相場展望3月15日号 日本株: 外国人の先物売り、止まらず 米FRBは判断迫られる、インフレ抑制か様子見か
2023年3月16日 11:08
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)3/13、NYダウ▲90ドル安、31,819ドル(日経新聞より抜粋)
・米国で銀行の破綻が相次ぎ、金融システムを巡る不安の高まりを背景に銀行株を中心に売られ、昨年10月下旬以来の安値となった。ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)が3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを見送るとの観測が浮上し、相場には一定の支えとなった。
・3/10のシリコンバレーバンク(SVB)に続き、暗号資産(仮想通貨)企業への融資が多いシグネチャーバンクも3/12に経営破綻した。破綻の波が広がることへの警戒感が強く、地銀を中心に売りがかさんだ。NYダウの構成銘柄ではないが、ファーストリパブリックバンクは▲62%安、コメリカは▲28%安と下げがきつかった。NYダウの構成銘柄では金融大手のゴールドマンサックスやJPモルガンチェースが安い。
・市場では「銀行は融資を縮小し、米景気は減速しやすくなる」との声も聞かれた。
・景気悪化への懸念からクレジットカードのアメリカン・エキスプレスや化学のダウの下げも目立った。NYダウの下げ幅は取引時間直後に▲280ドルを超えた。
・売り一巡後は下げ渋り、NYダウの上げ幅は+330ドルに達する場面もあった。
・市場では「状況が落着くまでFRBは利上げを停止するだろう」との声が聞かれた。ゴールドマンサックスやバークレイズは、3月のFOMCで政策金利が据え置かれる可能性を指摘した。
・米利上げの一時休止観測が浮上するなか、米国債に買いが広がった。10年物国債利回りは一時前週末比▲0.29%低い、3.41%と約1ヶ月ぶりに4%を割込む場面があった。相対的な割高感が薄れた高PER(株価収益率)のハイテク株に買いが入りやすく、ソフトウェアのマイクロソフトが+2%高で終えた。スマートフォンのアップルと顧客情報管理のセールスフォースも高い。
・投資家心理を測る指標となる米株の恐怖指数(VIX)は前週末比+7%ほど高い26台半ばで終えた。不安心理が高まった状態とされる20を大きく上回った。
【前回は】相場展望3月13日号 日本株: 米国株に対し強い相場も、難問山積・過熱感 米国株: SVB銀行問題で、金融危機へと波及?注目
2)3/14、NYダウ+336ドル高、32,155ドル(日経新聞より抜粋)
・シリコンバレーバンク(SVB)など米銀の破綻をきっかけに売り込まれた金融株の一角は急反発し、投資家心理の支えとなった。NYダウは前日までの5営業日で▲1,600ドル余り下げていたため、目先の戻りを見込んだ買いも入り、NYダウの上げ幅は一時+480ドルを超えた。金融システムを巡る不透明感が重荷となり、このところ下げがきつかった金融株が上昇した。「破綻が回避されるなら売られ過ぎ」とみた買いが入り、一部のヘッジファンドの銀行株買いが伝わったのも好感された。
・NYダウの構成銘柄ではないが、ファーストリパブリックバンクは+27%高、ネット証券のチャールズシュワブは+9%高となった。銀行株の株価指数、KBWナスダック銀行株指数は+3%上昇した。
・朝方発表の2月消費者物価指数(CPI)はエネルギー・食品を除くコア指数が前年同月比+0.5%上昇と、市場予想+0.4%を小幅に上回ったが、前年同月比では+5.5%上昇と同じだった。インフレ加速への過度な警戒が和らいだのも株買いを後押しした。
・ただ、買い一巡後は上げ幅を縮める展開だった。米格付け会社のムーディーズは3/13、米国の銀行システム全体の格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更した。米国の金融システムに対する不安感は根強く、相場の重荷となった。
・顧客情報管理のセールスフォース、半導体のインテル、クレジットカードのアメックスの上げが目立った。電気自動車のテスラ、半導体のエヌビディアが上げた。追加の人員削減計画を発表した交流サイトのメタは+7%高で終えた。一方、バイオ製薬のアムジェンやドラッグストアのウォルグリーンなどディフェンシブ株が下げた。
