ジャパンフーズは23年3月期営業・経常黒字転換、24年3月期も大幅増益予想

2023年5月10日 11:35

(決算速報)  ジャパンフーズ<2599>(東証スタンダード)は5月9日の取引時間中に23年3月期連結業績を発表した。エネルギーコストの想定以上の高騰などで計画を下回ったものの、前期比では受託製造数増加や生産性向上などで営業・黒字転換した。そして24年3月期も大幅増益予想としている。引き続き受託製造数増加、さらなる生産性向上効果を見込み、売上拡大・単価向上に向けて新製品受注、新規顧客獲得、新たな販売領域拡大にも取り組む方針としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は24年3月期大幅増益予想を好感して急伸した。そして年初来高値を一気に更新した。目先的には乱高下する可能性もあるが、好業績、低PER、低PBRを評価して上値を試す展開を期待したい。

■23年3月期営業・経常黒字転換、24年3月期も大幅増益予想

 23年3月期の連結業績は、売上高が22年3月期比5.3%増の100億83百万円、営業利益が1億44百万円の黒字(22年3月期は3億87百万円の赤字)、経常利益が3億15百万円の黒字(同1億71百万円の赤字)、親会社株主帰属当期純利益が13.7%減の1億48百万円だった。配当は22年3月期と同額の27円(第2四半期末10円、期末17円)とした。

 エネルギーコストの想定以上の高騰などで計画を下回ったものの、前期比では受託製造数増加や生産性向上などで営業・黒字転換した。親会社株主帰属当期純利益は前期の一過性利益が剥落して減益だった。

 なお親会社株主帰属当期純利益1億10百万円減益(単体/コアが14百万円減の93百万円、事業取込利益等が96百万円減の1億53百万円)の要因分析は、前期一過性利益(固定資産撤去費用引当金一部取崩、政策保有株式売却益)の反動▲4億10百万円、受注増加等+2億79百万円、生産性向上等(コスト改善)+5億77百万円、エネルギーコスト上昇▲4億60百万円、事業取込利益▲96百万円だったとしている。

 国内飲料受託製造事業は受託製造数が4.4%増の3798.9万ケース、売上高が5.3%増の99億50百万円、セグメント利益(調整前経常利益)が1億56百万円の黒字(22年3月期は4億26百万円の赤字)だった。受託製造数は、第1四半期に新型コロナ感染症拡大に伴う行動制限の影響、第3四半期に小売価格低艇の影響を受ける場面があったが、天候要因による市況回復や新たな販売領域の獲得に向けた取り組みの結果、通期ベースでは順調に増加した。利益面は受託製造数の増加に加えて、生産性向上等によるコスト改善効果も寄与した。

 海外飲料受託製造事業(中国の持分法適用会社、連結対象期間22年1月~12月期)のセグメント利益は38.1%減の1億30百万円だった。新型コロナ感染症拡大の影響などで売上が減少し、新ライン増設に伴うコスト増加も影響した。その他事業(水宅配事業および水宅配フランチャイズ事業)は売上高が4.9%増の1億34百万円、セグメント利益が35.1%減の29百万円だった。ボトルドウォーターの価格改定を実施したが、コロナ禍に伴う社会変化でオフィス向け製品水の販売が低迷した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高27億97百万円、経常利益3億88百万円、親会社株主帰属四半期純利益2億87百万円、第2四半期は売上高31億55百万円、経常利益5億82百万円、親会社株主帰属四半期純利益4億24百万円、第3四半期は売上高16億80百万円、経常利益8億16百万円の赤字、親会社株主帰属四半期純利益5億63百万円の赤字、第4四半期は売上高24億51百万円、経常利益1億61百万円、親会社株主帰属四半期純利益98百万円だった。受託製造数は第1四半期が1106.9万ケース、第2四半期が1157.6万ケース、第3四半期が603.5万ケース、第4四半期が930.9万ケースだった。飲料業界は夏場が需要期、冬場が不需要期となる。

 24年3月期の連結業績予想は、売上高が23年3月期比12.1%増の113億円、営業利益が4.7倍の6億80百万円、経常利益が2.8倍の8億90百万円、親会社株主帰属当期純利益が2.8倍の7億円としている。配当予想は23年3月期と同額の27円(第2四半期末10円、期末17円)としている。

 大幅増収増益予想としている。原材料費、物流費、人件費などの増加を見込むが、市況回復、新製品受注、新たな販売領域拡大などで受託製造数の増加(9.7%増の4166.0万ケース)を見込み、さらに政府の価格抑制策によるエネルギーコスト改善、生産性向上、事業取込利益か回復なども寄与する見込みだ。

 なお、親会社株主帰属当期純利益4億54百万円増益(単体/コアが3億57百万円増の4億50百万円、事業取込利益等が97百万円増の2億50百万円)の要因分析は、受注増加等が+5億60百万円、エネルギーコスト改善が+2億20百万円、生産性向上等(コスト改善)が+3億90百万円、製造経費増加(原材料高等)が▲4億40百万円、その他コスト増加が▲3億70百万円、事業取込利益が+1億円の計画としている。事業取込利益は中国事業の新ライン増設・製造能力増強で利益規模が拡大する見込みだ。

 中期経営計画(23年3月期~25年3月期)の2年目となる24年3月期は、品質経営の根幹となる「ひとづくり」「顧客の品質評価の向上」「生産性の向上」を一段と強化するとともに、売上拡大・単価向上に向けて新製品受注、新規顧客獲得、新たな販売領域拡大にも取り組む方針としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は急伸して年初来高値更新

 株価は24年3月期大幅増益予想を好感して急伸した。そして年初来高値を一気に更新した。目先的には乱高下する可能性もあるが、好業績、低PER、低PBRを評価して上値を試す展開を期待したい。5月9日の終値は1137円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS145円14銭で算出)は約8倍、今期予想配当利回り(会社予想の27円で算出)は約2.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1553円21銭で算出)は約0.7倍、時価総額は約58億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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