ニフティライフスタイル、通期売上高は過去最高を更新、初の中計発表で2026年に売上高45.5億円を目指す
2023年5月12日 11:07
目次
成田隆志氏(以下、成田):ニフティライフスタイル代表取締役社長の成田でございます。本日はお忙しい中、当社の動画をご覧いただき誠にありがとうございます。本日は2023年3月期の決算概要と、当社として初めて策定した中期経営計画についてお話しします。
2023年3月期 通期決算ハイライト
2023年3月期通期決算の概要です。当期は増収減益での着地となりました。売上高はYoYで9.1パーセント増の30億700万円となり、2018年の設立以来、初めて30億円を突破し、過去最高を更新しました。
営業利益はYoYで38.9パーセント減の5億7,100万円です。1月に業績予想の修正を発表しましたが、第4四半期の売上高が順調に推移したことや、コストコントロールを実施したことで、修正後業績予想を9,300万円上回りました。
続いて、トピックスです。「ニフティ不動産」のアプリについて、「今期中に1,000万ダウンロード」を目指していましたが、980万ダウンロードでの着地となり、目標は持ち越しになりました。
また、今年2月に初配実施を発表しました。当期は1株当たり12円として実施します。配当方針については、中期経営計画の中でご説明しますが、今後も安定的で継続的な配当を実施していきます。
2023年3月期 通期:四半期別売上高
四半期別売上高の推移についてご説明します。グラフの青色が「ニフティ不動産」「ニフティ温泉」「ニフティ求人」からなる行動支援プラットフォームサービスの売上高、緑色が「DFO」「オンライン内見」からなる行動支援ソリューションサービスの売上高です。
第4四半期の売上高は過去最高を更新し、YoYで12.5パーセント増となりました。主力の「ニフティ不動産」が1月から3月にかけて最繁忙期を迎えるため、第4四半期に売上が最も多くなる季節偏重があり、今期も例年どおり順調に積み上げることができました。
2023年3月期 通期:費用(売上原価・販売費及び一般管理費)内訳
売上原価と販管費の内訳です。当期は24億3,600万円で、前年同期比で約6億円の増加となりました。既存事業の成長に向けた運用コストがYoYで1億6,400万円増加しているほか、中期成長に向けた先行投資がYoYで4億5,100万円増加しています。
主な成長投資の費用としては、認知拡大を目指したブランディングなどの広告宣伝、体制強化のための人材投資、UI/UX強化のための開発投資となっています。
2023年3月期 通期:YoY営業利益差異分析
営業利益のYoYでの差異分析です。当期の営業利益は、スライドの一番右側に記載のとおり、5億7,100万円となりました。中期成長に向けた先行投資の影響を除く営業利益は、中央の10億2,200万円です。
短期的な利益追求よりも、中長期的な目線での企業価値向上を目指していくという当社の方針は変わりません。しかし、ある一定の利益水準を確保することは重要であると認識しており、来期以降は規律あるコストマネジメントを行っていく方針にしています。こちらについては、来期の業績予想のところで詳しくご説明します。
2023年3月期 通期決算概要:連結損益計算書
当期の連結損益計算書です。売上高と売上総利益は前年同期比でプラス、営業利益をはじめとする各段階利益は前年同期比で減益となりました。
事業セグメント「行動支援サービス事業」概要
各事業の状況についてご説明します。当社の事業セグメントは、行動支援サービス事業の単一セグメントとなっており、行動支援プラットフォームサービスと行動支援ソリューションサービスの2つを展開しています。
行動支援プラットフォームサービスは、ユーザーの情報検討と企業の集客を支援するサービスです。アプリとWebで提供しており、情報量の多さと情報の探しやすさが特徴です。お部屋探しをする際の不動産情報を提供する「ニフティ不動産」、日帰り温泉やサウナなどの施設情報、クーポン情報を提供する「ニフティ温泉」、アルバイトや転職情報を提供する「ニフティ求人」の3つを手掛けています。
