倒産発生率、2022年度は3年ぶり悪化 中小企業の倒産は増加懸念 東京商工リサーチ
2023年5月20日 20:48
東京商工リサーチは17日、2022年度の「倒産発生率」が0.200%となり、前年度(0.167%)から0.033ポイント悪化したと発表した。倒産発生率(普通法人)が悪化するのは3年ぶり。政府によるコロナ禍の資金繰支援策が終了したことに加え、人手不足や物価高が主な理由だ。
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上場企業においては、好調な業績や経営効率の改善を背景に日経平均が約33年ぶりの高値を記録。一方で中小企業においては、2023年度はいわゆる「ゼロゼロ融資」の元本返済が多くの企業で始まることもあり、倒産発生率の更なる悪化が懸念される。
日経平均株価終値は19日、3万808円となり、バブル崩壊後の高値を更新し、約33年ぶりの数値を記録した。好調な企業業績に加え、欧米と比べ遅れているリオープニングの進展が業績を更に押し上げるとの期待感がある。
バブル絶頂期における日経平均株価のPERと東証1部のPBRがそれぞれ80倍、5倍超だったのに対し、現在は前者が14倍、後者(東証プライム市場)が1.2倍程度の水準。日本企業はこの30年間にROEを改善させるなど経営効率を高めており、足もとで海外投資家からの買いが集まっている。
一方、中小企業においては、2023年度に倒産が増えるとの懸念がある。東京商工リサーチが17日に発表した2022年度「倒産発生率」調査の結果によれば、2022年度の倒産発生率は3年ぶりに悪化。政府によるコロナ禍の支援策がおおむね終了したことが大きいが、エネルギーや原材料などを中心とした物価高に加え、人手不足が深刻化している。
人手不足に関しては、東京商工リサーチが12日に発表した別の調査結果によれば、1-4月の「人手不足」関連倒産は44件に達し、前年同期の約2.5倍に達した。業種別では、サービス業、運輸業、建設業で多い。収益性が低く賃上げに踏み切れない中小企業は、人材流出が止まらず業績回復が進まない悪循環に陥りつつある。
また中小企業庁によれば、コロナ禍で中小企業の多くが借りた「ゼロゼロ融資」の元本返済の開始時期は2023年7月から2024年4月に集中する見込み。返済負担減や事業再構築等を目的とした保証制度(コロナ借換保証)が導入されたが、現時点では利用は進んでいない模様だ。(記事:dailyst・記事一覧を見る)