オルツ、人力文字起こし「コエラボ」「安起こし」買収 アジア圏でのシェア拡大へ
2023年6月4日 07:23
パーソナルAIの開発を行うオルツ(東京都中野区)は1日、IPパートナーズから、国内シェア2位の人力文字起こし事業を買収したと発表した。日本及びアジア圏の音声認識市場のシェア拡大を狙う。また、AI技術と人力を融合し、高品質なサービスの提供も安価で展開する。
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オルツはAIによる自動文字起こしを手掛けており、高い音声認識精度を実現している。今後はAIが自動的に処理を行いながら、人間がその処理を監視・修正・補完するHuman-in-the-Loop(ヒューマン・イン・ザ・ループ)に力を入れる。
今回の買収で、同社が人力による100%精度の文字起こしサービスを提供できるようになる。さらに、AIによる自動文字起こしの精度を100%に近づける、学習サイクルループを保有できることになる。
AIの文字起こしを人間がチェックや修正することで、不確かな情報や曖昧な表現が改善され、品質を高められる。またAIが誤った結果を出した場合、人間が結果を確認し正しい情報をフィードバックすれば、より精度の高い文字起こしが可能となる。人間の専門知識や直観を用いて、AIの性能向上や修正を行う。
英語圏の音声認識市場は既に2兆円を超えると見られている。英語は音声認識が比較的容易だとされているが、同社は音声認識が比較的困難な日本やアジア圏で音声認識のシェアを拡大していく方針だ。100%精度のテキストデータを用いた業務効率化や、DXに関わるサービスも展開していく。
尚、国内では引き続き100%精度が必須の文字起こしニーズが、数百億円規模あると試算されている。これに対しても、AIと人力を掛け合わせて、高品質なサービスを安価に提供する予定だ。
IPパートナーズは文字起こしの「エコラボ」と「安起こし」を運営しており、これを買収した。エコラボは800人以上の書き起こしライターが所属。医療系など専門性の高い案件も対応できる。当日・翌日納品や、100時間以上の大型案件の文字起こしや構成が可能だ。
安起こしは、納期が中5営業日なら1分98円からという価格が特徴。30分以上から注文できる。(記事:土佐洋甘・記事一覧を見る)