夏までに8000品目以上が値上げ予定! 貴方の会社は救いの手を差し伸べてくれるか?
2023年4月16日 17:17
昨年来、原材料価格や物流費などの高騰を受け、食品や日用品、光熱費の値上げが続いている。帝国データバンクが今年3月31日までにまとめた試算によると、23年度における1世帯あたりの家計への食費負担額は、およそ1か月当たり2140円、年間で約2万6000円増加するとみられる。また同社の調査では、4月はしょうゆやマヨネーズ、ウインナー、乳製品など5106品目、5月には缶コーヒーなど778品目、6月にもインスタントラーメンやスナック・チョコレート菓子、カレールーなど2390品目、3か月間の内に合計8274品目の値上げが予定されており、家計が圧迫されることは必至だ。
ウィズコロナ、アフターコロナ時代に向かってこれからという時に出鼻をくじかれるような状況ではあるものの、社員の生活を守ろうと行動を起こす企業も現れ始めている。
例えば、兵庫県神戸市東灘区に本社を置く日本酒メーカーの白鶴酒造株式会社もそんな企業の一つだ。同社ではこれまで、コロナ対策として、週1回のコロナ対策会議を開催し、政府方針よりも厳しい自主基準を策定、最新の政府方針に沿って改定してきた。在宅勤務、時差勤務、リモートワークの導入の他、白鶴酒造資料館、白鶴美術館など、同社の観光施設や直営店を休業するなどしていたが、これには従業員とその家族の様々な感染症対策への理解と協力が不可欠であったとし、これからウィズコロナの時代にシフトしていくにあたり、これまでの協力に対しての謝意と、世界情勢の変化に伴う社会生活への慰労の意を込め、特別賞与を全従業員に支給することを決定。この3月、全従業員470名を対象に、雇用形態や就労時間等を勘案した上で5万円を上限に現金支給した。
また、ファミリーレストランチェーン・ガストなどを展開する、すかいらーくホールディングスも、正社員、嘱託社員などを対象に最大で12万円の特別一時金「インフレ手当」を3月の給与と合わせて支給している。こちらは白鶴のようなコロナ対策協力の謝意などではなく、インフレ加速に伴う、従業員の生活コスト増加に対する緊急支援が目的だ。パートやアルバイトにも一律1万円が支給されている。折しも、同社ではガストの深夜営業を3月から続々と再開しており、従業員の士気向上にもつながりそうだ。
ATM制御システムや電子取引管理システムなどの開発を行う株式会社クライムも、物価高騰に伴う従業員の家計負担を軽減するため、「インフレ手当」の名目で4月から、執行役員を除く正社員、契約社員、嘱託社員の約300人を対象に、月額5000円を1年間にわたって支給するという。物価の値上がり分は十分吸収できる金額だ。
新型コロナの流行が始まった直後でもそうだったが、まずは従業員の生活を第一に考え、それに迅速な対応を見せた企業は、コロナ禍中でも業績を伸ばしている企業が多かった。これから年末にかけて、さらに激しくなりそうなインフレ、値上げラッシュに対しても、どんな対応を見せるかが、企業の命運を分けることにもなるかもしれない。(編集担当:藤原伊織)