米国債デフォルト危機? 繰り返される債務上限問題
2023年3月28日 16:24
●債務上限対応なければデフォルトの危機
ロイター通信によると、超党派の米議会予算局(CBO)は2月、債務上限引き上げの合意がなければ、7~9月のどこかで米国連邦政府の資金が枯渇し、デフォルトに陥ると予想したという。
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共和党は予算削減案を提示しているが、バイデン大統領は拒否している。共和党は医療関連政策の拡充などリベラル色の強い予算が多く盛り込まれている予算教書に反対しており、話は平行線となっている。
SBV破たんなど、不透明な経済状況で、米国債のデフォルトというさらなる混乱へとつながるのだろうか?
●繰り返される債務上限問題
債務上限は、米連邦政府が国債発行で借金できる枠の上限となり、債務が法定上限に達すると政府は議会の承認を得て、引き上げる必要がある。
上限引き上げはこれまでも幾度となく行われてきたが、大統領と議会のそれぞれを、民主党と共和党が支配する“ねじれ”が起きると、まとまらないことが多い。
1960年以降、実に70回以上の債務上限引き上げが行われている。
2011年のオバマ政権時には、議会と政権の交渉が長引き、米国債が格下げされ、株価も下落するということがあった。
債務上限が合意に至らなければ、政府機関は停止される。2013年には連邦政府が管轄するニューヨークの自由の女神が閉鎖されるという事態もあった。
●どこまでの危機になるか?
もしデフォルトとなるなら、7~9月の間と言われているが、具体的にいつになるかは予測できない。
今まで風物詩のように債務上限問題は繰り返されてきており、政争の具という批判もある。デフォルト危機という認識は米国民の間では薄い。
揉めに揉めても最後は決着するという歴史があり、今回もそのケースで収まる可能性もある。
ただし、今回の債務上限問題は金融危機と隣り合わせという特殊な要因がある。
もし2011年のようなことになれば、国債が売られ、長期金利の上昇を招けば、株価の下落は避けられない。
本来なら安全資産の国債の状況に神経質にならざるを得ず、今回は警戒が必要である。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)