行動支援ソリューションサービスは、企業のWebマーケティング業務や営業接客業務をSaaS型のDXツール提供で支援するサービスです。「DFO」はインターネット広告を出稿する際の入稿支援システムとなっており、多くのEC企業や広告代理店の方々にご利用いただいています。
「オンライン内見」は不動産事業者向けの営業接客ツールで、オンライン接客やIT重説などの電子契約業務のサポートツールとしてご利用いただいています。この後、各サービスの当期の経営成績についてご説明します。
2023年3月期 通期:行動支援プラットフォームサービス売上高
行動支援プラットフォームサービスの売上高の推移です。主力の「ニフティ不動産」を中心に、「ニフティ温泉」「ニフティ求人」の3つのサービスで構成されています。2023年3月期の売上高はYoYで9.8パーセント増の26億6,000万円で、過去最高となりました。
売上高推移(通期):ニフティ不動産
主力の「ニフティ不動産」についてお話しします。2023年3月期の売上高はYoYで11.7パーセント増の23億400万円で、こちらも過去最高となりました。第2四半期に一部顧客の販売促進費予算の調整があり、売上高が減少しましたが、第3四半期以降は正常化しています。
繁忙期である第4四半期は、年末年始に行ったテレビ CMや、CVR向上のための効率的なデジタルマーケティングなどが奏功し、第4四半期単独で見てもYoYで14.5パーセント増と好調に推移しました。
2023年3月期 振り返り:ニフティ不動産
「ニフティ不動産」事業の振り返りです。当期はブランディング強化とアプリ機能などの開発強化の2軸に注力しました。繁忙期に向けて認知度向上を目指し、初めてタレントを起用し、大々的にTV CMを放映しました。放映前と比べると、ブランド認知率が7パーセント上昇するなど、一定の効果があったと認識しています。
いろいろな方に「ニフティ不動産」というサービス名を知っていただくことはできましたが、第4四半期のサービス利用者数やダウンロード数は、伸びたものの想定を下回る結果となり、短期的な利用効果には一定の課題を残しました。
開発強化については、「使ってみたくなるアプリ」を目指し、当社ならではの機能を持ったアプリ開発を進めました。利用ユーザーから好意的なレビューが届いている一方で、アプリの新機能や機能優位性がユーザーに浸透していない点もいまだ多く、訴求やアプローチの改善が必要であると感じています。
このような点は、今後のブランディングに活かしたいと考えており、来期のブランディングではサービス内容に訴求し、利用意欲を向上させる取り組みを進めていく方針です。
ニフティ不動産KPI:アプリダウンロード(DL)数
「ニフティ不動産」のアプリダウンロード数推移です。アプリダウンロード数は、3月末時点で980万ダウンロードを突破しました。堅調な推移ではありますが、目標としていた今期中の1,000万ダウンロードには届きませんでした。なお、当社調べによるアプリからの送客率は、Webと比較すると5倍から10倍も高いため、引き続きアプリの利便性向上とダウンロード獲得に注力していきます。
売上高推移(通期):ニフティ温泉
「ニフティ温泉」の売上高推移です。2023年3月期の売上高は、YoYで11.3パーセント増の3億1,000万円でした。当期もたびたび新型コロナウイルス感染症の影響を受けましたが、人流の戻りに伴い回復傾向となっています。
ユーザー数は、2022年8月に過去最高の400万ユーザーを突破し、今年の1月にそれを上回る430万ユーザーを突破しました。クーポン利用と合わせて需要が高まってきています。今後もユーザーの求める情報やニーズにしっかり取り組むことで、ユーザー数を拡大し、業績拡大につなげていきたいと思っています。
2023年3月期 振り返り:ニフティ温泉
当期の「ニフティ温泉」事業の振り返りです。「ニフティ温泉」は新型コロナウイルス感染症の発現以来、その流行状況に左右されてきましたが、当期に入ってようやく回復傾向が見られ、おおむね堅調な成長を続けることができました。「年間ランキング」では過去最高のユーザー投票を獲得したほか、初めての試みとしてタレントの王林さんをお招きし、メディア向けの記者発表会も実施しました。
