過去なのに現在形? 英語で過去の出来事を現在形で表すケース

2023年3月12日 08:05

 現在形、過去形、未来形といった英語の時制は、文字通り現在、過去、未来の出来事について述べる際に使われる。「説明するまでもない」と言いたいところだが、実は、英語には過去の出来事について述べるのに現在形を用いる例がいくつかあるのを知っているだろうか。

【こちらも】英語の現在完了 実は会話では使わない?

■スポーツ実況

 スポーツ実況では、すでに過去となった行為に関しても現在形で伝えるのが一般的だ。

 英語でサッカーの試合を見ていると、実況者が過去形を使わないことに気づくだろう。たとえば、Johnsonという選手がWilliamsという選手にパスを出し、Williams選手がシュートを決めたとしよう。この場合、実況は「Johnson passes it to Williams. Williams shoots. Williams scores!」と現在形で伝える。

 実際に実況者が話す時点では、パスやシュートが放たれたのはすでに過去の出来事となっている。しかし、だからといって「passed」、「shot」、「scored」と過去形は使わない。あくまで現在目の前で起こっていることとして、現在形で伝えるのだ。

■ニュースのヘッドライン

 これはよく知られていることだが、新聞やニュースなどのヘッドライン(見出し)は過去の出来事にも現在形を使う。

 そもそもニュースのヘッドラインは主語と述語がそろった完全な文章ではなく、be動詞や冠詞を省略したり名詞ばかり並べたりするのが一般的だ。だから、昨日の事件が現在形で表されていてもさほど違和感はないだろう。

・Man Saves Dog from River
・Pop Star Dies at 30.
・Tiger Escapes from Zoo.

 上記のように、一般的な文章ではおかしいと感じる形もニュースのヘッドラインでは問題ない。時制に関しては、過去形だと「終わってしまったこと」というニュアンスが強く、臨場感が薄れてしまうから現在形を使うのではないだろうか。

■anecdote

 「anecdote」は辞書では「逸話」とあるが、要は、誰かに起こった興味深いエピソードと捉えればよいだろう。「anecdote」を話すときも、それが過去のことであれ現在形を用いる。

 たとえば、「I walk to his house and knock on his door. But he is not there. Then suddenly someone taps me on the shoulder and…」のように、語られている内容はすべて過去の出来事だが、現在形を使うことで臨場感をもって伝えることができる。

 なお、「anecdote」を話すとき、ネイティブスピーカーのなかには主語「I」の動詞に三単現の「s」をつけて話す人がいる。「I go」ではなく「I goes」などと話すのだが、非常にインフォーマルだし文法的にも明らかに誤りだ。

 英語学習者が真似するべきではないが、いざ出会ったときに面食らわないようこういう話し方もあることは知っておいていいだろう。(記事:ムロタニハヤト・記事一覧を見る

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