マイナビ、AIで求人原稿作成時間を30%短縮 実証実験で成功 業務に実装へ
2023年6月2日 17:24
マイナビ(東京都千代田区)は5月31日、AIを活用した原稿作成の実証実験で、一部の原稿作成業務において約30%の業務効率化が実現したと発表した。同社は東京大学発のAIスタートアップELYZA(東京都文京区)と共同で、2022年5月から実証実験を行っていた。
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ELYZAが開発した大規模言語モデルを用いて、「マイナビバイト」の求人原稿作成短縮化をテーマに実験を行っていた。業務効率化30%成功の結果を踏まえ、これから実装を開始する。月間約500~700時間の原稿作成工数が削減できる見込みだ。
業務の短縮化で生まれた時間は、原稿の品質向上やサービスの拡充、ユーザーやクライアントとのコミュニケーションに充てる。
ELYZAは文章執筆AI『ELYZA Pencil』を一般公開している。文章執筆分野での大規模言語AIの基礎モデルを有しており、キーワードを数個入力すると約6秒で文章が自動生成できる。その他に要約AIなども保有しており、こうしたAIを活用して、マイナビの運営メディアの原稿自動生成に取り組んできた。
マイナビは「マイナビバイト」や「マイナビ介護職」など複数の求人情報サイトを運営している。「マイナビバイト」だけでも、掲載数が34万2473件(6月1日現在)あり、それぞれの原稿作成の時間を短縮化することが、業務効率化に大きなインパクトとなる。
現在、多くの企業が文章作成が可能なAIサービスを展開しており、市場が活気づいている。OpenAI社が開発した自然言語処理モデルの「チャットGPT」をはじめ、2022年11月にGoogle AIが一般公開した大規模言語モデルのチャットボット「Bard」の他、日本企業が運営し日本語に特化した「Catchy」などもある。
こうした文章作成ができるAIは、インターネット上の記事や書籍、ニュース記事などから大量のテキストデータを収集して学習。文法や単語の関連性などのルールを学び、文章を生成している。ユーザーが修正を行った場合はそれがフィードバックされ、さらにモデルの再トレーニングに活用されることもある。(記事:土佐洋甘・記事一覧を見る)