ネット民のEV議論に情報提供 その5 #EV車の問題点 経験不足なメーカー 途上国も忘れるな
2023年3月2日 08:22
●自動車造りの経験不足メーカーが多い
2022年2月9日付「自動車を国産技術で生産できる国」でも述べたが、 世界中で、自国の技術だけで「自動車」(ガソリンエンジン搭載の純粋な車。現状ではEV車は“自動車”とはカウントできない)を生産できるのは、米国、ドイツ、日本だけだと言われる。
【前回は】ネット民のEV議論に情報提供 その4 #EV車の問題点 廃バッテリーの環境負荷 タイヤ負荷
イギリス、イタリヤ、フランスも、一部部品に外国に頼る部分があるので「純国産」に届かないが、「準国産」としての「まともな自動車の生産が可能な国」である。
内燃機関車を製造するには、構成部品を供給するだけの優れた工業力を備えた「裾野」が必要だ。
●安物クオーツ腕時計とは違う
「電動モーター」と「車載電池」を手に入れれば「自動車」が出来る訳では無いにも拘わらず、安易に「自動車」を造ろうとするから無理が生じる。
街で見かけるブランド不明の、安物クオーツ腕時計は、「日本製クオーツ・ムーブメント」を利用して、ガワだけを造るから、正確な時間を示してくれ、「時計」としては成立する。
しかしEV車の場合は、まともな「電動モーター」と「車載電池」を入手しても、「自動車」にはならない。
新興EV車大手が、50年も昔ならいざ知らず、走行中に「フロント・ボンネットフード」が突然開いて、前方視界が失われる欠陥のリコールを起こすなんて、「自動車メーカー」の仲間に加わる資格は無いのだ。
車両の空力や、ボディ剛性について初歩から学ぶべきだろう。まして、自宅の倉庫で組み立てた様なシロモノに、命を乗せて移動するなんて考えられない。
ゴルフ場構内しか走行しない「ゴルフカート」も、幾多の経験を蓄積した企業で無ければまともな物が造れないのに、市街地や高速道路を自由に走行する「自動車」が未経験で造れるはずが無い。
●現状でのEV車の評価
戸建て住宅を保有して自家充電が可能で、長距離の旅行等には、その用途に耐えうる「自動車(内燃機関車、ハイブリッド車等)」を別途保有できる家庭以外には、EV車のみを保有して、車としての全ての役割を果たさせるのは難しい。
住居にしても、建売り住宅のカーポートの様な狭小な駐車スペースでは無く、充電装置が設置できて、車体と繋ぐ結構太いコードの取り回しが可能な程度のスペースは必須である(写真参考)。
100%電池で走るEV車は、一定範囲内の移動のみを担うトラックや、域内のみで稼働するバスの類と、近所への買い物が主要用途で無ければ、未だ「自動車」に取って代わる事は無理だろう。
●忘れてはならない開発途上国
2020年8月24日付「未来のクルマ社会はどうなる 開発途上国」でも述べたが、途上国では、家庭用電力すらまともに供給できていない国々が存在する。そんな地域であっても、ガソリンや軽油はドラム缶に入れて保存できる。
EV車なら太陽光発電で給電できると屁理屈を言う人もいるが、出先で電欠したら帰って来られない。
反政府ゲリラが内燃機関搭載車、その中でもランドクルーザーを使うのは、耐久性が他社の追随を許さないからであると同時に、いろいろな場所に燃料を隠してストックできるからだ。
反政府ゲリラがテスラ・サイバートラックを使う様になったら、筆者はEV車批判を一切止める。
途上国に対して、電子化を敢えてせず、昔の「街のモータース店」レベルで修理が可能なランドクルーザーを供給している事実がある。
また日本ではスクラップになるレベルの中古車(勿論、ガソリン車かディーゼル車)が、途上国では現役で活躍している事実から目をそらせてはならない。
生命維持に必要な水すら満足に得られない途上国にとっては、「脱炭素」なんて異星人の価値観と変わりないだろう。内燃機関搭載車が地上から無くなる事は、未来永劫無いと断言できる。
EV車にはまだまだ問題点が多数ある。「 #EV車の問題点 」は一旦これまでとするが、新たな問題提起項目があれば、機会を改めてお伝えしたい。(記事:沢ハジメ・記事一覧を見る)