3)3/15、NYダウ▲280ドル安、31,874ドル(日経新聞より抜粋)
・欧州市場で3/15、スイスの金融大手クレディ・スイスの経営不安から欧州株市場が大幅安となり、米株市場にも売りが及んだ。金融システムの不安定化が景気を冷やすリスクが警戒され、金融株を含む景気敏感株が下げた。
・経営不振が続くクレディ・スイスを巡り、筆頭株主のサウジ・ナショナル・バンクの会長が「追加の出資要請には応じない」と述べたと伝わった。シリコンバレーバンク(SVB)など米銀の経営破綻が相次ぐなか、金融システムが一段と不安定になるとの懸念が高まった。金融株は軒並み売られ、NYダウ構成銘柄ではJPモルガンチェースが▲5%安、ゴールドマンサックスが▲3%安で終えた。
・金融システム不安が米景気の減速につながるとの懸念から、航空機のボーイングや化学のダウなど景気敏感株も売られた。市場では、銀行が流動性を確保するために貸出に慎重になり、企業活動が冷え込むとの見方がある。
・NYダウの下げ幅は一時▲720ドルに達したが、売り一巡後は下げ幅を縮小した。相対的に安全資産とされる米国債に資金が集まり、米長期金利が一時3.3%台と前日終値3.69%から大幅に低下。割高感が薄れた高PER(株価収益率)のハイテク株には押し目買いが入りやすく、ネット検索のアルファベットや交流サイトのメタ、ソフトウェアのマイクロソフトも上昇した。製薬のアムジェンなどディフェンシブ株も買われ、相場を下支えした。
・取引終了間際には、スイス国立銀行(中央銀行)が「クレディ・スイスは必要な資本と流動性を満たしているが、必要なら流動性を供給する」との声明を発表した。これを受けて、NYダウはさらに下げ渋った。
●2.米国株:米地銀の経営破綻で米金融システムにヒビが入る、SVBは「炭鉱のカナリヤ」
米FRBは金融システムを保護も、インフレ退治のため利上げ継続
1)米FRBは判断を迫られる、インフレ退治か?金融安定化で様子見か?
・銀行破綻が相次ぐ
シリコンバレー銀行(SVB) ハイテクやヘルスケア関連の新興企業との取引。2年間で預金額を3倍超に伸ばし、債券投資してきた。
シルバーゲート・キャピタル 暗号資産(仮想通貨)などを扱うが会社清算発表。
シグネチャー銀行 暗号資産(仮想通貨)を扱う企業と取引。
・FRBはFOMC(次回開催3/23~24)で、利上げ+0.5%どころか+0.25%か?はたまた、利上げ休止か? 判断を求められる。
2)SVB破綻は米国債投資の失敗が原因
・SVBは債券投資による運営のため高金利で預金を集めた。しかし、FRBの金利引上げで、債券価格が下落し、含みの債券損失が発生。
・預金者はリスク回避で預金の取付けが集中。
・SVBは預金返還資金を捻出するため、債券を売却し、債券損失が実現損で表面化。
・自己責任である。
・FRBは昨年3月からインフレ退治のため利上げを行なっており、金利上昇から債券価格が下落し、債券投資の損失が出るのは明らかであった。その金利上昇下で債券価格下落するのが目に見えているのに、高金利で預金を集め運用リスクの高い債券投資にのめり込んだのがSVBである。
・SVBは「債券投資の含み損」処理の代表事例の「炭鉱のカナリヤ」になった感がある。
3)米国金利上昇で、米国債券の投資家は「膨大な債券含み損」を抱えている可能性が高い。
・日本政府はじめ日本の保険・銀行・年金基金などは巨額の米国債を保有・運用する。今後、この「債券の含み損」ショックが表面化するリスクがある。同様に、欧州でも金利引上げをしており、「債券の含み損」が膨らんでいるだろう。
・スウェーデン最大の年金運用機関アレクタは、破綻した3行に対して21億ドル(約2,820億円)の株式投資をしたが、「間違いだった」と表明している。
4)バイデン大統領やイエレン財務長官、FRBが破綻銀行から不透明感が波及して金融危機に陥らないように全預金の保護を発表した。
5)しかし、クレディ・スイスの財務悪化が追い打ちをかけた。
・FRBは新型コロナからの回復のため、5兆ドルもの資金を市場に供給をした。この過剰流動性のおかげで、景気回復はできたが、市場の意識は「過剰流動性が常態」となってしまった。
・FRBは、正常化に向かったが、▲1兆ドルしか市場から資金回収できていない。また、FRBはインフレ退治のため「金利引上げ」をした。これで、「金利上昇⇒債券価格下落」を引き起こした。