サウナブームも大きな波の1つと認識しており、ユーザーとのタッチポイントを増やすほか、サウナをはじめとした各種ランキングなどの記事コンテンツの配信にも注力しました。当社調べでは、サウナに関心のある若い男性のクーポン利用者が増えているというデータも出てきており、引き続き新たな層の開拓も進めていきたいと考えています。
このような施策が奏功し、当期の繁忙期には400万MAUを2回記録しました。2023年1月には「年間ランキング」受賞施設の記念クーポンが好評で、過去最高の430万MAUを獲得できました。
売上高推移(通期):ニフティ求人
「ニフティ求人」の売上高推移です。2023年3月期の売上高はYoYで40.5パーセント減の4,800万円となりました。SEO評価の低迷によるユーザーの減少傾向が続いており、売上高は低調に推移しました。こちらについては事業ポートフォリオの見直しの一環として、事業の位置付けを再検討していきたいと考えています。
2023年3月期(通期):行動支援ソリューションサービス売上高
当社のもう1つのサービスである、行動支援ソリューションサービスの売上高推移です。マーケティング支援の「DFO」と営業接客支援の「オンライン内見」の2つのSaaSサービスで売上高が構成されています。2023年3月期の売上高はYoYで3.8パーセント増の3億4,700万円となりました。
売上高推移(通期): DFO
「DFO」の売上高推移です。2023年3月期の売上高は、YoYで6パーセント増の3億1,000万円で、過去最高となりました。主力のECクライアントとは、安定的な取引が続いています。また、新規クライアントについても、カカクコム社、スマートニュース社などの広告、メディアパートナーとのオンラインセミナーや相互顧客紹介といった効率的な営業連携により、安定的な獲得につながっています。
売上高推移(通期):オンライン内見
「オンライン内見」の売上高推移です。2023年3月期の売上高はYoYで11.7パーセント減の3,600万円となりました。第2四半期までは受託事業終了の影響により、YoYで減少していましたが、第4四半期単独で見るとYoYで増加しています。
DXツールの提供に加え、昨年末より株式会社いえらぶGROUPとの送客支援の取り組みもスタートしており、徐々にサポート店舗も増えています。引き続き、不動産事業者のニーズの掘り起こしとともに、営業強化に努めていきます。
2024年3月期 事業方針
2024年3月期の業績予想についてお話しします。まず、2024年3月期の事業方針です。当社は2023年3月期を成長投資フェーズと位置付け、積極的な先行投資を行ってきましたが、中期経営計画の策定にあたり、中長期的な企業価値向上を達成するため、2024年3月期は筋肉質な経営基盤の構築を進めていく方針にしました。
実際の施策として、次の3項目を掲げています。1つ目は、集客効率を最大化し、既存事業を着実に成長させていきます。こちらに関しては次のスライドから詳しくご説明しますが、ブランディング戦略やデータ活用の強化などを図っていきたいと考えています。
2つ目は、周辺領域の開拓推進です。一部アライアンス連携もスタートしていますが、引き続き、重点事業の周辺領域での事業開発に向け、自社リソースのほか、M&Aやアライアンスなどを積極的に活用しながら実現を目指して進めていきます。
3つ目は、これらの成長投資を着実に実行しつつ規律あるコストマネジメントにより、売上高とともに営業利益も成長させ、適正な利益水準へと戻していきます。
2024年3月期 重点施策①主力サービスのブランディング深化
2024年3月期の重点施策では、主力サービスのブランディング深化を行っていきたいと考えています。2023年3月期のブランディング施策は、繁忙期に向けた短期集中型での実施、そして「ニフティ不動産」の名前を覚えてもらう戦略でした。
