ブリヂストンと出光、超小型EVに空気充填不要のタイヤ装着 実証実験へ

2023年2月10日 16:47

 ブリヂストンと出光興産は8日、超小型EVに、空気を使わないタイヤ技術「エアフリーコンセプト」を用いたタイヤを装着し、実用化に向けた実証実験を開始すると発表した。実証実験は、2023年2月から実施予定。出光興産の千葉事業所で、構内移動用の超小型EVに装着して行うという。

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 エアフリーコンセプトは、車輪の軸と輪を放射状につなぐスポーク部分が特殊形状の樹脂で形成されており、樹脂スポークを変形させることで荷重を支え、衝撃を吸収する。空気を入れる必要がないためメンテナンスの手間を省くことができ、パンクの心配も不要だ。

 ブリヂストンが11年にタイヤ技術として開発し、17年には同技術を用いた自転車用のタイヤも手がけている。樹脂スポークはリサイクルでき、路面に接するゴム部分は取換え可能。サーキュラーエコノミーも意識した製品となっている。

 今回の実証実験は、出光興産が開発を手がけている超小型EVに、エアフリーコンセプトを用いたタイヤを装着して行う予定だ。

 出光興産は21年2月、自動車関連事業などを展開するタジマモーターコーポレーションと、超小型EVなどのモビリティ事業を行う「出光タジマEV」を設立。タジマモーターの関連会社でEV事業を担っていたタジマEVに出光興産が出資を行い、タジマモーターとの共同出資となっている。

 出光タジマEVは現在、国土交通省が定めた、軽自動車よりコンパクトで小回りが利く地域移動の足という「超小型モビリティ」の規格をベースに、開発を進めている。開発予定の車両は、長さ約2.5メートル・幅約1.3メートル・高さ約1.8メートルの4人乗り。速度は時速60キロが出て、満充電では約100キロメートルの走行が可能だ。ABSや横滑り防止など、安全機能も搭載を予定している。

 出光興産がEVに注力する背景には、22年11月に発表した中期経営計画がある。カーボンニュートラルの実現へ向けて、2050年のビジョンを「変革をカタチに」と設定。その中で、省資源化や資源循環ソリューションの強化、地域の暮らしを支える多様なエネルギー・モビリティサービスの提供などを掲げており、推進事業の1つに超小型EVを位置付けている。

 環境負荷軽減につながるエアフリーコンセプトは、そうした方向性と親和性が高いということで、今回の実証実験に至ったという。

 空気を使わないエアレスタイヤの実用化に向けた取組みは他社でも進められており、海外ではすでに乗用車への実用化に向けた実証も始まっている。

 ただ日本国内では、国土交通省が定める道路運搬車両の保安基準により、一般公道での走行が認められていないため、ゴルフカートなど小型モビリティへの実用化に向けた取組みに留まっている。実証実験が進むことで、エアレスタイヤの実用化範囲の拡がりが期待される。(記事:三部朗・記事一覧を見る

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