為替週間見通し:伸び悩みか、米景気減速で利上げ休止の思惑残る

2023年4月8日 14:43

*14:43JST 為替週間見通し:伸び悩みか、米景気減速で利上げ休止の思惑残る

【今週の概況】
■米企業景況感悪化でドル売り強まる

今週のドル・円は弱含み。週初に133円76銭までドル高・円安に振れたが、4月3日発表の3月米ISM製造業景況指数は市場予想を下回り、約3年ぶりの低水準となったことから、リスク回避のドル売りが優勢となった。さらに4日発表の2月米JOLT求人件数、5日発表の3月ADP雇用統計や3月ISM非製造業景況指数も市場予想を下回り、ドル・円は一時130円64銭まで下落した。しかしながら、クリーブランド連銀メスター総裁が「もう少し金利を引き上げる必要がある」と指摘し、5月利上げの可能性が再び高まったことから、ドル売りは一服。6日にはセントルイス連銀のブラード総裁が「FRBは利上げ継続が可能」、「インフレは低下したが、依然として高すぎる」との見方を伝えており、ドル買い材料となった。

7日のニューヨーク市場でドル・円は強含み。この日発表された3月米雇用統計で失業率は低下し、非農業部門雇用者数は市場予想をわずかに上回ったことから、リスク選好的なドル買い・円売りが観測された。米国は「聖金曜日」の祝日のため、外為市場参加者は少なかったが、雇用統計発表後にドルを買い戻す動きが広がった。ドル・円は、132円25銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:130円64銭-133円76銭。

【来週の見通し】
■伸び悩みか、米景気減速で利上げ休止の思惑残る

来週のドル・円は伸び悩みか。米国経済に先行き不透明感が広がり始め、連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締め方針の後退を見込んだドル売りが見込まれる。5月の連邦公開市場委員会(FOMC)に向け、利上げ停止の観測は根強い。3月米雇用統計で失業率は低下したが、2月JOLTS求人件数は1000万件の大台を割り込んだ。3月ISM景況感指数で雇用の伸びが鈍化するなど、労働市場の収縮が警戒されている。FRBはこれまで、強い雇用情勢を背景に引き締め政策を進めてきたが、その土台が揺らぐ。

FRB当局者のなかでもタカ派寄りとして知られるクリーブランド連銀メスター総裁は、直近の講演で「金利はもう少し上昇してから維持すると見込む」と述べた。その一方で、5月2-3日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で利上げを決定するかどうか「まだ言及できない」と慎重な姿勢を示している。欧米金融システムへの過度な懸念は和らぎ、FRBはインフレ抑止に前向きなスタンスを示している。ただ、4月12日に公表されるFOMC議事要旨で利上げ休止に関する議論の詳細が判明すれば、米金利安・ドル安に振れやすい。
3月米雇用統計で失業率は低下したことから、5月2-3日開催の次回FOMC会合で0.25ポイントの利上げ確率はやや上昇した。ただ、来週発表される3月の消費者物価指数(CPI)や小売売上高が市場予想を下回った場合、5月利上げを想定したドル買い・円売りは大幅に縮小する可能性がある。

【米・3月消費者物価コア指数(CPI)】(12日発表予定)
12日発表の米3月消費者物価コア指数(CPI)は前年比+5.6%と予想されている。コアCPIは2月実績を上回る可能性があるが、市場予想を下回った場合、利上げ継続への期待は後退し、ドル売り要因となる。

【米・3月小売売上高】(14日発表予定)
14日発表の米3月小売売上高は前月比-0.4%と、さえない数字となる可能性がある。個人消費の弱さが目立つため、市場予想と一致した場合、景気回復の遅れを嫌気してドル売りが強まる可能性がある。

予想レンジ:130円50銭-133円50銭《FA》

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