6)米FRBの金融政策に新しい局面が追加
・米国経済
・物価状況
・信用不安といった金融局面
7)米FRBは、金融セクターにこれ以上の動揺を与えず、依然として高いインフレを落着かせるために、難しい舵取りを迫られる。
8)FRBは3月FOMCで利上げ「どうする!」
・パウエルFRB議長は最近の発言で3月0.50%の利上げ可能性を示唆した。ところが、銀行の経営破綻が相次ぎ、金融システムに動揺が走り、市場では3月利上げ0%の停止もしくは利下げの声まで出てきた。
・バイデン大統領はじめ金融当局の「預金保護」宣言で、市場は落着きつつある。その結果、2月消費者物価指数、特にコアCPIの予想を上回る伸び率から3月の0.25%利上げ予想し、国債利回りもそれを織込むように上昇に転換している。
・市場の利上げの読みの変遷
3月FOMC 0.50%利上げ ⇒ 利上げ停止・利下げ ⇒ 0.25%利上げ
9)2銀行の経営破綻を背景に、リスク資金が比較的安全な債券市場に流れ込んだため、国債利回りは急低下した。
・だが、バイデン大統領の発言や金融当局の素早い「預金保護」宣言で、金融市場は落着をみせた。結果、3/14は、米株式市場は株価大幅上昇となり、金利は上げに転じた。
・ところが、3/15にクレディ・スイスの経営不安が浮上し、株式は売られ・債券に資金流入して「国債金利は低下」した。
3/1 3/10 3/13 3/14 3/15
2年債利回り 4.876% 4.586 3.976 4.250 3.892
10年債利回り 3.993% 3.699 3.573 3.689 3.420
●3.米無人偵察機、ロシア戦闘機と黒海上空の国際空域で衝突し墜落(ロイター)
●4.米2月消費者物価指数(CPI)の総合は前年比+6.0%上昇、前月+6.4%を下回り、8カ月連続で縮小した。(フィスコ)
1)総合CPIの伸び率は鈍化したが、原油価格・自動車価格の低下が要因である。
2)変動の大きい食品やエネルギーを除いたコア物価指数は前年比5.5%上昇、特に住居費が前年比+8%と大きな伸びを示した。コアCPIは前月比+0.5%と予想+0.4%から上回り、インフレ圧力の強さを意識させた。コアCPIの予想を上回る上昇を受け、FOMCに利上げ圧力が掛る。
●5.格付け会社ムーディーズ、米銀見通し「ネガティブ」、SVB破綻でリスク高まる(ロイター)
●6.米格付け会社S&P、ファースト・リパブリックをジャンクに格下げ、預金流出懸念(ブルームバーグ)
●7.バイデン大統領、SVB破綻を受け、銀行規制の強化を目指すと表明(ブルームバーグ)
1)米大統領が緊急会見、「銀行システムは安全」、シリコンバレー銀行破綻(FNN)
●8.米金利引上げは一時停止、ゴールドマンのアナリストが予想(Forbes Japan)
●9.米NY州のシグニチャーバンク銀行も経営破綻(共同通信)
1)米連邦預金保険公社(FDIC)の管理下に入る。預金は全額保護される。
2)仮想通貨業界に新たな打撃(ブルームバーグ)
●10.米財務省3/12、破綻のシリコンバレー銀行(SVB)の預金者を保護すると発表(共同通信)
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)3/13、上海総合+38高、3,268(亜州リサーチより抜粋)
・政策期待が投資家心理を上向かせる流れとなった。
・全国人民代表大会(全人代)が3/13に閉幕し、習近平・国家主席は「『強国建設』を推し進めていく」などと演説した。中国の新首相に就任した李強氏は、閉幕直後に初の記者会見に臨み、「民営経済」の発展環境は一段と改善し、成長余地はさらに拡大していくとの見方を示した。
・指標改善もプラス。中国人民銀行(中央銀行)が3/10に発表した今年2月の金融統計では、国内金融機関の新規融資が市場予想を上回った。マネーサプライ(通貨供給量)M2の伸び率も上振れし、およそ7年ぶりの高い増加率に加速した。中国景気の持ち直しも意識された。
・業種別では、「デジタル中国」戦略で恩恵のある通信ネットワーク関連の上げが目立つ。ゼネコンも高く、エネルギーもしっかり。半面、自動車は冴えない。
2)3/14、上海総合▲23安、3,245(亜州リサーチより抜粋)
・外部環境の不透明感が嫌気される流れとなった。
