エピペン、宇宙空間では有毒化
2023年3月13日 17:09
アナフィラキシーショックの特効薬とされるエピペンが、宇宙空間で有毒物質に変化してしまう可能性があることが判明したそうだ。この発見はカナダのSt. Brother André Elementary小学校のギフテッド学習者プログラム (PGL) に所属する生徒たちによるもの(About us、GIGAZINE)。 生徒たちは、緊急時に重度のアレルギー反応を治療するために使用されるエピペンに含まれる、エピネフリンの分子構造に対する宇宙線の影響に興味を持っていたという。生徒たちはそれをテーマにエピペンを宇宙空間まで飛ばして分子構造の変化を調べる実験を計画し、NASAの国際プロジェクト・Cubes in Spaceに応募した。この実験は採択されエピネフリンとエピペンの溶液はこの小さなキューブに入れられ、ロケットと高高度気球に載せて宇宙空間まで運ばれた後、地球に帰還した。 こうして帰ってきた溶液を調べた結果、宇宙に送られたエピネフリンは純度が87%に低下し、残る13%は有毒性のある安息香酸誘導体に変化していったことが判明したという。学生たちの研究は、宇宙放射線がエピネフリンに及ぼす影響や宇宙飛行時に起きる宇宙飛行士の安全に対する問題の提起につながる可能性もある。