インフレ・金利上昇リスク、構造的な変化に備えはあるのか【世界のリスクと上場企業】
2023年3月16日 17:51
*17:51JST インフレ・金利上昇リスク、構造的な変化に備えはあるのか【世界のリスクと上場企業】
昨今、世界的にはインフレ傾向が顕著である。ロシアのウクライナ侵攻で、エネルギーや食料品の供給が低下した影響にも見えるが、物価上昇のスタートはそれ以前でもあり、構造的な問題ともとらえられる。
各国・地域の中央銀行は、遅ればせながら政策金利の引き上げを開始。米連邦準備制度理事会(FRB)は2022年5月から、欧州中央銀行(ECB)は2022年7月から利上げをスタートしている。日本については日銀が2022年末、長期金利操作の許容変動幅を従来のプラスマイナス0.25%から同0.5%に引き上げることを表明し、事実上の利上げに踏み切った。
インフレ期待によって市場価格が形成される長期金利については、米国の10年国債利回りが2022年初頭1.5~2%程度から上昇を開始し、足許では3.5~4%のレンジで推移している。欧州についても同様に、2022年初頭からドイツの10年国債利回りも上昇を始め、マイナス利回りであったものが2%を上回る水準で推移している。日本でも、2022年初頭に0.1~0.2%であった10年国債の利回りが、2022年末に0.4%を上回った。
世界的なインフレ傾向に伴う長期金利の上昇は、債券発行の際に、基準金利として反映される(ベース利回りと、発行体の信用力に応じて上乗せ利回りが足され、出来上がりの社債利回りとなる)。銀行借入であれば、インターバンクの基準金利がその上昇分を反映し、同様に銀行借入の金利(インターバンクの基準金利と上乗せ利回りが足され、出来上がりの借入の金利となる)も上昇する。
このため、フィスコでは、日本の上場企業の中でも、金利上昇に影響を受けやすいであろう企業のリストを作成した。具体的には、直近年度末の有利子負債合計値から、金利が1%上昇した場合に増加する利払いの金額、有利子負債へと単純に掛け合わせて試算し(a)、それを同年度の営業利益(b)で除した割合を並べた。長期金利の上昇は、直ぐに既借入・既発債の利払い・クーポンに反映はされないが、借り換え時には何らかの影響が出てくる可能性がある。企業は事業から発生した利益によって、その有利子負債を返済していくため、この指標には注目しておきたい。
金利上昇の影響が懸念される上場企業トップ30
インフレ・金利上昇リスク、構造的な変化に備えはあるのか【世界のリスクと上場企業】
順位 銘柄コード 社名 決算期 (a)/(b)
1 9022 東海旅客鉄道 202203 846.55%
2 6138 ダイジェット工業 202203 732.67%
3 9536 西部ガスHD 202203 602.60%
4 9008 京王電鉄 202203 507.72%
5 3058 三洋堂ホールディングス 202203 468.30%
6 4355 ロングライフホールディング 202210 431.96%
7 7615 YU-WA Creation Holdings 202203 333.63%
8 9035 第一交通産業 202203 307.42%
9 9041 近鉄グループHD 202203 292.16%
10 2597 ユニカフェ 202112 287.60%
11 8242 エイチ20リテイル 202203 273.53%
12 9519 レノバ 202203 236.95%
13 7097 さくらさくプラス 202207 228.57%
14 9171 栗林商船 202203 218.96%
15 3501 住江織物 202205 205.45%
16 9656 グリーンランドリゾート 202112 200.94%
17 8594 中道リース 202112 170.78%
18 9048 名古屋鉄道 202203 164.56%
19 3260 エスポア 202202 164.06%
20 3461 パルマ 202209 158.65%
21 5952 アマテイ 202203 146.40%
22 9006 京浜急行電鉄 202203 139.51%
23 8601 大和証券グループ本 202203 129.73%
24 8425 みずほリース 202203 127.51%
25 9130 共栄タンカー 202203 126.95%
26 8511 日本証券金融 202203 119.69%
27 6425 ユニバーサル 202112 119.48%
28 9501 東京電力ホールディングス 202203 118.36%
29 1447 TbookHD 202203 118.10%
30 9007 小田急電鉄 202203 112.69%《TY》