結果として、サービス名の認知度は上昇しましたが、利用促進については一定の課題を残すことになりました。そこで、2024年3月期は年間を通して幅広くブランディングの取り組みを行い、顕在層だけでなく、潜在層へのアプローチも強化していきます。
さらに、昨年重視したサービス名訴求に加え、情報量やアプリの使いやすさといった、当社サービスの利便性や優位性の理解を促すことで興味を持っていただき、利用促進につなげていきます。具体的な訴求アプローチとしては、昨年以上に利用シーンやニーズの利便性を動画やSNSでわかりやすく発信するとともに、記事コンテンツの拡充やユーザーデータの活用などにより、潜在層への働きかけも行っていきます。
2024年3月期 重点施策②美容・健康ニーズへのアプローチ強化
次に「ニフティ温泉」では、400万人強のユーザーに向けて美容健康ニーズへのアプローチを強化していきます。「ニフティ温泉」の領域を、「健康習慣に関する支援」に広げることで、美容や健康など、幅広いジャンルにおける潜在ニーズを掘り起こし、より多くのユーザー獲得へつなげていきたいと考えています。
具体的には、ユーザーの興味関心についてデータを分析し、健康や美容に関する提案を記事コンテンツとして配信していきます。また、「ニフティ温泉」の自社編集員をアンバサダーとし、主体的に情報を発信します。インフルエンサーマーケティングにも注力し、情報に対する信頼や共感の醸成を図り、口コミなどでの拡散も活用したいと考えています。
2024年3月期 重点施策③データ活用によるライフタイムバリュー最大化
3番目として、データ活用によるライフタイムバリューの最大化を目指していきます。当社のサービスには、20年以上の実績があり、それぞれ多くのユーザーを抱えています。ここから得られるデータを今まで以上にしっかりと分析し、活用できるよう、当期はシステム投資を実施していきます。
データを分析し、活用することで、効率的に新規ユーザーを獲得します。また、ナーチャリング施策を実施することで、サービスのリピート利用を強化していきます。さらに、ユーザーデータを有効活用し、新規事業領域を活性化させることで、グループ全体のライフタイムバリューの最大化を目指していきます。
コストマネジメント
2023年3月期における課題を踏まえ、2024年3月期はコストマネジメントもきっちりと行っていく方針です。開発については、選択と集中を実施していきます。重点テーマを明確にし、既存サービスの開発効率を向上させるとともに、不動産周辺領域やウェルネスなどの新規開発を推進していきます。
広告宣伝では、年間を通してのブランディング戦略を強化します。また、効率を重視し、売上高比率を5パーセント未満に抑えていく考えです。販売促進については、CRMやコンテンツの強化により、オーガニック集客の改善を図るとともに、販売促進コストの最適化を行っていきます。売上高比率は、2023年3月期並のコストコントロールを実施し、効率化を進めていきます。
2024年3月期 通期業績予想
これらの取り組みを踏まえた業績予想です。売上高はYoY10.5パーセント増の33億2,300万円、営業利益はYoY21.5パーセント増の6億9,400万円、経常利益はYoY21.4パーセント増の6億9,200万円、親会社株主に帰属する当期純利益はYoY34.9パーセント増の4億5,700万円、EBITDAはYoY19.4パーセント増の8億9,200万円で、増収増益となる計画です。
中期経営計画の位置付け
ここからは、中期経営計画についてご説明します。本中期経営計画は、当社として上場後初めて開示するものです。計画策定に先立ち、まずは企業としての存在意義を定義するため、パーパスを制定しました。パーパスを起点として、目指す世界観としてのミッション、ミッション達成のためのマイルストーンとなるビジョンをあわせて策定しました。
その上で、今回の中期経営計画は2024年3月期を初年度とする3ヶ年計画となっており、将来の成長に向け、経営基盤を整備・強化する期間と位置付けています。そして、パーパス・ミッション・ビジョンに基づいてこれまでのサービスで培ってきたテクノロジーやノウハウを生かし、より日常的な場面における意思決定のサポートに関するサービスを手掛けることで、一人ひとりの幸せな暮らしに寄り添い続けたいと考えています。
