いすゞ、小型トラックのベストセラー「エルフ」を全面刷新 EVトラックをラインアップ
2023年3月12日 16:46
いすゞ自動車は、小型トラック「エルフ」シリーズをフルモデルチェンジしたと発表した。新型シリーズは同社初の量産BEV「エルフEV」など多彩なモデルを市場投入する。
加えて、中型トラック「フォワード」シリーズもモデルチェンジ。高度化・複雑化する物流業界の課題に対応するため、内外装の全面刷新に加え、各種快適装備・ 安全支援機能の充実を図り、今夏発売を予定する。
エルフ新型のエクステリアは、商用車らしいボクシーで堅牢なイメージを踏襲しつつ、フロントフェイスで躍動感や先進性を表現。インテリアは親しみやすさと軽快感を表現し、長く使う道具としてのタフさや褪せないデザインとした。
標準キャブは、ドライバーの上方・前方・側方のクリアランスを大幅に拡大し、小型貨物キャブオーバートラックでもっともゆとりあるキャビンを実現。ドア開口部の拡大と上下2方向からアクセス可能なセミグリップ式ドアハンドルを採用し、乗降性を向上させた。
また、ステアリングホイールの小径化やシートの材質・表皮縫製・スライドピッチの変更、ペダル位置の最適化など、ドライバーが触れる機能を徹底的に見直し、最適なドライビングポジションを追求した。さらに、アームレストやシートヒーターを採用し、ドライバーの運転環境改善を図った。
エルフ新型の注目すべきニュースは、世界中の多様なニーズにも対応するBEV「エルフEV」が加わったことだ。標準キャブのGVW(車両総重量)3.5トン未満車からワイドキャブのGVW7.5トン車まで幅広いラインアップを実現し。同時に操作系などをディーゼル車と可能な限り共通化し、これまでディーゼル車に対応していた多彩な架装に対応、利便性を損なうことなくBEVを導入できる。
エルフEVは、コンパクトな高電圧バッテリーパック(20kWh)を、車両の用途に応じて2パック(40kWh)から最大5パック(100kWh)搭載するモジュール方式を採用した。
いすゞでは、商用BEVの導入検討サポート、導入課題の解決、カーボンニュートラルの実現に向けたプログラム「EVision」を提供する計画だ。2024年度には、荷室への移動が可能なウォークスルーバン「エルフEV アーバントランスポーター」を展開する。
新型エルフ全般に、AT免許で運転可能な9速DCT「ISIM(Isuzu Smooth Intelligent Trans Mission)」を新開発。燃費特性に優れる4JZ1エンジンに組み合わせた。ISIMは9速に多段化したことで、エンジン回転数の上昇を抑え、デュアルクラッチ構造による素早いシフトチェンジで、変速時のトルク抜けやシフトショックを低減。トラックのイメージを塗り替えるドライブフィーリングを実現した。
安全支援機能も充実している。装着が義務化されている機能を中心に構成している「ベーシック」をベースに、都市内配送で有効な機能を加えた「スタンダード」、自動車専用道での走行時に有効かつ利便性の高い装置を含む「アドバンス」、操舵制御まで行なう「プレミアム」の全4種のパックオプションで設定し、ニーズに合わせて選ぶことができる。
また、自動作動機能付き電動パーキングブレーキを標準設定し、パーキングブレーキのかけ忘れや引き不足による自走事故を防止。その他、タイヤ空気圧モニタリングシステムをオプション設定する。
新型エルフの希望小売価格は、標準キャブ2WD 2トン積、標準ホイールベース、木製平ボディ、SGグレード、ADASパックプレミアム、3.0リットルディーゼルエンジン(4JZ1-TCS)+9速AMTの場合、648.12万円だ。いすゞでは年間販売台数として国内4万台を掲げる。(編集担当:吉田恒)