・米地銀の破綻が相次ぐなか、昨夜の米株市場では銀行株の売りが継続した。金融危機(リーマンショック)以降で最大規模の経営破綻とあって、世界的に金融システム不安が広がっている。
・また、中国で3/15に今年1~2月の各種経済統計(小売売上高や鉱工業生産など)がまとめて公表されることも気懸かり材料となった。内容を見極めたいとするスタンスが買い控えにつながっている。もっとも、下値を叩くような売りはみられない。
・全国人民代表大会(全人代)が前日に閉幕し、経済重視のスタンスが確認されたことはプラスだ。「国策銘柄」を物色する動きは続いている。
・業種別では、エネルギー関連の下げが目立ち、金融も冴えず、消費関連などが下落。半面、半導体や通信・ネットワークなど「デジタル中国」戦略で恩恵のある銘柄群はしっかり。
3)3/15、上海総合+18高、3,263(亜州リサーチより抜粋)
・中国経済統計の内容が好感される流れとなった。
・1~2月の各種経済統計は、小売売上高がプラス成長を回復するなど概ね良好な内容だった。市場では中国経済が持ち直したと分析した。
・米インフレの鈍化傾向、為替市場の人民元高も買い安心感につながり、指数は徐々に上げ幅を広げた。
・業種別では、インフラ建設関連の上げが目立ち、不動産も高く、金融もしっかり。半面、このところ物色されていた通信・ネットワーク関連の一角は冴えない。
●2.中国経済、今年成長率目標5%前後の達成は容易ではない=李強首相(ロイター)
●3.習氏、台湾統一に決意、全人代閉幕(時事通信)
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)3/13、日経平均▲311円安、27,832円(日経新聞より抜粋)
・シリコンバレー銀行(SVB)など米銀の経営破綻を受けて、投資家リスクの回避姿勢が強まるなか、日本株も売りが優勢となり、値嵩株や銀行株など幅広い銘柄が下落し、6営業日ぶりに終値で節目の28,000円を下回った。
・相対的に安全とされる米国債が買われた(金利は低下)流れで日米金利差の縮小を意識した円高・ドル安に傾いたことで、トヨタをはじめ自動車株にも売りが広がり、日経平均の下げは▲500円を超す場面もあった。米連邦準備制度理事会(FRB)の引締めの余波が他の銀行や、貸出を受ける企業側にも広がるという懸念も意識された。
・午前の東証株価指数(TOPIX)の前週末比の下落率が▲2%を超え、午後には日銀による上場投資信託(ETF)買いへの思惑が相場の下値を支えた。商船三井など海運株は上昇し、日経平均は大引けに掛けて下げ幅を縮小した。
・一連の米銀破綻を受けたFRBの金融政策への影響などを見極めたいと冷静な見方もあり、リスク回避一辺倒とはならなかった。
・ファナック・第一三共・ホンダ・TDKが下落。一方、エムスリー・JR東海・花王・イオンが上昇し、ファストリは小幅高で終えた。
2)3/14、日経平均▲610円安、27,222円(日経新聞より抜粋)
・米銀行の相次ぐ破綻を受け、世界の金融システムに混乱が波及するとの警戒から、リスク回避の売りが金融株を中心に膨らみ、下げ幅は2022年12月20日以来の大きさとなった。
・3/10に経営破綻したシリコンバレーバンク(SVB)に続き、3/12にはシグネチャーバンクも破綻した。3/13の米株式市場では破綻の波が広がる可能性を警戒し、地銀を中心に銀行株が引続き急落した。東京市場でも銀行や保険・証券株が大幅に下落し、日経平均の下げ幅は午前には▲700円を超える場面もあった。
・国内では、日本郵政が3/13に傘下のゆちょ銀行の売出し価格を決定した。1兆円を超える大型売出しを前に保有株を売却し、売出し株を取得するための換金売りが出たとの観測も相場の重荷となった。
・日経平均は3営業日で約▲1,400円下落した。チャート上で下値メドとみられていた200日移動平均(27,353円近辺)を下回り、下げが加速した面もあった。TOPIXも3日続落し、下落率▲2.67%で終えたが、2022年9月22日以来の大きさ。
・三菱UFJ・三井住友FGなど銀行株の下落が目立ち、りそなは▲9%安・ふくおかFG・第一生命・東京海上・トヨタも売られた。一方、JR東日本など鉄道株・エーザイが上昇。
3)3/15、日経平均+7円高、27,229円(日経新聞より抜粋)
