クレスコは23年3月期3Q累計2桁営業増益と順調、通期上振れの可能性

2023年2月7日 11:47

(決算速報)  クレスコ<4674>(東証プライム)は2月6日の取引時間終了後に23年3月期第3四半期累計連結業績を発表した。営業外費用でのデリバティブ評価損や特別損失でのコーポレートロゴ変更費用などで経常・最終減益だが、ITサービス事業の受注が高水準に推移して増収・2桁営業増益と順調だった。通期予想は据え置いて増収増益・連続増配予想としている。第3四半期累計の売上高と営業利益の進捗率は順調であり、年度末にあたる第4四半期の構成比が高くなる特性なども勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性がありそうだ。企業のDX投資は高水準に推移する見込みであり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は下値固め完了して反発の動きを強めている。好業績を評価して戻りを試す展開を期待したい。

■23年3月期3Q累計2桁営業増益と順調、通期上振れの可能性

 23年3月期第3四半期累計連結業績は売上高が前年同期比9.2%増の353億76百万円、営業利益が12.3%増の36億97百万円、経常利益が12.1%減の32億02百万円、親会社株主帰属四半期純利益が13.0%減の22億30百万円だった。

 営業外費用でのデリバティブ評価損7億89百万円の計上や、特別損失でのコーポレートロゴ変更費用1億13百万円の計上などで経常・最終減益だったが、ITサービス事業の受注が高水準に推移して増収・2桁営業増益と順調だった。概ね計画水準だったとしている。

 ITサービス事業は、売上高が8.5%増の335億90百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が12.6%増の47億20百万円だった。全体として受注が高水準に推移した。

 このうちエンタープライズは、売上高が0.9%増の135億46百万円で、利益が10.8%増の18億18百万円だった。売上面は運輸分野および人材紹介・人材派遣分野で大型案件が収束したが、流通サービス分野、建設・不動産分野および情報・通信・広告分野で新規案件獲得を含めて売上拡大した。利益面は情報・通信・広告分野の高利益率案件獲得も寄与した。

 金融は、売上高が6.1%増の106億15百万円で、利益が3.7%増の13億47百万円だった。主に銀行分野で基盤構築・移行案件が増加した。

 製造は、売上高が25.0%増の94億27百万円で、利益が24.4%増の15億54百万円だった。機械・エレクトロニクス分野や自動車・輸送機器分野でのクラウド・セキュリティ案件や先行投資目的の案件が増加した。

 デジタルソリューション事業は、売上高が24.5%増の17億85百万円で、利益が8.3%減の98百万円だった。主力のクラウドサービス「Creage」やRPAライセンス販売が増加したが、新規サービスやソリューションの企画・研究・検証活動を推進したため間接コストが増加した。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が113億81百万円で営業利益が8億91百万円、第2四半期は売上高が119億28百万円で営業利益が13億54百万円、第3四半期は売上高が120億67百万円で営業利益が14億52百万円だった。

 通期の連結業績予想は据え置いて、売上高が22年3月期比6.9%増の475億円、営業利益が6.6%増の47億50百万円、経常利益が7.7%増の51億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が3.5%増の33億50百万円としている。配当予想は22年3月期比2円増配の46円(第2四半期末23円、期末23円)としている。

 第4四半期も引き続き受注が好調に推移する見込みとしている。不透明感を考慮して小幅増益にとどまる予想としているが保守的だろう。第3四半期累計の進捗率は売上高が74.5%、営業利益が77.8%、経常利益が62.2%、親会社株主帰属当期純利益が66.6%である。経常利益と親会社株主帰属当期純利益はデリバティブ評価損計上の影響を受けているが、売上高と営業利益の進捗率は順調であり、年度末にあたる第4四半期の構成比が高くなる特性なども勘案すれば、通期会社予想に上振れの可能性がありそうだ。企業のDX投資は高水準に推移する見込みであり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は戻り試す

 株価は下値固め完了して反発の動きを強めている。週足チャートで見ると26週移動平均線を突破した。基調転換した形であり、好業績を評価して戻りを試す展開を期待したい。2月6日の終値は1792円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS158円99銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の46円で算出)は約2.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1051円97銭で算出)は約1.7倍、そして時価総額は約412億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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