パーパス(存在意義)、ミッション(目指す姿)、ビジョン(マイルストーン)
新しく策定したパーパスは「思いやりとテクノロジーで、一人ひとりの『幸せな暮らしの意思決定』を支え続ける。」としました。このパーパスを軸とし、当社が目指す姿を考えた時に、「誰もが『暮らしの主人公』になる世界を実現する。」というミッションを掲げました。そして、このミッションを実現するためのマイルストーンとして、「『暮らしのこだわり』を届ける。」というビジョンを策定しました。
パーパス、ミッション、ビジョンの世界観をサービスに活かしながら、毎日をより幸せにすることにチャレンジしていきたいと考えています。
中期経営計画骨子
本中期経営計画の骨子です。2024年3月期から2026年3月期の3年で、どのように成長し、どのような姿を目指していきたいかを策定しました。まず、この3年で事業基盤の強化を図ります。当社は、現在「ニフティ不動産」を主力ビジネスとしていますが、この一本柱ではなく、今後第2、第3の柱を作る必要があると考えています。
後ほど詳しくご説明しますが、事業ドメインを不動産テック、ウェルネステック、クロステックの3領域に再定義し、当社が持つ強みやアセットを活かしながら、事業基盤をより強固なものにしていきたいと考えています。
また、既存事業だけではなく、その周辺領域へ事業を拡大、強化することで、収益権の多様化を図っていきます。そして、成長に向けた施策を実行し、当社ミッションを実行できるように組織環境を整備していく考えです。
これらの施策により、2026年3月期の売上高は45億5,000万円、2023年3月期に対するCAGR(年平均成長率)は15パーセント、営業利益は10億円、CAGRは20パーセントを目指します。
当社を取り巻く外部環境
当社を取り巻く外部環境についてご説明します。まずは、ライフスタイルの多様化です。近年は特に、新型コロナウイルス感染症の拡大以降、テレワークやフリーランスといった、場所や形態を選ばずに仕事ができる新しい働き方が定着しています。それに伴い、住環境に関する意識や、価値観も大きく変化しています。
次に、人口減少社会への突入です。少子高齢化が急速に進んでおり、労働力不足の懸念が拡大しています。一方で、人々の健康に対する意識は高まってきており、ウェルネス領域へ注目が集まっています。
また、情報流通構造、DXといったIT関連の環境も激変しています。ユーザーのニーズに即したさまざまなデバイスやツール、コンテンツが台頭しています。Web会議システムを始め、多種多様なシーンでDX化が進んでおり、AIや自動化といった分野も急速に拡大しています。
当社の強み
当社の強みは、3点あると考えています。1つ目は、膨大な情報量を取り扱っていることです。当社の現サービスは、いずれも提供開始から20年以上と歴史があり、取引先とも強固な信頼関係を構築しています。例えば「ニフティ不動産」は物件数が述べ1,300万件、「ニフティ温泉」は施設数が述べ1万6,000件と、いずれも国内最大級の膨大な情報量を取り扱うことができています。
2つ目は、ユーザー集客力です。当社は約10年前からアプリでのサービス提供に注力しており、開発や集客のノウハウが蓄積されています。また、独自のWebマーケティングによる効果的な集客も当社の強みであり、成約確度の高いユーザーの獲得・送客ができています。
3つ目は、情報処理分野における技術とノウハウです。例えば、「ニフティ不動産」では1,300万件の物件情報に対して130以上のこだわり条件を設定でき、その検索結果を瞬時に表示します。
加えて、当社独自の名寄せ処理を行い同一物件情報の重複を1つにまとめ、他社サービスにはない使いやすいUI/UXを提供することが可能となっています。膨大な情報量を瞬時にストレスなくユーザーに提供するための情報処理技術が、当社の強みです。
外部環境と内部環境を踏まえ、事業ドメインを再定義
こうした外部環境と内部環境を踏まえ、今後当社の事業基盤を強化していくために、注力領域を3つに絞り、事業ドメインを再定義しました。3つすべてに「〇〇テック」と名づけました。我々のテクノロジーに対する思いの強さと考えていただければと思います。
