食品業の倒産件数、2022年度は3年ぶりに増加 新型コロナ関連が半数近くに
2023年5月3日 08:05
東京商工リサーチが2022年度における食品業の倒産動向を発表し、年度としての推移は低い水準が続いているものの、新型コロナウイルス関連の倒産件数が増加し続けており、食品業全体の倒産件数が3年ぶりに増加したことが分かった。
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■3年ぶりに倒産件数が増加
2日、東京商工リサーチが2022年度における「食品業の倒産動向」調査を発表。2022年4月から23年3月における食品業の倒産件数(負債1,000万円以上)は前年度比27.2%(120件)増の561件となり、3年にりに前年度から増加した。
過去の推移を振り返ると、2000年代初頭の倒産件数は年度1,000件前後で推移しており、そこから比較すると件数では低い水準が続ている。
ただし、新型コロナ関連の倒産件数は268件。前年度比は56.7%(97件)増で、倒産件数全体に占める割合は、21年度の38.8%から、22年度は47.8%と半分近くにまで増えている。
食品業界に影響を及ぼしたプラス要因として、新型コロナで増えた巣ごもり需要などがあった一方、マイナス要因として新型コロナ関連の外出自粛やイベント中止、円安等による食材、光熱費等の値上がりがあった。
■業種別で最多は農畜産物・水産物卸売業
業種別で倒産件数が最も多かったのは農畜産物・水産物卸売業の124件(前年度比30.5%増、以下同じ)。ついで食品・飲料卸売業が94件(10.5%増)、菓子・パン小売業が49件(22.5%増)、水産食料品製造業が39件(50.0%増)、各種食料品小売業が35件(45.8%増)、鮮魚小売業が16件(33.3%増)、野菜缶詰・果実缶詰・農産保存食料品製造業が15件(7.5倍)、野菜・果実小売業が14件(27.2%増)などとなっている。
また新型コロナ関連で倒産件数が最も多かったのは、農畜産物・水産物卸売業の58件(34.9%増)。以下、食料・飲料卸売業が45件(28.6%増)、菓子・パン小売業が34件(約2.4倍)、水産食料品製造業が26件(約2.6倍)など。
■零細・中小業者は苦境が続く
都道府県別で倒産件数が最も多かったのは東京都の66件。ついで大阪府が56件、神奈川県が38件、北海道が34件、福岡県と静岡県が各28件、愛知県が24件、兵庫県が23件と続いている。
前年度から倒産件数が増加したのは東京都や北海道など27都道府県。減少したのは千葉県(21年度:21件、22年度19件、以下同じ)、宮城県(17件、11件)など13県。前年度と同数だったのは山口県(6件)、和歌山県(4件)など7県。その中でも山梨県は前年度に続いて倒産件数が0件だった。
倒産の原因で最も多かったのは「販売不振」で418件。ついで「既往のシワ寄せ」が65件で、不況型の倒産が全体の9割近くを占めている。
負債額別では「1億円未満」が350件で全体の約6割を占めている。その他は、「1億円以上5億円未満」が155件、「5億円以上10億円未満」が34件、「10億円以上100億円未満」が21件、「100億円以上」が1件。
小規模な飲食業の倒産が大半を占めており、価格転嫁の厳しい中小や零細企業では、人手確保を目的とした人件費の増加も見込まれ、今後も厳しい状況が続く見込みだ。(記事:県田勢・記事一覧を見る)