・前日の米国株高を受けて、朝方から買いが先行し、上げ幅は一時200円を超えた。前日まで大きく下げていたため、自律反発狙いの買いも入った。もっとも、買い一巡後は戻り待ちの売りに押され、大引け前には▲100円超安まで下げる場面もあった。
・前日の米株式市場の反発で、米銀破綻を背景とした投資家のリスク回避姿勢は一先ず和らいだ。東証プライム市場では全体の8割の銘柄が上昇した。前日まで大きく売られていた銀行株や保険株の上げが目立った。
・もっとも、買い一巡後の上値は重かった。日経平均株価は前日まで3営業日で▲1,400円ほど下落しており、上値では戻り待ちの売りが出やすかった。日経平均寄与度の高いファストリとソフトバンクGは下落し、2銘柄で日経平均を▲64円ほど押し下げた。
・神戸鋼・三井化学・コニカミノルタ・積水ハウスは上昇。半面、京王・京成・JR東日本・ZHDは下落した。
●2.日本株:日経平均はまだ高値圏にあり、米銀破綻の警戒売りが続く
1)砂上の楼閣のように、砂の上に築かれた日経平均は高値水準に位置していた。
・日経平均株価は、日銀に買い支えられてきた歴史がある。
・日銀は、ETF(上場投資信託)による50兆円を超える買いで、日経平均株価の上昇を牽引してきた。
・さらに日銀は、日経平均やTOPIXが前場終値時点で「急落」と判断したら、後場に「ETF買い」を入れ相場の下落を止めてきた。今週も3/13、14と2日間で1,402億円もETF買いをして相場を下支えした。
2)日本株の守護神である黒田・日銀総裁が4/8に退任し、次期総裁に交替する
・日銀は「異次元の超緩和策」の修正を求められている。
・外国人投資家からは「日本国債」を売り浴びせられ。
・米FRBの金利引上げで日米金利差が拡大し、「円安」に誘導された。
・世界の主要先進国が「金融引締め」に動くなかで、日本が唯一の「金融緩和継続」で「低金利」を維持している。この「ギャップ」を突いた世界の金融機関から日本は狙い撃ちにされている。
・植田・次期総裁の手腕に期待したい。
3)外国人による先物の売越しは止まらない。
・3/1から、外国人の先物の売越しは「10日」に対して、買越しはわずか「1日」である。
・昨年夏の日経平均上昇の牽引役バークレー証券は、一貫して売り継続をしている。
4)「金融正常化」に伴う痛みに耐えるしかない
・世界の金融界は、銀行破綻で金融システムが傷を負った。その主原因は、「超金融緩和が産んだ過剰流動性に起因」している。米欧の中央銀行は「インフレの高騰」を招いたため、金融正常化として「金融引締め」を昨年から始動させた。結果、金利上昇に伴って「債券価格が下落して、債券の含み損」が発生する事態となった。
・過剰流動性効果で人気沸騰した暗号資産(仮想通貨)だが、中央銀行による金融正常化で、暗号資産に暗雲をもたらした。暗号資産は「金(ゴールド)」のような「資産価値を裏付けるものがない」。結局、安全性に欠ける暗号資産は、過剰流動性の「あだ花」であったのかもしれない。
・「金融正常化」は、過剰流動性が産んだ「負」をも浄化すると思われる。その結果として、米地銀の経営破綻が相次いだとみる。
5)銀行など金融株は要注目
・金利上昇で銀行は「利益を上げられる」構図である。
・しかし、銀行は企業への貸出額よりも、預金が多い状態である。その余剰資金を資金運用として「債券投資」を行なっている。その債券が金利上昇となると、債券価格は下落し、「債券の含み損」を抱える。
・債券を多く保有する金融機関の健全性問題に発展する可能性が出てくる。
・さらに、金融引締めで、景気後退が引き起こされ、企業淘汰が始まる可能性がある。そうなると、金融機関は「貸倒れリスク」が高まり、銀行経営の負担となる。
・保険会社も「債券投資」を行なっている。
・したがって、銀行・保険業種への株式投資は慎重さが求められるとみる。
●3.政府、小麦を4月から+5.8%値上げ(テレ朝)
●4.企業動向
1)三菱電機 パワー半導体の生産拡大、熊本県内に新工場建設へ(NHK)
2)ハウス食品 205品目を6/1から15%値上げ(TBS)
■IV.注目銘柄(投資は、ご自身の責任でお願いします)
・4384 ラクスル 黒字転換。
・6095 メドピア 業績好調。
・8439 東京センチュリー 航空機需要回復期待。
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