まずは、不動産テック領域についてご説明します。こちらは既存事業でいえば、「ニフティ不動産」が主力となる領域です。賃貸、購入領域での不動産物件情報検索サービスを軸に、売却やリフォームといった周辺領域の新規事業開拓を推進します。また、当社の子会社である株式会社Tryellが行っている「オンライン内見」事業も不動産テック領域に含まれます。不動産事業者向けのDX支援だけではなく、送客支援にも注力していきます。
次にウェルネステック領域です。こちらは「ニフティ温泉」を軸とした領域で、第2の柱として位置付けています。クーポン送客ビジネスやメーカー・事業者向けの体験型広告サービスを足がかりに、美容や健康といったウェルネス関連領域に進出し、送客支援やECなどの新規事業開拓を推進していきます。
最後に、クロステック領域です。既存事業として「DFO」がありますが、将来的には新しいテック領域を確立し、新規事業として成長させていきたいと考えています。
事業ドメインの再定義イメージ
スライドは、事業ドメインの再定義イメージです。不動産テック領域及びウェルネステック領域の周辺領域を広げることで事業を拡大し、クロステック領域で第3、第4の柱となる事業を成長させていきたいと考えています。
衣食住といった生活する上で必要な領域や生活を楽しくする領域など、幸せな暮らしづくりをサポートするために、テクノロジーを掛け合わせて事業領域を広げていきます。
各領域の市場規模:不動産テック領域
各領域の市場規模についてご説明します。まずは不動産テック領域です。当社が属している不動産関連サービスの市場規模は約1,800億円ですが、売却やリフォーム、引越しなどの周辺領域や不動産テック領域への展開により、より大きな市場を取りに行けると考えています。
各領域の市場規模:ウェルネステック領域
ウェルネステック領域についてご説明します。現在、市場規模は約2,000億円ですが、ウェルネス領域への進出により、市場は約26兆円にまで拡大します。こちらの領域は社会情勢の変化に伴い、今後もますます注目が高まっていくと予想されます。当社も、この中での成長を目指していきたいと考えています。
中期経営計画 定量目標
定量目標についてご説明します。中長期的な成長に向け、この3ヶ年で既存事業の着実な成長、周辺/新規領域の取り組み強化の両輪を推進していきます。2026年3月期には売上高45億5,000万円、CAGR約15パーセント、営業利益10億円、CAGR約20パーセントの達成を目指します。
不動産テック領域 事業戦略
領域別の事業戦略についてご説明します。不動産テック領域は、2026年3月期に売上高32億5,000万円、CAGR11.7パーセントを目指します。目標KPIとして、600万MAUを掲げています。
不動産テック領域 事業戦略「お部屋探しから住まい全般の支援へ」
事業戦略の1点目は、お部屋探し支援の強化です。既存の不動産物件検索プラットフォームサービスにおける「賃貸/購入」領域の着実な成長を目指します。また、CRMの活用により顧客データの管理を深化させることで、ニーズ把握や顧客体験の向上に努めます。
2点目は、住まい全般の支援へとサービスの提供範囲を拡大させていきます。売却やリフォームといった不動産関連の周辺領域への展開を行っていきます。こちらの手段としては、自社リソースのほか、M&Aや資本業務提携等も積極的に活用していく考えです。
3点目は、不動産事業者向け支援の強化です。現在、Tryell社が事業を構築している不動産事業者向け送客/DXサービスを拡充していきます。テクノロジーを活用することで、不動産市場に新たな価値を提供していきたいと考えています。
ウェルネステック領域 事業戦略
ウェルネステック領域の事業戦略についてです。2026年3月期に売上高7億5,000万円、CAGR33.7パーセントを目指します。目標KPIとして1,000万MAUを掲げています。
ウェルネステック領域 事業戦略「温浴からウェルネス全般へ支援拡大」
