アイリッジは23年3月期予想下方修正だが24年3月期収益拡大期待

2023年2月13日 10:48

(決算速報)  アイリッジ<3917>(東証グロース)は2月10日の取引時間終了後に23年3月期第3四半期累計連結業績を発表した。減収減益だった。デジタル地域通貨プラットフォーム事業の収益が本格化してきたが、リアルプロモーション関連がコロナ禍の影響を受けて想定を下回った。そして通期予想を下方修正した。デジタルマーケティング関連において人材採用による開発体制強化が想定まで進んでおらず、新規開発案件受注や開発進捗の遅延が発生したことも影響する。ただしFANSHIP導入アプリのMAU増加に伴ってストック型収益が拡大基調である。さらにデジタル地域通貨MoneyEasy新規導入によるライセンス収益も本格化してきた。積極的な事業展開で24年3月期の収益拡大を期待したい。株価は上値が重く小幅レンジでモミ合う形だ。下方修正に対するネガティブ反応は限定的だろう。調整一巡して出直りを期待したい。

■23年3月期3Q累計減益、通期予想を下方修正

 23年3月期第3四半期累計の連結業績は売上高が前年同期比6.9%減の36億89百万円、営業利益が54.0%減の92百万円、経常利益が51.0%減の98百万円、親会社株主帰属四半期純利益が60.9%減の49百万円だった。

 新規事業領域(子会社フィノバレーのデジタル地域通貨プラットフォーム事業)が本格化してきたが、OMO領域オフラインマーケティング(子会社Qoilのリアルプロモーション)関連がコロナ禍の影響を受けて想定を下回り減収だった。

 OMO領域オンラインマーケティング(デジタルマーケティング)関連の単体ベース売上高は2.9%増の23億86百万円だった。スマホアプリ開発を中心に高水準の引き合いが継続し、ストック型収益も伸長したが、開発体制強化が想定まで進んでいないため小幅増収にとどまった。

 OMO領域オフラインマーケティング(リアルマーケティング)関連の子会社Qoil+デジタル地域通貨関連の子会社フィノバレーの売上高(連結数値から単体数値を減じて算出、連結修正含む)は20.8%減の13億03百万円だった。フィノバレーはデジタル地域通貨プラットフォームMoneyEasy新規導入によるライセンス収益増加で大幅増収だったが、Qoilはコロナ禍の影響で新規顧客獲得が遅れて減収だった。

 なお、第3四半期のFANSHIP導入アプリのMAU(FANSHIP導入アプリを月に1回以上起動しているユーザー数、四半期平均)は27.0%増の8676万ユーザーとなった。ストック型収益(月額報酬・ライセンス等、3カ月以上の準委任契約)はFANSHIP導入アプリのMAUの増加、MoneyEasy新規導入によるライセンス収益増加により、74.5%増の7億77百万円となり、ストック収益比率は23.1ポイント上昇して51.9%となった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が10億27百万円で営業利益が45百万円の赤字、第2四半期は売上高が11億63百万円で営業利益が18百万円の黒字、第3四半期は売上高が14億97百万円で営業利益が1億19百万円の黒字だった。ストック型収益は第1四半期が4億57百万円、第2四半期が4億86百万円、第3四半期が7億77百万円、ストック型収益比率は第1四半期が44.5%、第2四半期が41.9%、第3四半期が51.9%だった。FANSHIP導入アプリのMAU増加に伴ってストック型収益が拡大基調であり、第3四半期はMoneyEasy新規導入によるライセンス収益増加も寄与した。

 通期の連結業績予想(先行投資などで営業外損益等の合理的な見積もりが困難なため経常利益と親会社株主帰属当期純利益は非開示)は、2月10日付で下方修正して売上高が22年3月期比0.1%増の54億30百万円、営業利益が41.5%減の2億円としている。

 前回予想(レンジ予想で売上高63億円~68億円、営業利益3億75百万円~4億75百万円)に対して、売上高と営業利益を下振れる見込みとした。OMO領域オフラインマーケティング(リアルプロモーション)関連においてコロナ禍の影響が継続し、OMO領域オンラインマーケティング(デジタルマーケティング)関連において人材採用による開発体制強化が想定まで進んでおらず、新規開発案件受注や開発進捗の遅延が発生したことも影響する。

 23年3月期は下方修正の形となったが、FANSHIP導入アプリのMAU増加に伴ってストック型収益が拡大基調である。さらにデジタル地域通貨MoneyEasy新規導入によるライセンス収益も本格化してきた。積極的な事業展開で24年3月期の収益拡大を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は上値が重く小幅レンジでモミ合う形だ。下方修正に対するネガティブ反応は限定的だろう。調整一巡して出直りを期待したい。2月10日の終値は735円、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS471円41銭で算出)は約1.6倍、そして時価総額は約52億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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