物価高による倒産、1月は過去最多の50件に コスト上昇転嫁できず 帝国データバンク

2023年2月9日 08:08

 帝国データバンクの調査によると、仕入れ価格の上昇やコスト高など物価高を原因とした企業の倒産が、1月は過去最高の件数となったことが分かった。

【こちらも】コロナ破たん、勢い止まらずも正常化への機運は高まる 東京商工リサーチ

■22年から物価高倒産の件数が右肩上がりに

 8日、帝国データバンクが「物価高倒産」動向調査を発表した。2023年1月の物価高を原因とした企業倒産の件数は50件となり、2018年以降で過去最高だった22年12月の48件を更新した。

 18年以降の推移を振り返ると、物価高の倒産件数が多い月でも10件前後だったものの、22年4月の14件から増加傾向になった。翌5月に23件と急増すると、6月は同数の23件だったが、7月の31件以降は右肩上がりの状況が続いている。さらに年ごとの件数は、18年から21年までは100件前後だったところから、22年には320件と約3倍に急増した。

 小売価格や取引価格への転嫁が十分に進まない状況が続いていることから、今後も物価高を原因とした倒産件数は増加する見込みだ。

■運輸業の倒産件数が最多

 1月の業種別倒産件数で最も多いのは製造業の12件。ついで、運輸・通信業が10件、建設業が7件、卸売業とサービス業が各5件などとなっている。

 2022年の業種別倒産件数では、建設業が最も多く70件。ついで、運輸・通信業が64件、製造業が61件、卸売業が49件、小売業が34件などとなっている。

 さらに細かな業種の分類を見ると、23年1月では運輸業が10件、飲食料品製造業が5件、その他サービス業が4件。22年では運輸業が64件、総合工事業が39件、飲食料品製造業が28件、職別格工事業が21件などとなっており、運輸業が突出して多くなっていることが分かる。

■今後も物価高倒産は増加か

 要因別では、最も多いのは「エネルギーコスト」が30.0%。ついで「原材料」が28.0%、「包装・資材」が24.0%、「人件費」が12.0%、「物流」が4.0%、「円安」が2.0%となっている。

 同様に22年で最も多いのは「原材料」で42.1%。ついで「エネルギーコスト」が24.1%、「包装・資材」が20.9%、「人件費」が5.4%、「円安」が5.4%、「物流」が2.1%となっている。

 2022年12月に帝国データバンクが行った「価格転嫁に関する実態調査」では、価格転嫁率が4割を下回っている。そのため今後もコスト上昇を価格転嫁しきれない中小事業者を中心に、物価高を原因とした倒産件数の増加が見込まれる。(記事:県田勢・記事一覧を見る

関連記事

最新記事