に出席する予定で注目となる。FRBが公表した金融政策報告では、「インフレは鈍化も依然2%目標を上回っている」と慎重。追加利上げを巡り、各会合で決定していく方針を確認した。また、金融システムは「依然堅調で柔軟性がある」とした。成長では、信用状況の引き締まりは経済活動の重しになる可能性を指摘したほか、インフレ制御には潜在的な水準を下回る成長が必要である可能性に言及した。民主党はウォ―レン上院議員などが「FRBが利上げを停止すべき」と主張。一方で、共和党はバイデン政権の巨大な歳出拡大がインフレを高止まりさせており、支出削減の必要性を訴えている。
そのほか、FRB副議長に指名されたジェファーソン理事、FRB理事に再指名されたクック氏、新たに理事に指名されたクーグラー氏が承認手続きの上院銀行委での証言が予定されている。
FRBは6月FOMCで市場の予想通り昨年3月に利上げ開始して以降初めて利上げを見送った。声明では、金利据え置きにより10会合連続での大幅利上げによるインフレや景気への影響を、今後の追加経済データで見直すことができるとした。ただ、議長は利上げ見送りは、緩やかな利上げ軌道の一環だとしており、利上げ終了ではないことを再確認した。
FRBの見通しではピーク金利見通しが前回から一段と引き上げられ、年内あと2回の利上げを想定していることが明らかになった。パウエル議長はインフレリスクが依然上方で、過去6カ月間、コアPCEインフレにもあまり改善が見られないとタカ派姿勢を維持。ほぼ全メンバーが追加利上げが適切だと見ていることを明らかにする想定以上にタカ派的な内容となったためドル買いに拍車がかかった。ウォラー理事は、16日の講演で、「コアインフレに変化なく、追加引き締めが必要となる可能性」を指摘。リッチモンド連銀のバーキン総裁も「インフレは依然高すぎる。かなり根強い」とし、「もし、FRBが利上げを時期尚早に終了した場合、一段と高い水準までの利上げリスクになる」と警告。データがインフレ減速を示さなければ追加措置に依存はない、とした。ただ、FOMCでは7月の追加利上げは明言せず、経済次第で、各会合ごとに政策を決定する姿勢を示した。
また、ブリンケン国務長官は16日から19日に中国を訪問。米中関係の改善はリスク選好の動きを支援する。
中銀関連では英中銀やスイス中銀は22日金融政策決定会合を開催する。英中銀は25BPの利上げに踏み切る公算。同国の予想を上回る賃金の伸びを受けて、市場はピーク金利6%も織り込み始めポンド買いにつながった。追加利上げが示唆されると一段のポンド買いが予想される。
■今週の主な注目イベント
●米国
16-19日:ブリンケン国務長官訪中
19日:6月NAHB住宅市場指数
20日:5月住宅着工件数・住宅建設許可件数、6月フィラデルフィア連銀非製造業活動、ブラード米セントルイス連銀総裁が講演
21日:パウエルFRB議長が下院金融委員会証言、グールズビー米シカゴ連銀総裁が講演
FRB副議長に指名されたジェファーソン理事、FRB理事に再指名されたクック氏、新たに理事に指名されたクーグラー氏が承認手続きの上院銀行委での証言
22日:5月シカゴ連銀全米活動指指数、新規失業保険申請件数、5月中古住宅販売件数、5月先行指数、6月カンザスシティ連銀製造業活動、パウエルFRB議長上院銀行委での証言、メスター米クリーブランド連銀総裁が講演
23日:6月製造業・サービス業PMI、ブラード米セントルイス連銀総裁講演
●ユーロ圏
19日:仏中銀ビルロワ・ドガロー総裁講演
23日:ユーロ圏製造業・サービスPMI、
●英
21日:CPI
22日:英中銀金融政策決定会合、製造業PMI
●豪州
19日:豪州準備銀が6月金融政策会合の議事録公表
●中国
20日:長期プライムレート
●日本
20日:鉱工業生産
23日:CPI《CS》