NYの視点:米3月雇用統計、ネガティブサプライズに警戒
2023年4月6日 07:42
*07:42JST NYの視点:米3月雇用統計、ネガティブサプライズに警戒
米労働省が発表する3月雇用統計の市場エコノミスト平均予想で、非農業部門雇用者数は前月比23.5万人の伸びが見込まれている。失業率は3.6%と、前月と同水準を維持する見通し。想定通りとなった場合は、FRBの追加利上げを正当化すると見られる。
雇用統計の先行指標のひとつ民間部門の雇用者数を示すADP雇用統計の3月分は+14.5万件と伸びは予想以上に鈍化した。ADP雇用統計は労働市場が発表する雇用統計の伸びを下回る傾向がある。また、週次失業保険申請件数は依然20万を下回っていることは労働市場のひっ迫の証拠となる。
同時に、労働市場ひっ迫緩和の兆候も目立ち始めた。JOLT求人件数は大幅に減少し、予想外に1000万件を割り込み2021年来で最低となった。また、1人の失業者に対する求人件数は、1.67件で前月の1.86件から減少。2021年11月来で最低となる。ただ、パンデミック前は1.2件だった。前月分は1082.4万件から1056.3万件へ下方修正された。2カ月間で130万件の求人が減ったことになる。コロナの際の減少ペースを上回り過去2番目に速やかなペース。採用も16.4万人減の6163万人と21年5月以降で最低となった。
全米の製造業や非製造業活動を示すISM製造業、非製造業の雇用も労働市場の鈍化の兆候を示唆している。製造業ひおいて、工場の雇用凍結や解雇などが影響したためと、昨年の人員不足による50割れと背景が異なると、Fiore会長は記者団との質疑応答で明らかにし、弱い需要が示されていると指摘。コンファレンスボード消費者信頼感指数での雇用は十分が49.1と、2月51.2、前年同月56.7から50割れに落ち込んだ。不十分は40.6と、前月38.3、前年同月33.7から上昇した。
FRBはあと1回の利上げが必要との見解を依然維持している。3月雇用統計の結果がネガティブサプライズとなった場合は、利上げ据え置きを正当化する可能性がある。
■3月雇用先行指標
ADP:+14.5万件(2月+26.1万件)
ISM製造業雇用:46.9(49.1)2カ月連続50割れ、20年7月来で最低
ISM非製造業雇用:51.3(54)
NY連銀景況指数雇用者数:-10.1(-6.6)
週平均就業時間:-18.5(-12.1)
6カ月予想
雇用者数:+4.1(+1.5)
週平均就業時間:+6.7(+10.1)
フィラデルフィア連銀景況指数雇用:-10.3(5.1)
週平均就業時間:-22.0(-3.2)
6カ月予想
雇用者数:+6.9(+8.1)
週平均就業時間:+7.8(-2.1)
週次失業保険申請件数
03/25/23| 198,000| 7,000| 198,250| n/a |n/a
03/18/23| 191,000| -1,000| 196,250| 1,689,000
03/11/23| 192,000| -20,000| 196,500| 1,685,000
03/04/23| 212,000| 22,000| 197,250| 1,680,000
02/25/23| 190,000| -2,000| 193,000| 1,713,000|
02/18/23| 192,000| -3,000| 191,250| 1,649,000
02/11/23| 195,000| 0| 189,750| 1,660,000
02/04/23| 195,000| 12,000| 189,000| 1,691,000
コンファレンスボード消費者信頼感指数
現在の業況
雇用
十分:49.1(2月51.2、前年同月56.7)
不十分:40.6(38.3、33.7)
困難:10.3(10.5、9.6)
6カ月後
雇用:
増加:15.0(14.5、17.6)
減少:19.9(21.2、18.0)
不変:65.1(64.3、64.4)
所得
増加:14.9(14.4、15.1)
減少:13.6(11.6、13.7)
不変:71.5(74.0、71.2)
■市場予想
・非農業部門雇用者数:予想:+23.5万人、2月:+31.1万人)
・失業率:予想:3.6%、3.6%)
・平均時給:前年比予想:+4.3%、2月:+4.6%)《CS》