事業戦略の1点目は、温浴施設向けビジネスの深化です。当社は温浴好きユーザーの集客を強みとしています。クーポン送客ビジネスを軸に、PRや施設開拓を強化することで集客を拡大し、着実な成長につなげていきます。また、事前決済の導入により、施設の業務効率化を支援するとともに、ユーザーのニーズ把握や体験向上を目指します。
2点目は、メーカー向けマーケティング支援の強化です。こちらは現在「体験型広告サービス」と呼んでいるもので、温浴施設とのリレーションやネットワークを活用し、リアルとデジタルを活用したメーカー向けマーケティング支援を強化します。また、施設でのサンプリング等に加え、Webメディアでのブランディングを行うことでビジネスを拡大させていきます。
3点目は、ウェルネス領域への進出です。美容や健康増進等を含むウェルネス領域をターゲットに、送客/マーケティング支援サービスを拡大させます。心身の健康に関する意思決定の支援を行うとともに、対象市場を広げていくことで、より大きな市場での成長を目指します。
当社の親会社グループには、ECノウハウを持っている会社もあります。そのような、多様なグループアセットも積極的に活用していきたいと考えています。
クロステック領域 事業戦略
クロステック領域の事業戦略についてです。こちらは2026年3月期に売上高5億5,000万円、CAGR15.8パーセントを目指します。数字ではありませんが、目標KPIとして、クロステック領域の中から新しい軸となる事業を期間中に創出することを掲げます。
クロステック領域 事業戦略「グループ第3の事業の柱の創出」
事業戦略の1点目は、既存シーズの強化です。クロステック領域の成長に向けたシーズの1つとして、既存事業の1つであるSaaS型DXツール「DFO」の売上を安定的に伸長させます。
2点目は、インハウスによる新規領域への挑戦です。ライフスタイル領域におけるテクノロジーと当社のアセットを活用した新規事業の創出を目指します。
3点目は、業務提携等による事業創出のスピード向上です。新規事業の創出にあたっては、業務提携やM&A等の手法も活用し、事業創出と拡大のスピードを向上させます。
キャピタルアロケーション
キャピタルアロケーションについては、企業価値向上に向けてキャッシュフローを成長投資と株主還元へ適切に配分することで、2026年3月期のROEは11パーセント以上を目指します。
成長投資としては、各事業領域の持続的な成長のための事業投資やM&A活用による非連続的な成長を実現するための戦略投資を行います。
株主還元としては、2026年3月期における株主還元指標をDOE2.0パーセントと設定し、この目標に向けて年間配当額を維持または段階的に増額していく方針です。
株主還元
株主還元についてご説明します。当社は、中長期的な企業価値の向上に必要な投資を推進しつつ、安定的・継続的な株主還元を実施することを基本方針としています。
2023年3月期から配当を開始し、初配は1株あたり12円です。2024年3月期には、配当を1株あたり13円とする計画です。2026年3月期の目標をDOE2.0パーセントとし、基本方針に則って利益成長を鑑みながら段階的に増額していきます。
長期ビジョンのイメージ
長期ビジョンのイメージについてです。当社は、中長期的に売上高100億円規模の企業成長を目指します。
不動産テック領域では、これまで培ったノウハウを活用しながら周辺領域の開拓を積極的に進め、安定的・継続的に成長させます。そして今後、注目が高まるウェルネステック領域を第2の柱として拡大・成長させていきます。
さらに、クロステック領域の中から第3の柱となる事業を創出することで、こちらの領域についても成長を加速させます。これらの目標を実現するために、経営陣をはじめ、全社一丸となって取り組みを進めていきます。
以上をもちまして、2023年3月期通期決算及び中期経営計画の説明を終了します。
成田氏からのご挨拶
誰もが「暮らしの主人公」になる世界を実現するために、これから邁進してまいりますので、引き続き変わらぬご指導を賜りますようお願い申し上げます。本日は誠にありがとうございました。