あいおいニッセイ同和、単身高齢者の見守りサービス導入で保険料割引き

2023年4月7日 08:31

 あいおいニッセイ同和損保は5日、不動産管理会社等向けに、単身高齢者世帯への見守りサービスを導入することで、保険料を割引く保険商品を開発したと発表した。

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 不動産賃貸経営のクラウドサービスなどを手がけるヤモリと協業し、同社の見守りサービスを活用する。商品提供は2023年上期中から開始予定。孤独死の抑制や単身高齢者への賃貸住宅の安定供給を目指すという。

 新たに開発した「見守る家主・費用利益保険(仮称)」は、あいおいニッセイ同和の既存商品「家主・費用利益保険」をベースとしている。

 家主・費用利益保険は、孤独死が発生した場合、大家に対して家賃損失や原状回復費用・事故対応費用などを補償する。22年12月より、愛知県名古屋市を皮切りに提供を開始し、自治体向けに展開している。新商品は、同等の補償内容にヤモリが展開するIoTサービス「みまもりヤモリ」を追加して提供する。

 みまもりヤモリは、人の動きを検知するモーションセンサーを搭載したIoT機器を室内に設置して、挙動のモニタリングを行う。移動の有無などの挙動の変化から異常を検知すると、不動産管理会社などにメールやSMSで通知を送る仕組みだ。

 モニタリングは24時間実施。IoT機器は、Wifi接続などの設定不要でコンセントに指すだけで利用できる。トイレのコンセントなど生活動線への設置を推奨している。

 新商品の契約締結対象となるのは、不動産賃貸管理会社と地方自治体。保険金を受取る被保険者に、賃貸物件の大家などを設定する。みまもりヤモリを導入した賃貸住宅には、10%程度の保険料割引を適用する予定。割引率は、実証実験の結果を踏まえて決定するという。

 こうした保険提供の背景には、単身高齢者世帯の増加と孤独死件数の増加がある。厚生労働省の「国民生活基礎調査の概況」によると、65歳以上の単身世帯は21年3月時点で742万7千世帯となり、13年(573万世帯)との比較で約1.3倍に増加。夫婦のみ世帯に次いで多い状況がある。今後も増加が見込まれており、40年には896万3千世帯に達するという。

 高齢者の単身世帯数に比例して、孤独死も増加傾向にある。国土交通省の「死因別統計データ」によると、18年時点の65歳以上の孤独死は、東京都区部だけで3,867件。13年(2,869件)比較で約1.3倍に増えている。

 孤独死が起きると、大家は賃貸物件の特殊清掃やリフォームが必要となり、その間の家賃減や、賃料下落などを被る。そのため一般的に、大家が単身高齢者への賃貸を避ける傾向があり、単身高齢者世帯が増えていく中で、住宅確保がかなわない高齢者の増加も課題となる。

 両社は、新商品の提供で孤独死の未然防止や早期発見を促し、単身高齢者への賃貸リスクを下げることで、高齢者が住まいを確保しやすい環境構築を目指すという。(記事:三部朗・記事一覧を見る

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