中小企業の15.7%が「借入金の返済に懸念あり」 東京商工リサーチ

2023年6月18日 08:00

 東京商工リサーチは15日、6月1日から8日に実施した「私的整理に関する企業アンケート」の結果を発表した。中小企業のうち15.7%が借入金の返済に懸念ありと回答、6.4%が私的整理を活用した収益性向上を検討する可能性があるとしている。

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 政府が今月に示した「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版案」では、過剰債務が事業再構築の足かせとなっている現状を踏まえ、金融債務の減額を容易にする法制の整備を目指すことが記載された。

 政府は6日、国の成長戦略を議論する「新しい資本主義実現会議」にて、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版案」を発表した。成長のけん引役となるスタートアップの振興を目玉とし、米国などと比べ使い勝手が悪いと言われるストックオプションにかかる規制改革を検討する。

 合わせて、「企業の参入・退出の円滑化」と題して、事業再構築法制の整備が記載された。政府の調査によれば、昨年10月時点で中小企業の33%が「債務の過剰感がある」と回答し、そのうち35%が「債務が事業再構築の足かせになっている」とした。

 そこで政府は、現行の私的整理の手続きを簡潔かつ短期化するために、全ての貸し手の同意を必要とせず多数決で金融債務の減額が可能となる事業再構築法制の整備を目指し、法案を早期に国会へ提出するとした。

 かかる状況下、東京商工リサーチは、「私的整理に関する企業アンケート」の結果を発表した。借入金の返済見通しについては、資本金1億円未満の中小企業において、「コロナ禍前は問題なかったが、現在は懸念あり」が9.7%、「コロナ禍前から懸念があり、現在も懸念がある」が6.0%で、合計15.7%に達した。前者が後者を上回るのは、コロナ禍を通じて債務が過剰状態となった企業が多いことの証左と言える。

 また、私的整理手続きを活用して債務超過解消を目指す等の取り組みを検討する可能性については、中小企業の6.4%が「あり」と回答した。「あり」と回答した企業が最も重視するとしたのは「現在の事業や取引に影響を与えないこと」で、事業継続のための私的整理ならではの結果だった。

 一方、多数決で金融債務の減額が可能となる事業再構築法制では公告が必要となるとの見方もあり、その場合、レピュテーションを悪化させるリスクが懸念される。(記事:dailyst・記事一覧を見る

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